DISTRICT 9/第9地区/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

DISTRICT 9

DISTRICT 9 DVDジャケット 邦題 第9地区
レーベル SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2009年
上演時間 112分
監督 ニール・プロンカンプ
出演 シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語
字幕 英語、フランス語

あらすじ

 南アフリカのヨハネスブルグに突如来訪した宇宙船。そこからエイリアンたちが大挙押し寄せ、人類は彼らを第9地区と呼ばれる地域に隔離してエイリアンと人間の共存が始まった。それから20年、エイリアンたちを統治するMNUはヴィカスという職員をリーダーにエイリアンたちの第9地区からの立ち退きを要求していた。その途中でエイリアンの謎の液体を浴びたヴィカスは、エイリアンに変身をしつつあり、MNUから追われる立場になる。偶然エイリアンの一人が宇宙船を再起動しようとしていることを知ったヴィカスは、エイリアンに協力し、自分も人間に戻してもらおうとするのだが、MNUの追撃は激しかった。

レビュー

 アカデミー賞にもノミネートされて、作品の興行的にも成功を収めたのがこの「第9地区」です。制作費が結構安い中、北米地域だけでも興行収入1億ドルを越す大ヒットになりました。

 この物語の奇抜なところは、エイリアンが地球に定住してしまい、街が荒廃していくという設定にあるのではないかと思います。これまでにも様々なエイリアンが映画に登場しましたが、大抵は人類に敵対するか、友好的かで計られ、一種の入国難民のような扱いというのはなかったと思います。アメリカで観た場合には、メキシコあたりの不法入国者を思い起こさせるものになっているかと思います。

 物語前半はドキュメンタリータッチで、エイリアンと人間の共存関係が描かれていきます。人類はエイリアンたちの立ち退きを要求し、エイリアンを管理するMNUは彼らを第9地区から立ち退かせようとする姿が、カメラで撮ったニュース映像や、ハンディカメラ、監視カメラ等様々な画質のカメラを通じて描かれています。そこで「この物語はどう転んでいくのだろう?」と考えさせられるような展開を繰り広げられていきます。

 話が転換するのは中盤に入ってからで、エイリアンの立ち退きのリーダーを務めることになったヴィカスが、エイリアンの謎の液体を浴びて、体の不調を訴え、次第にエイリアンの姿に変身していく辺りでヴィカスを中心に据えた物語として進行していくことになります。

 ヴィカスがエイリアンに変身することを知ったMNUのメンバーは彼を実験材料として、捕まえ検査しようとしますが、それを恐れたヴィカスがエイリアンに接触し、彼らの故郷に帰りたいという願いを聞き入れるのと引換に自分も人間の姿に戻してもらおうとする付近から、人間が正義でエイリアンが悪という構図が崩れていき、エイリアンもただの難民で故郷に帰りたいだけだという物語の転換が計られることになります。

 物語前半と後半ではエイリアンに対する視点が違っており、前半では不法難民としての迷惑な存在、後半では故郷に帰りたいエイリアンの苦悩を中心に描いているところから、観ている観客も心情の変化を起こさせることになります。そういう意味では、うまい作りの映画だなと思います。

 また、段々エイリアンに変身していくヴィカスの状態が物語の展開を加速させていき、彼が助かるのかどうかという点で興味を引っ張っている点も面白いところです。ヴィカス自身が自分がエイリアンに変身しつつあることにより、エイリアン側の立場で行動を起こしているところがあり、この辺の物語の転換もストーリーを引っ張っているところでしょう。

 画質は、物語前半ではハンディカメラや監視カメラ等の映像を多用しているために、そのソースの影響をもろに食らっていてそんなに高画質ではないと感じる所ではありますが、後半ヴィカスの逃走劇の辺りになりますと、ものすごくクリアな映像を提供するようになります。DVDの解像度ではありますが、不満のない映像であるといえるでしょう。音響はサラウンドをかなり活用していて、素晴らしいサウンドフィールドを形成しています。銃撃シーンなどの迫力でいうとあまりすごい所ではないのですが、聞いていて映像の3D感を補強するような感じの作りになっているかと思います。

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