佐野元春 & 井上鑑ファウンデーションズ
佐野元春30周年アニバーサリー・ツアー・パート1
スポークンワーズ・セッション「In Motion 2010 僕が旅に出る理由」
Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
2010年8月14日
今年の春に「アンジェリーナの日」と題されたデビュー30周年のキックオフイベントを開催した佐野元春が、満を持して開催したのが今回の「In Motion 2010 僕が旅に出る理由」である。3つの違うバンドと3つの異なる表現をキーワードにライブを開催するという。今回はその中で、佐野元春の中では特異な位置を占めるスポークンワーズライブということで、井上鑑と共に全国を回るという。「In Motion 2001」と「In Moiton 2003」を共に観て来た身としては、スポークンワーズがどういうのか分かっているつもりだが、今回は新曲がやるのかなとか、色々興味は尽きなかった。
会場であるMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREは初めて訪れる会場だが、渋谷プライムの6階に位置しており、どうも元々は映画館だったらしい。一応ライブハウスとして機能しているが、椅子は固定されたままで、収納人数は350人程度ということで、チケットを取れたのはラッキーかなと思った。お盆の真っ最中ということだが、会場には多くの人が集まってきており、最初6階に到着したが、すぐに列に並ぶことになり、3階まで下ろされてしまった。
列に並ぶと16時開場ということですぐに列が動き始め、程なく会場に入場することが出来た。ライブハウスなので、入場時にドリンク代500円を取られる。まず荷物を席に置いて、ドリンクの受け取りに行った。ビールにも心を動かされたが、酔っ払ってライブを聴くのはあまりよろしくないなと思って、アイスコーヒーを頼んだ。
僕の席は2階席だったが、会場は狭い。元映画館だったせいか、壁面にはスピーカーらしい設置穴が見えたりしている。ステージ上も狭く、楽器で一杯である。段々に人が席に着くが、周囲を見回してみると、意外に年配者が多い。若者は少ない感じで、ちょうど同時期にやっている「佐野元春のザ・ソングライターズ」の影響は若者には与えていないようである。
16時半ちょうどすぎに場内が暗くなり、演奏メンバーがステージ上に上がってくる。そして佐野元春が登場し、詩の朗読を始めた。
本編
- ポップチルドレン
- 再び路上で
- ベルネーズソース
- こんな夜には
- アルケディアの丘で
- 僕が旅にでる理由
- 〜 ピアノSOLO 〜
- 何もするな
- 植民地の夜は更けて
- 国籍不明のNeo Beatniks
- 何が俺達を狂わせるのか?
井上鑑ファウンデーションズは、キーボードに井上鑑、ベースに高水健司、ドラムに山木秀夫、サキソフォンに山本拓夫という構成である。過去のライブでもそうだが、確かギターがいないというのがバンドの特徴になっている。
1曲目の「ポップチルドレン」は、過去のライブでもおなじみの曲だったが、途中意図的に詩を変えて読んでいるところがあったりして、思わずにやっとしてしまう。確か「君はビデオフィルムのエンドマークを探している」という詩を「君はパソコンの検索エンジンの画面を眺めている」という詩に変更になっていたと思う。
2曲目は1985年にリリースされた「エレクトリック・ガーデン」に収められた曲のライブ再現であった。かなりドラムの叩き方がすごく、また元々のバージョンと同じくエコーを聞かせて再現しているので興奮してしまった。個人的に好きな曲なので、うれしくなってしまう。
「ベルネーズソース」と「こんな夜には」は、ドラムとベースが主に鳴っていて、かなり前衛的な感じのする曲である。もちろん過去のライブでも演奏されていて、スポークンワーズライブの中核をなす曲だと思うが、今回もそんな感じがした。
「アルケディアの丘で」では、椅子の背もたれに寄りかかって座ったまま佐野元春は詩を朗読する。スローな演奏が、独特の味わいを演出している曲である。
「僕が旅にでる理由」は、ファンからの話によると、「ハートランドからの手紙」に掲載された詩が元になっているという。#101がそれに当たるという。明るい感じのする曲で、「君 今 絶望する/君 即 希求する」というフレーズが心に残った。
ピアノソロに続いて演奏されたのが「何もするな」。「In Motion 2003」でも演奏された曲である。複雑な感情が紛れ込んだ曲だと思う。「何もするな」というフレーズが繰り返される。
続いて演奏されたのが新作「植民地の夜は更けて」。同タイトルは「In Motion 2001」のサブタイトルだったが、同公演では演奏されていないので今回が初めてだと思う。これも複雑で長い演奏だったと思う。元の詩は多分「エーテルのための序章」だと思う。
一転してロックンロールのようなアレンジで演奏されたのが「国籍不明のNeo Beatniks」。元々は確か「This」に掲載されていたのではないかと思う。ノリのいい曲で聞いていてご機嫌になってくる曲である。
本編ラストは「何が俺達を狂わせるのか?」。「1cm,2cm,3cm/狂ってくなんていやだな」というフレーズが印象的なのった曲である。ラストにはふさわしい曲ではないかと思う。
ラストの曲が演奏し終わると、メンバーがステージ前に出てきて、メンバー紹介をする。そして会場内の拍手の中、ステージ袖に引っ込んで行った。場内の照明は暗いままで、アンコールを予期させるものに十分だった。
アンコール
- ポップチルドレン
アンコールは、再び「ポップチルドレン」。元春の声も十分に出ていて、聞いていて安心して観ていられる。ご機嫌なリズムに乗って演奏される。場内もちらほらと手拍子を取っている様子である。
アンコールが終わるとまた佐野元春のMCがあり、ステージは終了した。約1時間20分という演奏時間だったが、十二分に楽しめる内容だったと思う。演奏時間が長かったためか、2回目の入場者と混乱してしまったのはご愛嬌といったところだろうか。
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