佐野元春 & THE COYOTE BAND 2015 サマー・ツアー DRUM Be-7

佐野元春 & THE COYOTE BAND 2015 サマー・ツアー DRUM Be-7

2015年9月20日

 佐野元春の今回の「2015 サマー・ツアー」のツアー日程を見た時、地方のみで都市圏のライブが予定されていないのに、ちょっと驚いた。残念という気持ちとともに、どこで開催するのか見たら、九州は長崎と熊本のライブハウスで開催されることを確認した。微妙に遠いなと思っていたところ、日程を確認すると、どちらも連休の中日の日曜日。これなら長崎と熊本に遠征できる、と考え、ファンクラブ先行でチケットを確保した。それから、長崎市内のホテルを早々に確保し、長崎までの特急も発売早々押さえて、準備をしていた。

 長崎に行くのだから、と思い、昼頃着いて、中華街で昼食を取り、後は半日観光していた。それから会場であるDRUM Be-7というライブハウスに向かった。DRUM Be-7は路面電車「賑橋」停車場前のFM長崎のビルの地下一階にあり、調べたら福岡天神にある有名なライブハウス、DRUM Logosの系列店とのことである。

 チケットはSOLD OUTということで、会場はぎゅうぎゅう。自分の立ち位置を確保するのにも少々苦労していた。DRUM Be-7のキャパシティは、300人ということで、かなり濃厚。前から3列目あたりを確保し、なんとか佐野元春と深沼元昭、藤田顕、高桑圭が見える場所に立った。

 開演予定時間は17時30分だったが、5分押して17時35分にメンバーがステージ上に登場し、それぞれが楽器を持って、演奏を開始した。1曲目は驚きの曲だった。

本編

  1. 君をさがしている
  2. La Vita e Bella
  3. ポーラスタア
  4. 月と専制君主
  5. 紅い月
  6. 本当の彼女
  7. バイ・ザ・シー
  8. 優しい闇
  9. 私の太陽
  10. 境界線
  11. 誰かの神
  12. キャビアとキャピタリズム
  13. 空港待合室
  14. 誰かが君のドアを叩いている
  15. 悲しきレイディオ
  16. サムデイ
  17. ダウンタウン・ボーイ

 1曲目は「君を探している」。驚いたのが大幅にアレンジを変えていて、オリジナルのフォーク・ロック調からゴリゴリのロックに変わっていたことだろうか。また、佐野元春の歌い方もポエトリー・リーディング調。かなりご機嫌なナンバーで、早速盛り上がる。続けて「Zooey」からの2曲を演奏。今日の佐野元春はかなり饒舌で、曲の合間合間に話を入れていた。そして「この国はドタバタしているけれど、今の僕の気持ちはこんなところです」と話した後に、「月と専制君主」を演奏した。政治的メッセージがそこはかとなく匂わせているこの曲が、佐野元春の今の主張を表しているように思う。

 「月と専制君主」が終わると、THE COYOTE BANDと10年やってきたこと、それから長崎に来るのが10年ぶりで、前回はTHE HOBO KING BANDだったことなどを話し、アルバム「BLOOD MOON」からの曲を何曲か演奏することを宣言した。佐野元春一行は19日に長崎入りしたそうだが、その時に見た月が「紅い月」だったことに触れ、「紅い月」を演奏し始めた。

 それから佐野元春から見た女性観を歌った曲ということで、「本当の彼女」、続いて「バイ・ザ・シー」を演奏する。「バイ・ザ・シー」は最初、イントロで渡辺シュンスケのピアノが新たに加えられ、印象が若干変わって聞こえた。ただ、ラテン・ロックなこの曲は、僕のお気に入りの一つで、ご機嫌にノレた。

 「優しい闇」の演奏後、佐野元春は「誰もが持っている境界線について歌った曲です」と話をして、「境界線」を演奏する。その後は、MCもなく、続けて「誰かの神」、「キャビアとキャピタリズム」とアルバム「BLOOD MOON」の中でもメッセージ性の強い曲を演奏する。先の「月と専制君主」から続く、佐野元春の現在の日本の抱える問題を切り取ったスケッチのような曲が、インパクトを与えていた。「BLOOD MOON」からは、最後に「空港待合室」で完結。そこからは過去の曲にバックする。

 90年代からの曲ということで、久々の「誰かが君のドアを叩いている」を演奏し、ラジオの話題に触れ、「80年代、元春レイディオ・ショーという番組を放送していた。自分で言うのもなんだが、いい番組だったと思う。それから時が経って、00年代にNHKで再び元春レイディオ・ショーを放送していたが、これも終了。しかし、この9月からTBSでまた、元春レイディオ・ショーが復活する。今はインターネットがあるのでRadikoがあれば全国、長崎でも僕の番組が聞ける」と話をして、「悲しきレイディオ」を演奏。大抵は3番がスローでの演奏になって、「こんな夜にぴったりのビートを探してムード盛り上がれば」の部分が観客と呼びかけをするのだが、初めてではないかと思うが、オリジナル通りに演奏したので、おやっと思った。続けてメドレーで、後半は「I Love You,You Love Me」のコール&レスポンス。

80年代はTHE HEARTLANDが演奏して、90年代にTHE HOBO KING BANDがそれを受け継ぎ、そして、今はそれをTHE COYOTE BANDが受け継いでいる、と話して「サムデイ」が演奏される。そして、「僕の喋り方は少しおかしいと言われることはあるのだけれど、僕の生まれた下町の明神下ではこれが当たり前。明神下って知っている? 知らなかったらGooleで調べて。僕以外にも僕のような喋り方をする人はたくさんいる。ただ、残念なことには、そういう人はマイノリティなんだよね」と爆笑MCを話して、本編最後は「ダウンタウン・ボーイ」。バンドの布陣は、ギターは深沼元昭と藤田顕、ベースは高桑圭、ドラムは小松シゲル、キーボードは渡辺シュンスケである。

どのタイミングでMCが入ったのか、覚えていないが、今回の佐野元春は饒舌で、かなり笑いを取っていた。例えば、「背の低い人が隣にいたら、その人を持ち上げて、僕が見えるようにして」とか話したり、「長崎で驚いたのがミルクセーキ。東京だと飲むものなのに、長崎は食べるというか、なんかフラペチーノ? という感じ」と地元ネタを飛ばしたり、「BLOOD MOON、買った? 買っていない人は、後ろで売っている」と販促したり、「長崎に来るのは10年ぶりだけれど、FM長崎では毎年夏にイベントを開催しているんだって? それに僕を呼んでほしい、と頼んでみて」と宣伝したり、と話すこと、話すこと。10年の隙間を埋めようという意識が垣間見えた。

アンコール

  1. ヤングブラッズ
  2. 約束の橋

 アンコールの時、驚いたのが「持ってこーい、持ってこーい」というかけ声だった。普段都市圏でのライブしか見ていない僕からすると、アンコールの時は「アンコール、アンコール」と呼びかけをするものだが、この長崎の方言だと思うが「持ってこーい、持ってこーい」は地方文化が見えて、楽しい部分ではあった。

 アンコールの1曲目は、「ヤングブラッズ」。そして、最後の曲は、1989年にリリースした時にはヒットしなかったのに、3年後にテレビドラマの主題歌になったら大ヒット。なんで89年にリリースした時にヒットしなかったんだよ、まあヒット曲というのはティンカー・ベルが魔法の粉をかけるようなもので、おっと時間が。この続きは来年のFM長崎のイベントで。と言うMCを飛ばして、「約束の橋」。ちょうど2時間のライブだった。

DRUM Be-7

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