1917(4K UHD Blu-ray)
邦題 | 1917 命をかけた伝令 | |
レーベル | UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2019年 | |
上演時間 | 119分 | |
監督 | サム・メンデス | |
出演 | ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 / DOLBY DIGITAL PLUS 7.1ch フランス語、スペイン語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
1917年4月6日、第一次世界大戦の最中、連合国軍はドイツ軍と対峙していた。前線を指揮する第二大隊は、ドイツ軍が退却したのを見て、総攻撃を仕掛ける計画を練っていた。しかし、それはドイツ軍の罠で、第二大隊を殲滅しようとする策略だった。その罠に気づいた総司令は、部下のブレイクとスコフィールドに第二大隊のところに行き、ドイツ軍を攻略する作戦を中止させるよう指示書を渡す。ブレイクの兄は第二大隊にいたので、ブレイクとスコフィールドは遥か彼方にいる第二大隊まで、たった二人で伝令を伝えにいく。その途中で様々な障害があり、二人はその障害を乗り越えていくが、乗り越えられない障害もあり、ピンチに陥ったりもする。たった二人で第二大隊に接触できるのか、試練が待っていた。
レビュー
アカデミー賞に輝くサム・メンデス監督が、驚異の映像マジックで第一次世界大戦中の物語を描き出す大作映画が、この「1917 命をかけた伝令」です。製作費は95百万ドルもかかっていますが、北米の興行収入だけでも159百万を稼ぎ出していて、大ヒットを記録しています。また、映画評論家、観客からの評判も高く、ROTTEN TOMATOESのスコアでは、批評家が89%、観客が88%と高評価を得ている作品であります。2020年のアカデミー賞で、視覚効果賞、撮影賞、録音賞の3冠を受賞しています。
この映画が驚異の映像マジックで製作されている、と書きましたが、それは全編1カットで撮影されたかのようなカメラ回しによる物だからです。物理的に考えて、映画全編を1カットで撮影できるはずはないので、どこかでカメラの切り替えを行う必要があるのですが、それを巧妙に隠して編集しているため、映画全体で1カットの映像を見せられていて、それが物語の主人公であるブレイクとスコフィールドに寄り添ったカメラワークであるために、主人公たちに感情移入しやすい作りになっています。さすが、アカデミー賞で撮影賞と視覚効果賞を受賞しただけのことはあります。
その主人公たちに寄り添ったカメラワークにより、主人公たちの視点で第一次世界大戦を描き出していますが、大局的な戦争物ではなく、パーソナルな視点での戦争映画という感覚が強いです。主人公であるブレイクとスコフィールドが体験する試練を、観客も共有していて、ブレイクとスコフィールドが直面する困難に観客も向かい合うことになります。
戦争物であり、アメリカでの年齢制限がR指定という18歳未満の観客は父兄の同伴が必要、という指定を受けているためか、結構エグい描写が映画全編を彩っています。ネズミや蠅といった死体に取り付く動物、昆虫が画面を覆い、戦死した兵士の死体が内臓をぶちまけた状態で放置されていたり、結構戦争の悲劇を余すところなく描いています。そのため、主人公たちの直面する困難さを映像でも表現しています。
物語途中で主人公に試練が待ち受けていて、予想外の展開が待っていますが、それでも総司令の命令を遂行しようとする主人公の精神のタフさは、物語を進行させる要素になっています。途中途中でドイツ兵が主人公に襲いかかり、ピンチに陥りますが、それをどう交わすのか、交わせないのか、物語的に緊迫感を持った演出がなされています。また、前線にいる第二大隊の中にブレイクの兄も所属しているので、ブレイクの兄の生死も気になる展開になっています。
映像は4K/DOLBY VISIONでの収録になっています。映画のマスターフォーマットが4Kであるので、4K UHD Blu-rayの4Kもネイティブ4Kでの収録になっています。ネイティブ4Kでの映像は、見通しが高精細で、高い解像度を放っています。また、色合いも戦争ものにふさわしい色彩になっていて、臨場感を感じさせるものになっています。音響はユニバーサルの4K UHD Blu-rayではdts:Xが採用されることが多いのですが、本作はDOLBY ATMOSでの収録になっています。サラウンドは広大なサウンドフィールドが構築され、主人公の遥か彼方の上空で戦闘している航空機の音の移動感ですとか、ドイツ軍の作った塹壕のトラップにハマった主人公たちが岩の落下音に襲われるシーンなどで、効果的なイマーシヴサラウンドを発揮しています。DOLBY ATMOSのデモンストレーション映画としても最適な映画であるのではないかと思われます。
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