HERO
邦題 | HERO | |
レーベル | MIRAMAX HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2002年 | |
上演時間 | 99分 | |
監督 | チャン・イーモウ | |
出演 | ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チェン | |
画面 | 2.35:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 中国語 / DTS 5.1ch 中国語 DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語、フランス語 |
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字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
かつて 7 つの国に分裂していた中国。その中の一国、キン国が国内統一を図ろうと軍隊を派遣していた。そんななか、名無しという戦士が、キン国の王に会いに訪れる。キン国の王の命を狙っていた、空、雪、そして壊れた刀の三人の刀を持って。王と面会した名無しは、王の命を狙っていた三人との戦いの様子を徐々に語り始める。それは数奇な運命の物語だった…。
レビュー
クエンティン・タランティーノが提供したことで、アメリカ国内での上映が決まった、2002 年の中国映画の傑作が、この「HERO」です。オスカーとゴールデングローブ賞の2つにノミネートされています。
話は、名無しが、キン国の王の下に訪れるところから始まります。王の命を狙っていた三人の刀を持って現れたことから、彼は王の命を救ったものとして扱われます。
そして名無しは、徐々に三人との戦いについて王に語り始めるのですが、最終的には、名無しは自分がキン国の敵国である、タオ国の人間であることを明かし、王の命を狙っていることが明らかになります。
しかしながら名無しは最後に王を殺すことなく、自らの命を差し出します。それは、壊れた刀の名無しに伝えたかった「我々の土地だ」という言葉に心を奪われたからです。それぞれが各人の思いを残して物語りは終わりを迎えます。
この作品の見所のひとつといえば、一種の様式美とすら言える、戦闘シーンでしょう。ワイヤーワークによる戦闘シーンを始め、スローモーションの多用による映像美を見せてくれます。これが、物語の骨格を作り、一種のテンポとなってストーリー進行を進めていきます。
この戦闘シーンの様式美により、物語がある種の哀愁感を持っていきます。だから、名無しが最後に王を殺さずに生かしておくシーンに納得感が出てきます。
また、様式美といえば、色使いの多様性も見所の一つであります。原色を多用した映像は、それだけで美しさと共に、ストーリー展開の流れを表しています。キン国の軍隊が黒というのも、倒すべき相手であるという意図の下に色使いがされているのではないかと思います。この軍隊が矢を放つシーンの中で、赤い画面になっているシーンがありますが、これは血を表しているのではないかと思います。
その他にもイチョウの葉が舞い散る中での戦闘シーンだとか、大変美しく撮れられたシーンが多いのも印象的です。これが、ストーリー展開にメリハリをつけているかと思います。ちなみに色使いで言えば、赤、青、黄色、緑、白が象徴的に使われています。最後の白は、壊れた刀が着ていた色の衣装ですが、キン国の軍隊と対比しているように感じられてなりません。
映像は、フィルム的ではありますが、原色の発色がすばらしく、大変美しい映像です。ワイドスクリーンの迫力もそれなりに感じられます。音響は DTS 5.1ch を 2 チャンネルステレオで鑑賞しましたが、音の立体感が凄く、目の前まで音が飛び出してきます。
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