佐野元春 & THE HOBO KING BAND TOUR 2008「SWEET SOUL,BLUE BEAT」
神奈川県民ホール
2008年2月17日
ついに佐野元春の 2008 年のアクティビティが始まった。今回のツアー参戦は、1 月 22 日の伊勢原の初日から始まって、ちょうど折り返し地点に当たる神奈川県民ホールからになった。ネット上ではツアーの情報があふれていて、今回はセットリストがほぼ明らかになっていた。そういった意味では、新鮮味は少ないが、どの曲をどういうアレンジで演奏するかに興味は集まっていた。
会場に 5 時半ちょうどに到着するとまだ開場しておらず、ロビーには大勢の観客で溢れていた。日曜日ということもあり客の入りもまずまずのようだ。コンサートパンフを買って開演までの時間を過ごした。バンドメンバーは、いつもの面々に加えてパーカッショニストに大井”スパム”洋輔と、TTシスターズのお二人が加わった大所帯であった。
今回の席は、1 階 5 列目というとてもいい席が取れたので、期待に膨らんでいた。元春やサポートメンバー達の表情もよく見えるはずである。実際席に座ってみると、ステージがとても近かった。
開演時間である 18 時を 10 分ほど過ぎ、開演のブザーが鳴る。観客達も席に着き、開演を今か今かと待ちわびている。会場内の BGM が鳴り終る度に拍手が起こる。場内が暗くなり、ステージ上にかけられた暗幕にフィルムが映し出される。映像は、ほこりをかぶったフィルム缶を取り出し、映写機につけるというもので、そのフィルムの名が「SWEET SOUL,BLUE BEAT」となっているところがミソである。映写機にかけられたフィルムが元春の演奏する姿を映し出す。そしてその演奏と同時に実際の演奏が始まる。始まった曲は、意外にもバラード曲だった。
第一部
- グッドタイムス&バッドタイムス
- アイム・イン・ブルー
- マンハッタンブリッジにたたずんで
- シュガータイム
- ハートビート
- 7日じゃ足りない
- ドライブ
- ワイルド・オン・ザ・ストリート
前半 4 曲は、元春がキーボードの前に座り、演奏しながら歌っていた。アレンジも比較的原曲に近い感じだったように思う。めったにやらない曲ばかりなので、見ているこちらも得をした気分になってくる。「ハートビート」の前振りの MC では「横浜の思い出がいっぱい詰まった曲です」という言葉とともに、レゲエにアレンジされたこの曲が演奏された。サビの部分で元春と TT シスターズが手でハートマークを作るのがキュートである。「7日じゃ足りない」では、オリジナルアレンジよりもアップテンポで明るい感じがした。途中の歌詞の 1 フレーズを元春が歌わず、佐橋佳幸に歌わせるという趣向があった。「THE BARN」からはもう一曲、「ドライブ」も演奏された。こちらも少しアップテンポだったかな、と思う。「皆、もっと踊りたいんだろ ? 」という MC とともに演奏されたのが「ワイルド・オン・ザ・ストリート」。いつもこういうときだと「コンプリケーション・シェイクダウン」が演奏されるのでちょっと意外な選曲である。元春がパーカッションを叩く。途中スティックを持ちつかみそこない、演奏に中断が入る。
第二部
- HKBインストルメンタル
- 君が気高い孤独なら
- 荒地の何処かで
- 黄金色の天使
- レイナ
- 恋しい我が家
- 観覧車の夜
- 君の魂 大事な魂
- ワイルド・ハーツ
- ロックンロール・ナイト
- 約束の橋
- サムデイ
- アンジェリーナ
第二部は、インストルメンタル曲からスタート。記憶に間違いがなければ、「MILK JAM TOUR」でオープニングに演奏された、インストルメンタルナンバーと同一だと思う。この曲の最後に元春が再び登場して会場のボルテージがアップする。第一部では何もなかった背景に、「MOTOHARU SANO AND THE HOBO KING BAND SWEET SOUL,BLUE BEAT」の文字が浮かび上がっていた。2 曲目の「君が気高い孤独なら」はオリジナルアレンジに忠実だったが、アウトロの部分が長くなっていた。背景の文字がピカピカと光る。