BATMAN BEGINS(DVD/Blu-ray)
邦題 | バットマン・ビギンズ | |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 2005年 | |
上演時間 | 140分 | |
監督 | クリストファー・ノーラン | |
出演 | クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声(DVD) | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 | |
音声(Blu-ray) | DOLBY TRUE HD 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、日本語 |
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字幕 | 日本語、英語 |
あらすじ
ゴッサム・シティの大富豪、ブルース・ウェインは、幼い頃、自分の目の前で両親を殺されたトラウマを持っており、悪に対して人一倍思うところを持っていた。そんな彼にラーズ・アル・グール配下のデュガードが近づき、彼を特訓しだす。デュガードの狙いは、ゴッサム・シティの浄化だった。特訓が終わり、デュガードと袂を分かったブルースは、自身の会社のフォックスが開発した兵器を身にまとい、バットマンとしてゴッサム・シティの悪と対峙し始める。そんな彼に、スケアクロウや、デュガードが立ちふさがる。果たしてバットマンは、デュガードの作戦を阻止することが出来るのか?
レビュー
90年代に制作された一連のバットマンシリーズから一歩身を引いて、再度バットマン誕生秘話を描いた作品が、この「バットマン・ビギンズ」です。ティム・バートン版のバットマンもバットマン誕生秘話みたいなところはありましたが、今回の作品は、更に詳しくバットマン誕生の経緯が描かれています。
今回のバットマン誕生秘話には、ラーズ・アル・グール率いてる秘密結社が関わっているところがミソだと思います。この秘密結社は、毒をもって毒を制す、みたいな概念をもっていまして、ブルースもその仲間に誘い入れようとします。
しかし、ブルースは、幼い頃体験した、こうもりに襲われた体験と、それが引き金となって両親を殺された体験から恐怖感を抱いたまま成長していきます。それがデュガードのトレーニングによって克服され、ラーズの概念とは相容れなくなってきます。
それが最初に表れたのは、ラーズの屋敷で行われた決闘シーンに表れているのではないかと思います。殺人犯を殺せと命ずるデュガードに対してブルースは殺すことが出来ずにラーズ一味と相対することになり、ラーズの死亡を確認することになります。そして、デュガードに関しては、命を救うというシーンに表れてくるわけです。
ラーズの屋敷から帰ってきたブルースは、次第に恐怖を克服して、自らがこうもりの格好をして夜のゴッサム・シティを駆け抜けることになります。当然正義の味方とはいうものの、警察からも追われる身となってしまいます。ミスター・自警団と同じことをしているからです。
唯一バットマンの味方をするのがゴードン警部補で、彼もバットマンの姿に困惑しながら協力をしていく羽目になってきます。彼が後半バットモービルを操る場目になるのは、バットマンが彼を信用しているからに他なりません。
一方、ゴッサム・シティは、悪がはびこる街と化しています。バットマンがこの悪党退治を始めた頃から、ラーズの暗躍が始まるわけですが、バットマンもラーズも、ゴッサム・シティを浄化したいという気持ちは同じです。しかし、その手段が違うというのが物語の肝というわけです。
物語途中で活躍するスケアクロウも、ラーズの仲間という形でバットマンに相対していくことになります。彼が作った毒ガスは、まさにバットマンが克服したはずの恐怖感を煽るものになっていて、これを物語後半でゴッサム・シティにばら撒くという作戦がラーズのゴッサム・シティ浄化につながっている訳です。
バットマンは、ラスト、デュガードを助けることはしませんでした。これがバットマン流の正義の貫き方なのだろうと思います。
