ココシリ(HD/iTunes Movies)
No Image | 原題 | KEKEXILI/MOUNTAIN PATROL |
レーベル | SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2004年 | |
上演時間 | 88分 | |
監督 | ルー・チューアン | |
出演 | デュオ・ブジエ、チャン・レイ、キィ・リャン | |
画面 | 1.78:1/SDR | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 中国語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
チベットの秘境、ココシリでは密猟者によるチベットカモシカの密猟が後を絶たず、チベットカモシカはその生息数を急激に減らしていた。密猟者はチベットカモシカの毛皮を売りつけ、それで莫大な利益をあげていた。その密猟者を取り締まるために、山岳パトロール隊が結成され、密猟者を追いかける仕事を請け負っていた。その情報を仕入れてきたガイという北京から来た報道者は、山岳パトロール隊のリーダーであるリータイに許可され、密猟者逮捕の追跡に同行させてもらうことになる。しかし、密猟者はすでに多数のチベットカモシカを殺して毛皮を仕入れていて、遥か彼方に逃走していた。山岳パトロール隊はその後を追跡するのだが、チベットの高原という酸素の薄い地帯でパトロール隊のメンバーは一人、また一人脱落していく。食料もジープのガソリンも尽きかけてもなお、山岳パトロールのリータイは密猟者を追いかけることに執念を燃やすが、山岳パトロール隊が民間の組織であることを知ったガイは、これでは記事にできないと、ショックを受ける。そして、ついにリータイは密猟者に追いつくが、そこで意外な展開になる。
レビュー
2004年にSONY PICTURES ASIAがチベットのココシリでチベットカモシカの毛皮を密漁する密猟者を取り締まる、山岳パトロール隊の実話をベースに映画化したのが、この「ココシリ」です。ミニシアター向けの映画のためか、ヒットは記録しませんでしたが、映画批評家、観客からの評価は高く、また、僕も見ていてなかなかスリリングな展開に引き摺り込まれた口であります。
まず、舞台となっているチベットのココシリという高原地帯が、草木一本も生えていない荒涼とした風景であるところに、映画としての魅力があると思います。高山ですから酸素も薄く、山岳パトロール隊も走ったりして呼吸困難に陥り倒れるなど、妙にリアルなところに作品としての立ち位置があるかと思います。また、高山ですから、雪も吹雪いていたり、自然の厳しさを余すところなく伝えている点は、リアルに感じます。
その中でチベットカモシカの毛皮を密猟する密猟者を捕まえるため、山岳パトロール隊が結成されるわけですが、彼らは法に基づいた組織ではなく、単に民間の団体であるという点にまた、驚きの設定があるかと思います。民間人なのに密猟者を捕らえるために密猟者を追跡し、密猟者を手助けした住民を逮捕したり、銃で撃ったりしているわけですから、やりすぎの感はあります。
しかも、山岳パトロール隊のメンバーが一人、一人と脱落していく中、リーダーであるリータイがあくまで密猟者逮捕に執念を燃やす姿は、ある種の執着心を感じ取ることができます。リータイに同行を許可された北京から来た報道関係者のガイも、リータイの執念にある種の恐怖感すら感じ取っているかと思います。ガイも山岳パトロール隊のメンバーと一緒に密猟者追跡に同行するわけで、山岳パトロール隊の困難さに手伝いをしている部分もあるわけですが、それはガイも狂気の淵に陥っているかと思います。
そこまでリアルに描いていて、ラストは意外な展開になっていますので、それは見ていてびっくりしますし、その物語の終わり方には寂しさすら感じさせるものがあります。それは主人公たちに感情移入できているがための寂しさであり、作品がよくできている証であると思います。ラストでクレジットが表示され、山岳パトロール隊が最終的に解散し、チベットのココシリが保護されることになり、チベットカモシカの生息数が増加傾向にあることを視聴者に伝えて、物語は終わりを告げます。
映像はHD画質でありますが、マスターフィルムの状態が思ったほどよくないのか、HDの画質にしては精細感はあまり感じられないところがあります。チベットという道の世界を表現するには、ちょっと物足りない部分はあります。フィルムについた傷や埃が散見されるシーンも多く、最近のデジタル撮影を見慣れた身としては、なんか古臭い感じすらします。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chサラウンドですが、こちらは結構全チャンネルをフルに活用しているところであり、チベットの気象状況や銃の発泡シーンなどで、サラウンド感が爆発していると感じ取れるところであります。
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