DAYS OF BEING WILD(Blu-ray/CRITERION)/欲望の翼/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

DAYS OF BEING WILD(Blu-ray/CRITERION)

WORLD OF WONG KAR WAI Blu-rayジャケット 邦題 欲望の翼
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1990年
上演時間 95分
監督 ウォン・カーウァイ
出演 レスリー・チャン、アンディ・ラウ、マギー・チャン
画面 1.85:1/SDR
音声 PCM 1.0ch 広東語
字幕 英語

あらすじ

 1960年の香港。ヨディは、サッカー場のスタンドで働くスーに声をかける。スーの名前を知っているヨディに対して、スーは驚くと共に、警戒心を抱く。ヨディはスーに対して「友達になりたい」と声をかけ、毎日スタンドに通うようになり、最初は1分間の友達だったものが、次第に親密な仲になっていく。しかし、結婚を望むスーに対して、ヨディはその気がなかったため、スーはヨディから離れていく。ヨディはその後ミミという女性と知り合うが、ミミにはヨディの友達があてがわれる。孤独なスーは、夜の見回りをしている警察官と出会い、帰宅のための交通費を借りたことから、警察官と交流を持つことになる。警察官は仕事を辞め、船員になろうと考えていた。ヨディは、育ての親がアルコールに溺れているのに苦慮し、実の親の名前を知りたがっていたが、育ての親は生みの親の名前を告げることを拒否していた。そして、生みの親を探すために、ヨディはフィリピンに赴く。そこで船員になった元警察官と知り合いになる。

レビュー

 1990年に公開され、撮影監督のクリストファー・ドイルとのコンビが結成され、ウォン・カーウァイの映像スタイルが確立された映画が、この「欲望の翼」です。1960年の香港を舞台に描かれる若者達の淡い人間模様が描かれた作品であります。「欲望の翼」は各方面の映画賞を軒並み受賞し、Rotten Tomatoesの批評家評価で91%、観客評価で88%と高水準の評価を得ている作品です。

 物語は複数の男女の恋愛模様と、人生について独特の映像スタイルで表現していく作品になっています。主人公であるヨディは、生みの親を知らずに育ち、生みの親を探しています。しかし、育ての親はヨディに対して生みの親の情報を与えようとしません。そのため、ヨディはパーソナルな視点で自分の出生の秘密を知りたがり、彼は何人かの女性と付き合っていくプレイボーイになってしまいます。

 そのヨディに声をかけられるのが、サッカー場のスタンドで飲み物を売っているスーという女性で、ヨディに対して最初拒絶の意思を持っていたものの、彼の執拗なアタックに負け、次第にヨディを愛するようになります。しかし、ヨディには結婚する意思がなかったため、スーは彼から離れていきます。恋敗れたスーは、自宅に戻るお金がないことから警察官にお金を借りることになります。その警察官もスーを想うようになりますが、そちらの恋も続かないうちに終わってしまいます。

 警察官は、自分の仕事を辞めて、船員になって海外に行きたいと思っている若者です。そして、本当に警察官を辞め、フィリピンにたどり着くことになります。フィリピンには、自分の生みの親を探しているヨディがいました。生みの親を見つけ出したヨディですが、生みの親から拒絶されたことで、傷心の状態になっています。そのヨディと元警察官が出会い、交流を交わすところから、物語はラストの悲劇に向かって疾走を始めていきます。

 映像で印象的なのは、時計の秒針が動くチクタクという音と、他の映画でもお馴染みの大雨のシーンです。これらの映像は、他の映画でもトレードマークのように使われていて、映画にインパクトを与えるものになっています。時計の秒針がチクタクと動く様は、1960年という時代背景を印象付けるものになっています。また、大雨は、登場人物の心の動きを強化するアイテムとして、印象に残る場面になっています。

今回試聴した「欲望の翼」は、CRITERION COLLECTIONの「WORLD OF WONG KAR WAI」というBlu-ray BOXセットでリリースされています。4KマスターからBlu-rayの2Kマスターを作っていますので、解像度はフィルムの粒子が見えるほど高く、フィルムの魅力を導き出していると思います。ただ、シーンによってはフォーカスしているキャラクター以外の背景や他のキャラクターがわざとボケるような撮影を行なっているため、ピントが甘いところもあります。音響はPCM 1.0ch 広東語で収録されています。モノラルサウンドトラックですが、映画の魅力を損なうほどではありません。太い音圧が映画の魅力を高めています。

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