ミッドサマー(HD/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー

ミッドサマー(HD/Netflix)

No Image 原題 MIDSOMMAR
レーベル A24
制作年度 2019年
上演時間 147分
監督 アリ・アスター
出演 フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター
画面 2.00:1/SDR
音声 DOLBY DIGITAL PLUS 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

 ダニーは妹のテリーに連絡を取ろうとしていたが、取れなかった。両親や恋人のクリスチャンに連絡しても相手にはされず、テリーと両親はガス中毒で自殺していた。ショックを受けるダニーに、クリスチャンは大学の夏季休暇にスウェーデンに行くことを告げる。友達のペレの出身がスウェーデンであり、彼の育った場所で生活しようというのである。ダニーは話を聞いていなかったが、クリスチャンや彼の友人たちとともに、スウェーデンのペレの故郷であるコミューンに行くことに決める。スウェーデンのコミューンは、彼らを暖かく迎え入れるが、ちょうど90年に一度の夏至祭(ミッドサマー)が始まるところであり、9日間にわたる祭りをダニーたちも体験することになる。しかし、その夏至際はダニーたちの想像を絶する展開を迎え、ダニーたちは悪夢を見ているかのような状態になる。

レビュー

 アリ・アスターの監督2作目にあたり、色々話題になったホラー映画が、この「ミッドサマー」です。話題になっただけあって、Netflixでの配信に関心を持つ人も多く、Netflixでは劇場公開版とディレクターズ・カット版の配信が決まっています。製作費はわずか9百万ドルしかかかっておらず、その割には興行収入が27.4百万ドルも稼ぎ出すヒット作になっています。また、Rotten Tomatoesの批評家評価は83%と高い評価を得ています。観客評価は63%と低いものになっていますが、僕の見た限りでは結構面白い作品であると思います。

 ホラー映画のジャンルに部類するこの「ミッドサマー」ですが、殺人鬼が主人公に襲いかかるタイプのホラーではなく、異文化と主人公の文化の違いによる違和感、恐怖感がストーリーを物語るホラー映画といってもいいでしょう。舞台はスウェーデンの人里離れたコミューンなのですが、そのコミューンでは90年に一度、夏至祭が開催され、その夏至祭に参加することになった主人公が伝統の違いから恐怖に陥る様を淡々と描いています。

 そのコミューンの夏至祭は、結構人の死を求めているところがあり、主人公側からしたら、殺人に類するタイプの儀式になっているところが多々あります。しかし、コミューンからしたら、コミューンの世代交代を求めての人の死と生を儀式として取り行っているところがあり、それが主人公側、そして視聴者側からしたら違和感、恐怖感を煽るところがあるといってもいいでしょう。

 スウェーデンの夏至は夜がない世界であり、白夜が支配する世界でもあります。そのため、主人公たちは段々悪夢に染まっていくところがあります。視聴者も映像が夜でも絶えず昼間の映像なので、だんだん混乱していくように制作されており、主人公の恐怖を視聴者も共有するような感覚で制作さそれています。見ていて観客である僕も、だんだん世界が恐怖に染まる感覚を覚え、「次はどう展開するんだ?」と物語に引き込まれる面白さがあります。

 映画では「9」という数字が結構登場し、意味深な想像を掻き立てるところがあります。夏至祭は9日間開催されるとありますし、夏至祭の犠牲者も9人と、9に拘った設定になっています。また、主人公ダニーが次第にコミューンの中で中心的存在になっていくところが、悪夢を掻き立てるようで、その面白さを描くことに成功していると言えるでしょう。原題の「ミッドサマー」とは、スウェーデン語の夏至祭を意味する言葉であると言われています。

 映像はHD/SDRで収録されているのですが、HD解像度でもそんなに不満はありません。そこそこ鮮明な映像になっていると言えます。色合いも白夜の世界が中心なので、明るく、色合いもカラフルで魅力的な映像を提供しています。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで収録されていますが、そのサラウンド感は見事なものであるといってもいいでしょう。自分の前後左右でコミューンの人々の会話が回転するかのように移動しますし、重低音もかなり大きく鳴り響きます。サウンドトラックは空間に漂う効果を発揮しています。

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