佐野元春 名盤ライブ「SOMEDAY」 Zepp DiverCity
2013年11月16日
最初、この名盤ライブ「SOMEDAY」を開催するという話を聞いた時、あまり触手は浮かなかった。確かに佐野元春の初期の代表作ではあるが、VISITORS、Cafe Bohemia辺りからファンになって、そこから遡るように初期三部作を聞いていった身としては、あまり思い入れのあるアルバムとは思えなかった。しかし東京、大阪でしかライブをやらないということ、東京のライブ日程が土曜日で遠征しても行けるということ、そして何より入場者限定の特典ブックレット及びDVDがもらえるという点で、ファンクラブ先行の予約を入れていた。
チケットは無事に取れ、今度は航空券の手配にてんてこ舞いする羽目になった。とにかく安いチケットをと、スターフライヤーの早割を予約開始日にiPhoneでサイトから予約を入れ、こちらも無事確保した。
当日は、午前中から移動した。昼過ぎにライブ会場であるダイバーシティ東京に到着。昼食と1/1ガンダムの見物で時間を潰していた。
3時前から会場であるZepp DiverCityの前に移動する。ここあたりから会場はちょっと不穏になる。係員の手際が悪く、整理番号順に入場するのだが、一人ずつ呼ぶという手順を踏んでいたのである。その順番の回転の遅さに観客からブーイングが上がっていた。こんなに手配が悪いライブも初めてである。
整理番号がA550番台の僕が会場に入れたのは3時半ぐらい。先に特典のブックレットとDVDを受け取りに列に並んだが、こちらもあまりスムーズではなかった。こういうのは、チケットもぎりの時に一緒に渡すものではないかなと、思ってしまった。
ようやく会場内で自分の位置を確保し、それからしばらく待つ。場内のSEは「SOMEDAY」のリリースされた1982年の洋楽のよう。ライブの雰囲気を盛り上げていた。
アナウンスがあり、ライブがスタートしたのは、4時10分か15分ぐらいだと思う。まず場内が暗くなり、ステージ後ろのスクリーンに映像が流れた。なんとアルバムの「SOMEDAY」を取り出し、レコードプレーヤーに置いて、レコードの針を落とすところが流れたのである。レコード特有のノイズが流れ、そして間も無く本物のバンドによる演奏が始まった。
本編
- Sugartime
- Happy Man
- DOWN TOWN BOY
- 二人のバースディ
- 麗しのドンナ・アンナ
- SOMEDAY
- I’m in blue
- 真夜中に清めて
- Vanity Factory
- Rock & Roll Night
- サンチャイルドは僕の友達
バンドメンバーは、ギターに長田進と佐橋佳幸、キーボードにDr.kyOnと西本明、ベースに井上富雄、ドラムに古田たかし、パーカッションはスパム、コーラスに堂島孝平と佐々木久美、そしてサックスに十数年ぶりの再会となるダディ柴田の強力布陣である。「Sugartime」は久々の演奏でかつレコードと同じアレンジ、同じタイミングによるセリフ、これらがゴージャスなバンドメンバーによって奏でられる。「Happy Man」はライブではおなじみだが、レコードと同じアレンジによる演奏は珍しいと思う。「Down Town Boy」のアルバムバージョンは初だと思う。
ここでMC。元春本人がこういうライブをやることを、驚いている様子。そして「今日誕生日の人に特別の思いを込めて」と「二人のバースディ」を演奏。「麗しのドンナ・アンナ」は僕はライブで初。じっくりと聞いていた。A面最後の曲は「SOMEDAY」。この曲が終わると、場内が暗くなり、再びスクリーンに映像が流れる。なんとレコードのA面が終わったところから、B面にひっくり返すところまで流しているのである。すごい凝っている演出である。
B面最初の曲は「I’m in blue」。この曲が終わると、再びMCが入る。そして初演奏の「真夜中に清めて」。サビの部分の元春の叫びに感動する。「Vanity Factory」は結構興奮する。コーラスが効果あげていると思う。B面のハイライト曲である「Rock & Roll Night」はライブでもお馴染みだが、バンドの重層的な演奏に改めてその良さを実感する。後半の元春の雄叫びには力がこもっていた。
本編最後の曲なのが、「サンチャイルドは僕の友達」。ここでゲストの伊藤銀次が出てきて、元春と一緒に歌う。演奏が終わっても、スピーカーからは、アナログレコードと同じようにドラムの「ドーン・ドーン・ドーン」という音が続いていた。再びスクリーンが出てきて、クレジットが流れ、ライブ本編は終了。
アンコール
- Bye Bye C-Boy
- マンハッタンブリッヂにたたずんで
- 彼女はデリケート
メンバーがステージ上に出てきて、元春がメンバー紹介をする。会場は盛り上がる。そして元春は「アルバムの演奏は終わったけれど、まだ物足りない」という話をして、まさかのアンコール。「NIAGARA TRIANGLE VOL.2」から3曲演奏した。最初アンコールで伊藤銀次を呼び出したのだが、何故か「彼女はデリケート」まで出てこず。最初に演奏された「Bye Bye C-Boy」は珍しい部類に入ると思う。記憶に間違いなければ「30th Anniversary Tour 大阪Final」で演奏されただけだと思う。「マンハッタンブリッヂにたたずんで」は最初に「NIAGARA TRIANGLE」に持って行かれたことを、ユーモアを交えて話していた。「大滝詠一が福生で寝ている」など爆笑もののMCだった。ライブ最後の曲は「彼女はデリケート」。残念なことにモニターの不調か、元春の音程がかなり怪しくなっていた。観客はまだ物足りない雰囲気はあったが、これでライブは終了した。
この後の退場がまた係員の手際の悪さが目立ち、なかなか外に出られなかった。ライブが終わってから、2-30分ぐらいかかっていると思う。特典受け取りの列と、グッズ購入の列と、退場の列がぐちゃぐちゃになっていた。
スタッフの手際の悪さには少々腹が立ったが、ライブそのものはいいライブだったと思う。「SOMEDAY」というアルバムの再発見にも繋がったと思う。特典のドキュメンタリーBOOKとDVDがついて15000円という入場料はさすがに高いと思うが、ライブそのものは完成度が高かったと思う。ちょっと元春の声にハラハラはさせられたけれど。
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