アースクエイク バード/Apple TVで観た映画のレビュー

アースクエイク バード

No Image 原題 EARTHQUAKE BIRD
レーベル Netfilx
制作年度 2019年
上演時間 106分
監督 ウォッシュ・ウェストモアランド
出演 アリシア・ヴィキャンデル、ライリー・キーオ、小林直己
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、日本語
字幕 日本語

あらすじ

 1989年の東京。外国人のルーシーは事務所で翻訳の仕事をしていた。彼女の知り合いのリリーが行方不明になり、正体不明の遺体が海から上がったことで、ルーシーに容疑がかかり、警察の事情聴取を受けることになる。そして、その事情聴取の中、ルーシーは過去を思い返していた。ある日、街路を歩いているルーシーを写真に撮る禎司という男がいた。彼の存在が気になるルーシーは、普段は人を撮らないという禎司の誘いに乗り、被写体として関係を深めていく。そして、ルーシーは日本が初めてというリリーという女性の住居や世話を焼くことになった。リリーはルーシーが付き合っている禎司のことを知りたがり、次第に禎司と関係を持つようになっていく。ルーシーはそれに耐えきれず、リリーを邪険にしだすが、リリーの失踪は意外な顛末を迎える。

レビュー

 かつて「ブラックレイン」で大阪を魔都の都市として描いたリドリー・スコットがプロデュースをして、イギリス人作家スザンナ・ジョーンズの同名小説を映像化したのが、この「アースクエイク バード」です。一応小規模劇場公開もされていますが、2019年11月15日からNetflixで全世界同時配信を開始した作品になっています。残念ながら、映画としての評価はあまり芳しくありません。

 映画は外国人にとって魔都ともいえる東京という都市で暮らすルーシーという若い女性が、ある一人の男と出会ったことから起きるミステリーとラブロマンスを描いたものになっています。映画の舞台となっている東京そのものが作品を彩っているので、もう一つの主役であると言ってもいいかもしれません。制作スタッフに日本人が多く参画しているので、あまり違和感のある日本にはなっておらず、比較的見慣れた雰囲気を持った日本という描き方をしていると思います。その中で、主人公ルーシーや禎司といったキャラが実に自然に日本語を喋るので、ハリウッド映画にありがちな「日本語を喋っているのに聞き取りづらい」というシーンもなく、すんなり物語に入っていけます。

 ただ、映画には欠点もあり、ルーシーを被写体に選んだ禎司役を演じたのが小林直己という三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーなので、演技力がなく、禎司が一体何を考え行動しているのかがよく分かりません。主人公のルーシーも何を考えているのかよくわからないところはありますが、彼女の場合、外国人なのでその辺の表現できなくても仕方ないのですが、禎司の存在は物語最大の謎になってしまっていると言えるでしょう。

 物語は、警察の事情聴取を受けているルーシーが、過去の禎司との関係やリリー失踪の謎などについて、回想形式で描いているところがポイントであるといえますが、リリー失踪の謎がルーシーに関係あるのかといえば、あるようで実はないというところに、物語のミステリーの深さがあるといえます。リリー失踪の謎はクライマックスで見えてくるのですが、そこに至ってようやく禎司の存在が大きくなってくるので、意外性のある展開になっていると言えるかと思います。

 映画のタイトルである「アースクエイク バード」とは、映画の中で数回描かれる地震とその後に聞こえる鳥の声を指していますが、地震が映画の中で深い描き方をしているかというとそうでもないのが謎です。また、地震が結構大きな震度で描かれていますが、地震大国日本の東京とはいえ、そんなに大きい震度の地震は頻発しないだろ、という気になってしまいます。そういう意味では謎のタイトルになっているなと感じます。

 映像はHD画質で鑑賞しましたが、東京の雰囲気のよく出た色調と解像度を出していて、なかなか魅力的な映像を提供しています。ハリウッド映画でも日本をうまく撮影できるようになっているのか、という感覚を持たされる映像になっています。音響は5.1chサラウンドですが、AVアンプのDOLBY SURROUNDモードで聴取すると、三次元サラウンドの効果がよく出ていて、サラウンドに不満を感じることのない音響になっています。

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