佐野元春 & THE COYOTE GRAND ROCKESTRA
佐野元春35周年アニバーサリー・ツアー 福岡市民会館
2016年1月31日
2015年12月5日の京都から始まった「佐野元春35周年アニバーサリー・ツアー」、事前の情報を仕入れたくないので(特にセットリスト)、ネットでできるだけ情報に触れないようにしていた。しかし、佐野元春のiPhoneアプリ、DaisyHeadsで、その京都の公演から、5曲が配信されてしまい、少しだけネタバレしてしまったのは残念である。それでも、大半の情報はシャットアウトでき、当日を楽しみにできるようになっていた。
福岡市民会館での僕の佐野元春ライブは、2012-2013 WINTER TOUR以来だと思う。当日は、まずまずの天気で、ライブ日和である。
僕の席は前から10列目で、左側の席だった。ファンクラブ先行で取ったにしては、座席の位置は良くない。もっと前の方が取れるといいのだが、とは思ったが、まあ見られるだけいいか、という気もしている。
前回の福岡市民会館での公演は、客席が6割程度しか埋まらず、後ろの座席に暗幕がかけられていたが、今回の35周年アニバーサリー・ツアーは、ほぼ満席だった。当日券も若干ながら出たようだが、この記念イベントにいつもは来ないファンも来たということだろうか。
17時少し前にいつもの場内注意アナウンスが聞こえてきて、17時5分ぐらいに「レディース&ジェントルマン」というアナウンスとともに、閉じられていた幕がさっと開いた。実は1曲目はある予感があったのだが、それが当たった。
本編
- シュガータイム
- 優しい闇
- ジュジュ
- ヴィジターズ
- カム・シャイニング
- ワイルド・ハーツ
- バルセロナの夜
- すべてうまくはいかなくても
- ポーラスタア
- 君をさがしている
- 希望
- 境界線
- La Vita é Bella
- バイ・ザ・シー
- 紅い月
- 私の太陽
- 東京スカイライン
- ボヘミアン・グレイブヤード
- レインボー・イン・マイ・ソウル
- 誰かが君のドアを叩いている
- ヤング・フォーエバー
- 星の下 路の上
- 世界は慈悲を待っている
- ジャスミンガール
- ヤングブラッズ
- 約束の橋
- サムデイ
- ロックンロール・ナイト
- ニュー・エイジ
- アンジェリーナ
1曲目はなんとなく予想していた「シュガータイム」が、予想通り的中した。アレンジはなんとレコードにかなり忠実。続けて2曲目は現在に飛び、アルバム「BLOOD MOON」から「優しい闇」が演奏される。そして、2010年の「月と専制君主」バージョンの「ジュジュ」が演奏されて、初めて元春のMCが入る。内容的には、「今夜、こんなに集まってくれてありがとう」という内容だったと思う。
「アルバム、ヴィジターズから演奏します」と元春がMCで話すので、てっきり「コンプリケーション・シェイクダウン」あたりかなと思っていたら、なんと「ヴィジターズ」と「カム・シャイニング」と言う、アルバムの中ではあまりライブで演奏されない、でも僕的に好きな曲が立て続けに演奏されるので、一気に気分が高揚してきた。「カム・シャイニング」では、元春はキーボードを立って演奏していた。
「80年代に戻ります」と言って演奏されたのは「ワイルド・ハーツ」。この曲も3番をレコード通りに演奏したので、意外感はある。その後、元春は「後でTwitterに”元春のライブは長い。腰が疲れた”と書かないでよ。今日は長いよ」と言って、客に座るよう指示をし、「バルセロナの夜」と「すべてうまくはいかなくても」というスローなナンバーを続けて演奏した。この曲たちは、元春はキーボードで弾き語りしていた。
「今回の35周年アニバーサリー・ツアー、できるだけレコードに忠実に演奏するけれど、次に演奏する曲だけ大幅にアレンジ変えます。すいません」と言って、昨年の2015サマーツアーでも演奏された「君をさがしている」をゴリゴリのロックアレンジで演奏する。その後、再び客に座るよう指示し、アルバム「THE SUN」から「希望」を演奏した。
