佐野元春 & THE HOBO KING BAND COUNTDOWN JAPAN 1011 幕張メッセ

佐野元春 & THE HOBO KING BAND COUNTDOWN JAPAN 1011 幕張メッセ

2010年12月30日

 毎年恒例のCOUNTDOWN JAPANという国内有数のロックイベントに佐野元春が出演すると知ったのはどこの情報源だっただろうか。今となっては定かではないのだが、いつもならスルーしてしまうこの情報に今年は反応してしまった。2011年3月に行われる30周年記念ツアーのファイナル公演にどうも会社の都合で参戦できそうにないということを知ってからは、行けるだけのイベントに行こうとしていた節がある。12月は中盤に「ソウル・ボーイへの伝言」というクラブハウスツアーがあるから月に2回も佐野元春のライブに参戦することになるがまあ楽しもうと思っていた。

  会場は千葉県の幕張メッセで、自宅からだと丸々2時間はかかるぐらいに遠い。それも今まで行かなかった理由の一つでもある。ちょっとした旅の感覚がある。最寄駅の海浜幕張駅に到着すると、人、人、人。若者が多い。ちょっと圧倒されながら、幕張メッセに到着した。

 会場に入るとき、チケットがすべて没収されてしまい、その代わりにリストバンドが手渡された。チケットの半券はいつも記念に取っておくので、すべて没収にはあっけにとられていた。とりあえず会場内に入り、ビールとそばで昼食を済ませ、スタンプラリーに参加したり、トータス松本のライブを見学したりして佐野元春の時間が来るまで時間をつぶしていた。

 佐野元春の登場するステージは幕張メッセのホール7をすべて使ったGALAXY STAGEというところである。直前に見ていたトータス松本の出ていたEARTH STAGEが30000人収納可能で、かなり規模のでかい感じがしていたので、GALAXY STAGEはこじんまりとしているように感じられた。それでもパンフを見ると12000人収納可能ということである。

 3時ちょうどぐらいに会場に入ると、まだまだ人が集まっておらず、前のほうが開いていたので、かまわず前に陣取る。最前列から5列目ぐらいだろうか。渋谷のライブの時と同じくいい場所を確保できたと思った。ステージ上では、ローディーが楽器のチェックをしている。いつものライブだとこの手のチェックは開場前に行われるため、普段は目にすることがない。珍しい光景だなと思ってみていた。

 そうこうしているうちに演奏開始時間の15時10分になったが、まだチェックが終わらない。周りを見渡すと、普段の佐野元春のライブと違って若者が多い。このロックイベントそのものが若者向けということもあるのだと思うが、僕自身もっと佐野元春の曲を若い人に知ってほしいと思っている口なので、こういう光景は正直うれしい。

 15時15分ぐらいだろうか。楽器のセッティングも終わり、THE HOBO KING BANDの面々がステージ上に登場してきた。メンバーは、ギター・長田進、パーカッション&キーボード・スパム、ベース・井上富雄、ドラム・古田たかし、キーボード・Dr.Kyon、そしてサックス&フルート・山本拓夫という面々である。たぶん年明けのツアーもこの面々で回るのだろうと思う。佐野元春が登場しないなと思ったら、1曲目はインストゥルメンタルだった。

本編

  1. CHANGES
  2. ハッピーマン
  3. ガラスのジェネレーション
  4. 君を探している
  5. 欲望
  6. ヤング・フォーエバー
  7. サムデイ
  8. ニュー・エイジ

 1曲目の「CHANGES」は確か2003年の「Milk Jam Tour」の時以来の演奏ではなかったかと思う。ご機嫌なナンバーで、さっそく会場が盛り上がる。演奏が終わると佐野元春が登場。おなじみのイントロとともに「ハッピーマン」が演奏された。いつもならライブのアンコールとかで演奏される曲だけに序盤で演奏されることにノリを感じる。続けて演奏された「ガラスのジェネレーション」には驚いた。最初何の曲か分からず、イントロが始まって少ししてから分かったからである。感じとしては2006年に発表されたベストアルバム「THE SINGLES」の中にボーナストラックとして入っていたバージョンに近い演奏であった。ギターが耳に残るサウンドである。

 「君を探している」はポエトリーリーディング調の歌い回しで佐野元春は歌っていた。アレンジはミディアムスローな感じで久しぶりに聞いた気がしていた。ここまでで結構盛り上がったところで、次の「欲望」には驚いた。まさかこの曲をこういうイベントで演奏するとは思ってもみなかったからである。アレンジはオリジナルに近い感じがしたが、音がすっきりしている印象がある。佐野元春の声もこのときは張り上げるように、しかもポエトリーリーディング調で歌うので、すっかり聞き入ってしまった。このライブ一番のお気に入りになったと思う。

 続けて演奏されたのは「ヤング・フォーエバー」。「ソウル・ボーイからの伝言」ではアコースティックなアレンジで演奏されていたが、今回はバンドサウンド。たぶんこの曲も2011年のツアーで歌うのだろうなと思うと、ちょっと不思議な気がした。佐野元春90年代の曲の再検証みたいな感じがしていた。「ヤング・フォーエバー」の演奏が終わった後、初めての、そして唯一のMC。「THE HOBO KING BAND!」とバンドの紹介をした後、「もし知っている人がいたら一緒に歌ってください」といい、代表曲「サムデイ」が演奏された。この曲だけはアレンジがどのバンドでも変わらない。もちろんザ・コヨーテバンドと比べれば音に厚みがあるのだが、それでも印象としては大幅なアレンジがないというか、山本拓夫のサックスが間奏で入るぐらいの違いかと思う。普遍性を持った曲だと思う。

 「サムデイ」も終わり、もう終わりかなと思ったら佐野元春がまだドリンクを飲んでいるのでもう1曲あると感じた。そして、本当久しぶりの「ニュー・エイジ」が演奏された。THE HEARTLANDバージョンに近いアレンジで、これはスパムがキーボードを演奏しているから再現できたのではないかと思っている。会場内のボルテージもマックスになり、皆歌っていた。「ニュー・エイジ」が終わると、佐野元春の出番は終了である。今回のセットリストは、2011年のツアー「All Flowers In Time」の抜粋版ではないかと思う。このツアーに参戦できるのかはいまだ不透明だが、今回のライブで、その鱗片は堪能することができた。やはりTHE HOBO KING BANDの成熟した演奏は見ていて安心感がある。

 せっかくイベントに参戦しているので、佐野元春の以降も色々なアーティストのライブを見たが、やはり佐野元春のライブが一番だったなと思う。とにかく音楽に堪能できたライブであったと思う。

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