佐野元春 and The Hobo King Band ‘Smoke & Blue 2019’ ビルボードライブ大阪

佐野元春 and The Hobo King Band ‘Smoke & Blue 2019’ ビルボードライブ大阪

2019年4月13日/2nd

 佐野元春 and The Hobo King Bandのビルボードライブ‘Smoke & Blue 2019’の開催を知ったのは、2018年年末のことだった。ビルボードライブだと、東京、大阪、名古屋のどこかでしか観られないので、福岡住まいの僕は遠征になる。となると日程が気になるところだったが、大阪の4月公演が土日開催なので、会社を休んだり、早退等しなくても観に行けるとわかった。2019年1月23日のファンクラブ先行予約で、ビルボードライブ大阪の予約センターに電話を300回近くかけ続け、午後になってようやく予約が取れた。ビルボードライブの予約が取れたところで、ホテルも予約を入れ、公演1ヶ月前には、新幹線の予約も取り、準備は万端だった。

 当日、昼前に自宅を出て、博多駅で昼食をとり、午後は新幹線の移動で時間を費やした。大阪に着いた後も、コーヒーショップで時間を潰し、18時にはビルボードライブ大阪に到着した。しばらくすると予約番号発券が始まり、18:40に入場した。ビルボードライブのいいところは、美味しいビールとちゃんとした料理を食べながら、ライブが見られる点であろう。ビールを2杯も飲んで、ライブが始まるのを待った。観客の年齢層はかなり高め。ビルボードライブ大阪自体が観客を選んでいる感はある。席は正面に近いが、後方の位置。佐野元春は見られるが、その他のメンバーは少々きつい部分がある。

19:35あたりに佐野元春 and The Hobo King Bandがステージに出てきた。そして、ライブが始まった。

セットリスト

  1. ジュジュ
  2. 月と専制君主
  3. 日曜の朝の憂鬱
  4. 君がいなければ
  5. トーキョー・シック
  6. クエスチョンズ
  7. C’mon
  8. コンプリケイション・シェイクダウン
  9. 愛のシステム
  10. ハッピーエンド
  11. 僕にできることは
  12. 夜に揺れて
  13. 最新マシンを手にした子供達
  14. ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

 オープニングからの数曲は、アルバム「月と専制君主」からの選曲である。「月と専制君主」の演奏時には、「僕は旅行しているときに曲ができることが多いです。この曲はパリにいたときにできました。」という趣旨の話をしていた。

 「トーキョー・シック」の演奏前には、「雪村いづみさんのために書いた曲ですが、個人的には2020年東京オリンピックのテーマソングになればいいなと思っています。」と話し、観客を沸かせた。アレンジも以前の演奏とは変わっていたように思う。

 「少年が生き方について迷っている様子を描いた曲です。」というMCとともに「クエスチョンズ」を演奏し、続けて「C’mon」で、アルバム「月と専制君主」からの選曲は終了した。過去のビルボードライブを見ても、「月と専制君主」からの明確な選曲は初めてではないかと思う。比較的どの曲もアルバムに忠実な雰囲気の演奏だったと思う。

 ここからが今回のライブの目玉だった。アルバム「月と専制君主」にも「自由の岸辺」にも入っていない2曲が演奏されたのである。「コンプリケイション・シェイクダウン」の前には、「僕がニューヨークに行っているときに作りました。日本に帰ってきて、披露したところ’スターダスト・キッズはどこいったの?’ ‘SOMEDAYはどこいったの?’と言われました。今で言うヒップポップですね。ようやく当たり前の時代になって、安心して歌うことができます。」と率直なMCを話し演奏された。大幅にアレンジは変わっているが、’Smoke & Blue’の雰囲気によくあった演奏で、意外性のある演奏に興奮をした。続けて、「愛のシステム」。これも意外な選曲ではあるが、かつてThe Heartlandと演奏したWOWOWの開局記念ライブ「Goodbye Cruel World」でのアレンジに近い形なので、意外とマッチする曲になっていた。メッセージ性の強い曲なので、「コンプリケイション・シェイクダウン」とともに今に対する異議申し立てのようにも聞こえた。

 後半は、アルバム「自由の岸辺」からの選曲が続いた。アルバム自身がユニークな選曲とアレンジなので、後半のノリはご機嫌だった。特に「夜に揺れて」あたりから会場の興奮はこれまで以上に上がっていったように思う。「最新マシンを手にした子供達」では、立って演奏を聴く人も現れた。

 バンドメンバーは、ドラム:古田たかし、ベース:井上富雄、ギター:長田進、キーボード:Dr.kyOnにパーカッション:吉川清海だった。吉川清海は、佐野元春のヘアメイクの人で、大井’スパム’洋輔が不在の時にパーカッションを叩いているという。前回までのチェロ:笠原あやのがいなくなったのは寂しいが、長田進が入ったことで、よりソリッドな演奏になっていたかと思う。

 アンコールはなかったが、その立ち位置にいたのは「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」である。スタジオ録音盤もかなり長い演奏だが、今回のライブでも長い演奏だった。でも、ご機嫌な演奏で、観客を魅了させた。

 今回、ビルボードライブで常に演奏されてきた「約束の橋」は演奏されなかった。個人的にはあまり好きな曲でもないので、演奏されないのは新鮮に感じるところであるが、他のファンはどう思っているのだろうか。「約束の橋」だけでなく、ビルボードライブでは「アンジェリーナ」も「SOMEDAY」も演奏はされたことがない。そこが、佐野元春の他のライブと大きく違うところである。

 全ての曲を演奏後、「今回のツアーも明日で千秋楽です。みなさんに感謝します。」と言う趣旨の話をして、ライブは終わった。演奏時間は1時間15分程度。でも、最新の佐野元春のライブを堪能できて、福岡から遠征してよかったと思っている。

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