「座って効いてください」という MC とともに演奏されたのが「荒地の何処かで」から「レイナ」までだった。「荒地の何処かで」と「黄金色の天使」はやはりオリジナルに忠実なアレンジで演奏された。元春の声は少々高域がきつそうではあった。「レイナ」になると、再び元春はキーボードのそばに座り、ベースの井上富雄、パーカッションのスパム、管弦楽器の山本拓夫だけで演奏された。「THE SUN TOUR」では演奏されていないために「MILK JAM TOUR」以来の演奏となる。「レイナ」の前の MC では「THE SUN」に関しての話があった後、「何曲か聞いてください」という言葉とともに演奏された。続く「恋しい我が家」もオリジナルアレンジに近いアレンジで演奏された。「恋しい我が家」からは座っていた観客達も再び立ち上がって思い思いに手拍子を取ったりしていた。「観覧車の夜」の前の MC では、「皆さんの次の世代にも聴いてもらいたい」とつい「君の魂 大事な魂」の時の MC をしてしまい、危うく「観覧車の夜」を飛ばしてしまうところだった。メンバーからの指摘を受けて思わず「大人の皆さんに聴いてもらいたい曲があった」といい、「横浜のホテルに泊まって窓から景色を眺めていると、観覧車が見えたんだ」と言い訳をしながら「観覧車の夜」へと入っていった。アレンジは、ライブヴァージョンといえるものであり、ご機嫌なアレンジになっていた。「君の魂 大事な魂」の演奏が終わると、「ここからまた 80 年代に戻るんだ」と言って「ワイルド・ハーツ」が演奏された。3 番の演奏中、元春が「♪土曜の午後、仕事で、車を走らせていた」と歌い終ると SE で車がかっとんでいく様子が再現された。最後は事故ってしまい赤い照明が点滅するというおまけ付きであった。「ロックンロール・ナイト」はオリジナルに忠実なアレンジだった。アウトロでは、山本拓夫がキーボードの前に立ち、キーボードの演奏をしていた。「約束の橋」は「♪今までの君は間違いじゃない」という歌詞から始まる歌い方で、前回の「星の下 路の上」ツアーと同じアレンジであった。「サムデイ」の演奏前の MC では小田和正さんと競演したことに触れ、「彼は僕より 10 歳も年上なんだ。そして声が高い。まあ、どうでもいい事なんだけれど」ということで笑いを取っていた。そして「いつかきっと」ということに触れてから演奏された。なかなか感動的な演奏だったと思う。
アンコール 1
- ハッピーマン
- ソー・ヤング
アンコールはどちらも踊れるナンバーだった。テンポが速く、ノリのよい感じであった。
アンコール 2
- 悲しきRADIO
- HKBメドレー
アンコール 2 回目は、お馴染みとなった「悲しきRADIO」。後半の「♪ムード盛り上げれば」という観客に歌わせるコーナーで、最初はうまく行かずに元春がすねてステージ袖に引っ込んでしまった。バンドメンバーが客席を煽り、観客もそれに呼応するかのように声援を送り続ける。それを聞いた元春、ようやく袖から戻ってきて、再度観客に歌わせる。2 度目は成功し、ご機嫌な感じで演奏が続いていた。「HKBメドレー」では、「横浜の夜をもっと熱のこもった夜にしたい」ということで観客と「I Love You / You Love Me」のコール & レスポンスを繰り返した。観客のボルテージも最大限に沸騰する。演奏が終わったあと、バンドメンバーの紹介をする。古田たかしの紹介が飛ばされたかと思ったが、元春曰く「忘れていない」ということで、「そして最後に」との声に続いて紹介された。
アンコール 3
- 彼女はデリケート
観客の鳴り止まないアンコールの声援に「他の会場の仲間には内緒だよ」という言葉とともに演奏されたのがこの曲。観客の跳ね方も熱狂的であった。
「彼女はデリケート」が終わると、ようやくライブは終了した。時計を見ると、21 時 15 分。約 3 時間のライブだった。元春の MC があっち行きこっち行きするというところがあったとしても、長いライブである。しかし、なんてご機嫌なライブであろう。元春も終始ご機嫌だったし、出来のいい日だったな、と思う。
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