舞台の後ろのカーテンが開き、アルバム「BLOOD MOON」のジャケットを意識したオブジェクトが配置されているのを確認し、ここからしばらくTHE COYOTE BANDとのコラボ曲が続く。「誰の心にも境界線がある。それを乗り越えたい。」と言って「境界線」が演奏され、続いて「Zooey」から「La Vita é Bella」を演奏する。すっかり定番になった感のある曲だった。その後は「BLOOD MOON」からの曲が続く。意外と多く選曲がされ、昨年のツアーでは演奏されなかった「東京スカイライン」が、「昨年の夏は色々なことがあった。それを今、思い返しながら演奏したい」と言って演奏されたのは感慨深いものがある。個人的にはライブで聴きたいと思っていたので、これは嬉しい誤算だった。「紅い月」では、照明が「紅い月」を表していたのは、印象深かった。
「東京スカイライン」のアウトロがずっと続き、そのまま「ボヘミアン・グレイブヤード」に入っていく。ステージもカーテンが再び閉められる。しかし、一部は開いたまま。意図的なのか、トラブルなのかは分からない。その後、「1998年? 1996年? アルバム「フルーツ」に入っていた? いや、「スウィート16」だ」と混乱する元春のMCを経て、同じく「スウィート16」から「レインボー・イン・マイ・ソウル」、「誰かが君のドアを叩いている」を演奏する。かなり意表をつく選曲である。
「ヤング・フォーエバー」を演奏後、「最初のTHE COYOTE BANDは深沼くん、高桑くん、小松くんだった」というMCを経て、「星の下 路の上」を演奏し、続けて「世界は慈悲を待っている」を演奏する。この曲は実はライブでタイミング悪く、あまり聞いたことはないので、個人的に聞けて嬉しかった。
長いイントロと、元春のファンに対する感謝の後、久しぶりに「ジャスミン・ガール」を演奏し、いよいよ後半に。「ヤングブラッズ」、「約束の橋」、「サムデイ」、「ロックンロール・ナイト」、「ニュー・エイジ」と続いた。そして、「35年前、僕はこの曲で始まった」と「アンジェリーナ」で本編を閉めた。
バンドの布陣は、ドラムが小松シゲル、ギターが深沼元昭と長田進、ベースに高桑圭、キーボードが渡辺シュンスケとDr.kyOn、パーカッションにスパム、サックスが山本拓夫、トランペットが西村浩二という構成だった。THE COYOTE BANDをベースに、THE HEARTLAND、THE HOBO KING BANDからの混成チームだった。実は1月31日は、ギターの深沼元昭の誕生日であり、会場のファンからは「ハッピーバースデイ」の歌が歌われ、ファンの一部はプレゼントを送っていた。
今日の公演はかつて佐野元春のサポートをしていた、SONY MUSICの丸山茂雄氏が公演を見にきていたという。席のどの辺にいたかはわからなかったが、元春の話により、丸山氏が公演を鑑賞しているというのは、素晴らしいことであると思う。
アンコール1
- スターダスト・キッズ
- ダウンタウン・ボーイ
アンコールは、なんとなく昨年の2015サマー・ツアーのアンコールを思わせる選曲だった。アレンジも同じ感覚。ノリ重視だと思った。
アンコール2
- グッドバイから始めよう
- 国のための準備
- 悲しきレイディオ〜メドレー
アンコールの2回目に意外な曲で始まって、びっくりした。元春と渡辺シュンスケの二人だけステージに登場し、なんと僕も1回もライブでは聞いたことのない「グッドバイから始めよう」を初披露したのである。CDではすでに「ロックンロール・ナイト・ツアー」での音源は聞いているが、生は初。いい曲を聞かせてもらったという感覚だった。その後バンドが登場し、一転激しいアジテーションナンバー「国のための準備」を演奏する。これは盛り上がる。そして、元春のおなじみのMC、ラジオに関係する話をした後、「悲しきレイディオ」から「メドレー」になだれ込んで、ライブのすべてが終わった。
ライブがすべて終わり、元春は繰り返し「僕の音楽をファンのみんなが見つけてくれなければ、僕がステージに立っていることはなかったであろう。だから皆さんに感謝している」という趣旨の発言を繰り返していた。また、「最近、CDの売り上げが全体的に悪い。だから、ライブに来てくれる皆さんが、ミュージシャンにとっては明日の糧になる」という趣旨の話もしていたと思う。それと、「今年は僕の年だ。なぜなら、申年だから。そして、還暦記念コンサートなんか、絶対しない。みんなも赤い服着てこないで」と言って、ファンを笑わせた。その後、メンバーとともにステージを去っていった。ライブの時間は3時間半に近づいていて、長丁場だったが、最後は脳内ホルモンが放出され、ハイな気分になっていた。素晴らしいライブであったと思う。
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