BiRDMAN OR (THE UNEXPECTED ViRTUE OF iGNORANCE)(Blu-ray)
邦題 | バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) | |
レーベル | 20th CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2014年 | |
上演時間 | 119分 | |
監督 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ | |
出演 | マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語 / dts 5.1ch フランス語 |
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字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
ハリウッド俳優のリーガンは、かつて「バードマン」というスーパーヒーロー物の主役で人気を博していた。しかし、「バードマン」以降、彼のキャリアは低迷し、ニューヨークのブロードウェイで、自身が演出、脚本、主演を務める演劇で再起を図ろうとしていた。だが、彼の演劇では他の俳優のエゴや、家族との関係、リーガン自身が取り憑かれている「バードマン」の声により、混迷を深めていた。一般上演前のプレビュー公演で、批評家から高評価を得ようと奮闘するリーガンだったが、事態は悪化の方向をたどっていた。
レビュー
1989年と1992年の「バットマン」シリーズで主役のバットマンを演じ、その演技力が高く評価されたものの、その後鳴かず飛ばずの生活を余儀なくされたマイケル・キートンを主役に備え、キートンの復帰を後押しした映画が、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督による「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」です。2014年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門を受賞した傑作映画であり、興行的にも成功を収めている作品であります。
この映画が素晴らしいのは、主役を演じたマイケル・キートンの実生活と、物語の主役であるリーガンとがシンクロしている点にあると思います。物語の中でリーガンは、「バードマン」というスーパーヒーローものの主役を務めたことで名声を得ますが、その代わりに他の役に恵まれず、落ちぶれた生活を送っています。この点が、俳優マイケル・キートンの人生と重なるところが、現実と映画の世界をつなげる点にあり、映画の面白さを伝えるところであります。
映画の手腕として面白いのは、なんとカット割がなく、冒頭からワンカットでずっと映画を演出しているところにあると思います。現実問題として、ワンカットで全編撮影するのは無理だと思うので、どこかでカット割が入っているのではないかと思いますが、見ている限りではカットが全くなく、ワンカットで様々な登場人物を描き出しているところが、この映画独特の演出になっていると言えます。
また、音楽もジャズのドラムを中心にしたサウンドトラックになっているのも、独特の演出方法になっていると言えます。ドラムだけの表現により、妙にテンションの高い作風になっており、この映画の魅力を高める効果になっています。
リーガンを中心に物語は進んでいきますが、彼の娘との関係や、共演する俳優たちとのトラブル等、リーガンにとっては頭が痛い事件が次々起こります。それらに対して、リーガンがどう対処し、逃げていくのかが、物語の中心であり、後半になると超写実的描写もあり、意表を突いた演出があるのが、面白いと言えます。次第に追い詰められるリーガンがとった行動が、物語のラストに向けて突き進んでいき、ラストの観客に対する判断を委ねるオチは、映画の余韻を深く残すところであります。
映像はビスタサイズでの収録ですが、十分な色乗りがあり、また、解像度も十分で魅力的な映像を提供しています。夜のシーンで若干ノイジーな場面があるところもありますが、基本的にはノイズレスな映像で、見ていて飽きません。音響はdts-HD MA 5.1chですが、ドラマにしてはものすごくサラウンドに凝った作品です。ドラムのサウンドトラックは低域まで十分に出ていますし、環境音は意識的にサラウンドチャンネルに回すことで、主人公を取り巻く環境を観客にも伝えるものになっています。
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