この茫漠たる荒野で(4K UHD/Netflix)
No Image | 原題 | NEWS OF THE WORLD |
レーベル | Netflix/UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2020年 | |
上演時間 | 119分 | |
監督 | ポール・グリーングラス | |
出演 | トム・ハンクス、ヘレナ・ゼンゲル、エリザベス・マーヴェル | |
画面 | 2.39:1/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
南北戦争の終了後、キッド大尉は街から街へと歩き回り、街で大衆に向かって新聞のニュースを読み聞かせる業務を行うことで、生計を立てていた。そんなある日、テキサスの森の中で、一人の少女と出会う。そのそばには死体がぶら下がっていた。少女の名前はジョハンナと言い、彼女は何年も前にカイオワという部族に誘拐され、カイオワ族によって育てられていたのである。ジョハンナを保護したキッドは彼女の身の振り方に対して軍に相談するが、結局キッドがジョハンナの叔父と叔母のところに届けることになった。ジョハンナは英語がわからないため、キッドとの意思疎通に苦労するが、それでも二人は旅をしていった。その過程で二人は様々なトラブルに見舞われながらそれを回避し、なんとか叔父と叔母のところに届ける。しかし、ジョハンナは叔父と叔母に対しても意思疎通を図ろうとはしなかった。
レビュー
Netflixがユニヴァーサル・ピクチャーズの映画を獲得し、主演トム・ハンクス、監督ポール・グリーングラスで送る西部劇兼人間ドラマなのが、この「この茫漠たる荒野で」です。ポーレット・ジルズの小説を原作として映像化されています。劇場公開もされていますが、新型コロナウイルスの影響で劇場が閉鎖されている地区が多いせいか、興行収入は全世界でようやく製作費と同等の稼ぎになっています。ただ、映画評論家、観客からの評価はかなり高く、作品の出来としては一目置いているといえます。
この映画を鑑賞したのは、トム・ハンクス主演で監督がポール・グリーングラスというコンビで西部劇と人間ドラマを描き出す、という触れ込みに惹かれたからですが、西部劇の要素はあまり多くはないかと思います。人間ドラマの要素が強い映画になっていると言えるでしょう。西部劇らしいのは、主人公キッドとジョハンナが旅をしている最中にジョハンナを買収しようとする荒くれ者とガンファイトをするシーンぐらいで、後は結構淡々としています。
ただ、西部劇らしい要素としては、広角で撮られた風景を度々シーンの中に入れているところが、いかにも西部劇らしい雰囲気を漂わせていて、それがこの映画のトーンを決めているといえます。朝焼けや夕暮れの日が沈み切る寸前の微妙なグラデーションなど、映像的には4K/HDR10の高画質が生かさせれているシーンが多いと感じます。
人間ドラマとしては、最初意思疎通のできなかったキッド大尉とジョハンナが次第に意思疎通を図るようになり、最終的には二人の絆が切り離されないところまでいく、というありふれたドラマを雄大なスケールの中で描いたことに、この映画の魅力があると思います。特にジョハンナのキッドに対する態度が徐々に変わっていくところは、物語上重要な点であるといえます。そして、キッドも妻を置いたまま旅を続けていて、家族を失っている状態ですから、次第にジョハンナを家族として認めるようになるところが、ドラマティックかなと思います。
映像は4K/UHDで収録されています。Netflixのオリジナル映画にしては珍しくDOLBY VISIONで収録されていないのですが、4K UHDの高精細な映像と、HDR10のカラーグラデーションは、見ていて西部劇の世界に入り込んだかのようなインパクトを与えます。音響はDOLBY ATMOSです。派手なシーンが多くはないのですが、その分環境音、風の吹く音や雨の降るシーン、雷の鳴るシーンなどでイマーシヴなサラウンドが効果的に生成されています。また、ガンファイトシーンでも、空間に銃撃音が広がる感覚を覚えます。
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