画質は暗いシーンが多いですが、はっきりと見えるようにはなっているので、バットマンのダークな雰囲気がよく表れているように思えます。音響は、2chステレオで鑑賞しましたが、スケアクロウの毒ガスの効果のシーンで音に包み込まれる感じがして、迫力がありました。
Blu-ray盤での感想
シリーズ第3作目の「ダークナイト ライジング」を鑑賞したので、改めてシリーズ第1作の「バットマン・ビギンズ」を鑑賞しました。「ダークナイト ライジング」がこの第1作目の「バットマン・ビギンズ」の設定を濃厚に引き継いでいることから、気付きがないかを鑑賞してみたのですが、結構伏線みたいなものは貼られているのだなと気付かされます。
やっぱりこれはバットマンことブルース・ウェインが己の恐怖や怒りをどう正義の行為に転化していくかの物語だと思います。自分の両親が目の前で犯罪者に殺され、自責の念に捕らわれるブルースは、そうした心の闇を消化できずにバットマンとして正義の行動を犯してしまうところが、シリーズの成り立ちであり、それは第3作目のラストにもつながっているのだと思います。
DVD版で観た時には気付きのなかったラーズ・アル・グールの正体は実はデュガードという設定も、ブルースを導き、そして方向性は間違っているがゴッサム・シティを浄化しようという展開に無理のないのに気付かされます。ラーズは悪を憎んでいますが、実はやっていることは悪の行為そのもので、その辺の葛藤がブルースに見られるのがバットマン誕生の理由ではないかと思います。
ラーズに協力するクレインことスケアクロウは、実はシリーズ3作を通して出演という快挙を成し遂げ、地味に悪の道を活躍していますが、当然この「バットマン・ビギンズ」での活躍が一番目立っています。ちょっと気味の悪いクレインの役をキリアン・マーフィーという役者が実に楽しそうに演じているところがキャラの設定に奥行きを与えています。
ゴードン刑事がただ一人バットマンに協力しているところもなかなか渋い設定だと思います。バットマンを味方とは警察では捉えていなくて、DVD版でも書きましたが、ミスター自警団になってしまうところは、現実的な描写だと思います。それは続編が作られるたびに強くなっていき、バットマンの苦悩が強くなるという展開を見せています。真実を知っているのはゴードンだけという話はストーリーに魅力を感じるところではあります。
ブルースの幼馴染であるレイチェルとブルースの関係も物語の肝になっていると思います。ブルース側がいつまでもレイチェルのことを思っているのに、レイチェルは次第にブルースから離れていくように感じるのは第2作「ダークナイト」の設定があるからかもしれませんが、この二人の関係がブルースの一方通行っぽい感じなのは寂しきヒーローというイメージがあります。
「ダークナイト」、「ダークナイト ライジング」ではもうひとつの主役といってもいいゴッサム・シティですが、今作では創られた街という印象がします。それは後の2作では登場しないモノレールが街を廃退的に見せているからであり、その辺の関連性は薄いかなと思います。しかしそれでも犯罪者の巣窟である街というイメージは一番強いのではないかなと思います。後の2作ではアメリカの普通の大都市という印象に変わってしまっているので、余計そう思います。
画質はBlu-rayとしては標準の画質だと思います。DVD版に比べるとかなり見やすく、暗いシーンの多い今作でもバットマンと犯罪者の闘いがよく分かるようになっていると思います。このBlu-rayリリース時のワーナー盤はマイクロソフトのVC-1という方式で収録しているので(HD-DVDとの兼ね合いでこうなった)、飛び抜けて高画質ではないのですが、ノイズもなく、見ていて不満の少ない画質だと思います。音響はDOLBY TRUE HD 5.1chで再生しましたが、ナチュラルなサラウンド音声です。強調したサラウンド音声を提供するのではなく、あくまで主音声はフロント3チャンネルという意図でサウンドデザインがされているように思います。
なお、このBlu-rayは輸入盤ではありますが、ワーナーの世界共通盤としてリリースされているもので、日本のプレイヤーで再生すると日本語字幕、吹き替え音声が選択できるという仕様になっています。今回その恩恵に預かり、英語のDOLBY TRUE HD音声、日本語字幕での鑑賞となりました。
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