EL MARiACHi
邦題 | エル・マリアッチ | |
レーベル | COLUMBIA TRISTAR HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 1992年 | |
上演時間 | 81分 | |
監督 | ロバート・ロドリゲス | |
出演 | カルロス・ガラルド、コンスエロ・ゴメス、ピーター・マルカルド | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 2.0ch フランス語、スペイン語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語、韓国語 |
あらすじ
メキシコの片田舎で、麻薬の密売をして金を儲けていたモコに、囚人のアズールが自分の分け前をよこせと、脱獄をし彼に迫ってくる。モコはアズールの抹殺を部下に指示するが、簡単な服装と、ギターを持っているとだけしか言わなかったために、たまたまその街に流れてきたマリアッチがアズールと間違えられ、命を狙われる。マリアッチはぎりぎりのところでもこの部下を殺害し命を守り、偶然にもドミノという女性の経営するバーに逃げこむ。しかしドミノもモコの愛人だった。
レビュー
2012年現在すっかり雇われ監督として、節操のない映画撮影をしていますが、この「エル・マリアッチ」で登場したときはかなりの期待を寄せられていたロバート・ロドリゲス監督のデビュー作です。元々は7000ドルという低予算でインディーズ映画として製作されましたが、コロンビア映画に評価され、全国公開されたという逸話を残しています。
ロバート・ロドリゲス監督のこの作品に置ける演出はなかなか優れていると思います。アクションとギャグが見事に融和して、飽きさせない演出をしていると思います。一番印象に残るギャグは、脱獄犯アズールがバーで「ビール」を頼む時のバーテンダーの態度で、大抵がグラスでビールを提供しようとして、「瓶だ」とアズールに怒られるというシーンです。これには笑いを隠せませんでした。
その他にもギャグっぽい演出として、コマ送りのような状態を作って、キャラクターの演技を面白い状態にしている点も見ていて感心するところであります。最初にマリアッチがバーに行って「雇ってほしい」という場面で、「既にキーボーディストがいるから駄目だ」というシーンはギャグだなと思いました。
物語の骨子もなかなか秀逸だと思います。マリアッチが犯罪組織に間違えられて命を狙われるという不条理な展開で、それにしてマリアッチの敵対する組織への反撃が見事なのにも感心する次第であります。物語はクライマックスに行くにつれ、主人公とそれを取り巻く関係者の行動が一本に繋がっていくのが面白いと思いました。
アクションシーケンスは、結構迫力あります。R指定受けているだけあって、人が撃たれると盛大に血を流して倒れますので、どぎつい感じもしますがそれだけ物語に没頭できるような仕掛けを施していると思います。あと上手い使い方だなと思ったのが、マリアッチが敵から逃げる際にトラックの荷台に身を隠すシーンが多く、これはうまい逃げ方だなと印象を受けました。
物語は最終的には様々なキャラが死んで、主人公だけが生き残りますが、どうもその終わり方はハッピーエンドという感じではないところも、インパクトを与えます。マリアッチはもうギターを弾くことも出来ませんし、彼を匿ってくれたドミノも死んでしまい、頼るところがないというエンディングになっています。希望があるようでないように取れる終わり方だと思います。
画質は、元々のフィルムが良くないと思うのですが、色の発色自体はいいものの、フィルムの傷やごみ、フィルムグレインが盛大に乗っているというDVDあたりでは珍しい画質になっています。ノイズなどは結構ビットレートを使うのでDVDのマスターを作る際にノイズリダクションでノイズを除去するのが普通ですから、この作品はそれをしていないことになります。DVDのジャケットには監督監修とありますから、ロバート・ロドリゲスがこれで良しとしたマスターなのだと思います。音声は英語音声ではなく、スペイン語音声がデフォルトになっています。2.0chのDOLBY SURROUNDですが、こちらは多分劇場公開時に修正したと思われ、ワイドレンジの迫力あるサウンドを提供しています。フロント3chメインの音場設定ですが、音に包まれるような感じは結構あります。
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