A HISTORY OF VIOLENCE
邦題 | ヒストリー・オブ・バイオレンス | |
レーベル | NEW LINE HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2005年 | |
上演時間 | 96分 | |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ | |
出演 | ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
トム・ストールはカフェを経営する平凡な市民だった。しかし、ある日強盗を射殺してしまい、町のヒーローとなる。すると、どこからともなく、彼をジョーイと呼ぶ、一団が表れた。彼らは、トムばかりか、彼の家族にも付きまとう。そして、彼の過去が次第に明らかになっていく…。
レビュー
カナダの鬼才、デヴィッド・クローネンバークが原作のグラフィックノベルの映画化を果たした作品が、この「ヒストリー・オブ・バイオレンス」です。
物語は、最初トム・ストールと彼の家族を中心に描いていきます。彼は、平凡な一市民であり、町でカフェを営んでいます。妻のジョーイ、息子のジャック、娘のサラと4人家族で平凡ながらも幸せな生活を営んでいます。
しかし、ある日店に押し入った強盗達との遭遇により、その生活は一変してしまいます。平凡であるはずのトムが、強盗たちをあっという間にやっつけてしまうのです。トムも負傷してしまいますが、その相手を倒すしぐさは、過去に何かあったことを示唆しています。
強盗を倒したことで、一躍町のヒーローとなってしまうトムですが、物語はここからトムの家庭の崩壊へとその動きを増して行きます。大盛況になったカフェでトムのことをジョーイと呼ぶフォガティなる人物が現れることで、その展開は急を告げるのです。
物語前半では、息子のジャックが学校でいじめられているシーンもありますが、その後、トムがバイオレンス色を深めるにつれ、息子も同様にバイオレンス色を強めていきます。いじめられていた同級生を逆に殴り倒してしまうシーンや、フォガティを射殺するシーンなどで、親父の過去に背負った暴力をそのまま受け継いだかのような行動にでてきます。
一方、トムは、家庭を守ろうと悪戦苦闘しますが、結局は、暴力に頼ることになり、妻のエディから拒絶されていきます。こうして、家庭は徐々に崩壊の一途を辿ることになるわけです。物語中盤での階段でのセックスシーンは、家庭の崩壊を描いたシーンとしては、なかなか秀逸だと思います。
物語は、クライマックス、リッチーを倒してトムが家庭に戻るシーンで幕を閉じますが、このシーンも示唆的です。妻は、彼を見つめたまま、何も言いませんし、サラは、片付けてあった皿をトムの前に置きます。そして、ジャックは、肉をトムの前に持ってきます。崩壊してしまった家族が再度再生を図ろうとするシーンだと思われます。
画質は、フィルム調で、日中のシーンは大変クリアですが、夜のシーンでは、少し明瞭感がないような感じがします。昼のシーンでは、多少青みがかったシーンが多いような気もしますが、クローネンバーグ監督は、意図してそのような冷たいシーンを撮っていたのではないかと思われます。音響は、2chステレオで鑑賞しましたが、拳銃の発射シーンなどで迫力ある立体音響を堪能することが出来ます。物語自体が暗い展開ですので、サラウンドも派手ではないと思われます。
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