IT(Blu-ray)|IT/イット “それ”が見えたら、終わり。|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

IT(Blu-ray)

IT Blu-rayジャケット 邦題 IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
レーベル WARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2017年
上演時間 135分
監督 アンディ・ムスキエティ
出演 ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、ジェレミー・レイ・テイラー
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 DOLBY ATMOS 英語
dts-HD MA 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

1988年のメイン州デリー。大雨の中、ビルは弟のジョージのために紙の船を作成する。その紙の船をもってジョージは外で遊んでいたが、排水口から現れたピエロのペニーワイズによって、喰い殺される。その後、1989年の夏になって、何人かの子供達が行方不明になっていた。ビルを含むルーザーズ・クラブは、いじめっ子たちのいじめを回避しながらも、次第にメンバーを増やしていき、少女であるビバリーを含め、7人のグループになっていた。そして、そのルーザーズ・クラブの面々はそれぞれ、ペニーワイズと遭遇し、恐怖を植え付けられていた。しかし、図書館で調べ物をしていたベンがペニーワイズが子供たちを標的にしていること、27年毎に子供を襲っているという事実を見つけ、仲間たちに共有する。そして、ビルはジョージの仇を取るため、他のメンバーもそれぞれの思いをもって、ペニーワイズを撃退しようと立ち上がる。

レビュー

モダンホラーの帝王と呼ばれる小説家、スティーヴン・キングの原作小説「IT」のうち、主人公たちの子供時代に焦点を絞って映画として新たに製作、公開されたのがこの「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」です。スティーヴン・キングのホラー小説を映画化しても大抵は出来が悪く、ヒットもしない作品が多い中、今作は大ヒットを記録し、続編としての主人公たちが大人になって再び悪夢に立ち向かう話を描いています。

スティーヴン・キングの小説は1980年代に多く映画化されていますが、原作のとても長い話を2時間程度に収めるのが難しく、大抵の映画は批評家からの評判も悪く、興行収入としても失敗しています。キングの作品の映画化で成功しているのは、ホラーではない中編小説ばかりで、「スタンド・バイ・ミー」とか「ショーシャンクの空に」あたりが思い浮かびます。この「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」も1990年代にテレビのミニシリーズとして一旦映像化されていますが、今回は原作の少年時代と大人時代のペニーワイズに立ち向かう主人公を交互に描いた原作小説のうち、スッパリと少年時代だけにフォーカスを絞って映像化しているのが、成功の要因かと思います。

また、今回の映像化が成功しているのは、CG技術が格段に進歩し、ピエロのペニーワイズの恐怖感を映像表現できるようになってきたというのも大きいです。原作ではペニーワイズの正体を文章で語っていますが、これを映像化するのは1980-1990年代ではかなり難しい話で、映像化してもチープな怖さだけが残ってしまう問題がありました。今作ではペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドの演技力の高さもあるかと思いますが、CG技術の進化によってペニーワイズが怖い存在であることを映像として表現できているところに、この作品の出来の良さを表していると思います。

その一方で、主人公たちが結成するルーザーズ・クラブといういじめられっ子集団のいじめっ子たちからの暴行とその反撃など、現実のアメリカの学校の問題をうまく取り入れているのが、この映画のリアリティを増す結果になっているかと思います。ホラー映画の「スタンド・バイ・ミー」と言っても良い内容で、主人公のビルたちに感情移入しやすいのが、作品の特徴かなと思います。いじめっ子のリーダー格、ヘンリーの暴力沙汰や、少女であるビバリーとその父の関係の危うさ(児童性的虐待の関係を彷彿とさせる)、マイクの家畜を殺せない性格など、子供たちの一人ひとりにバックグラウンドがあり、その子供たちが集結してピエロのペニーワイズに立ち向かうというところに、映画の良さがあります。

もともと映画はヒットするとは思われていなかったので、この作品単独でも成立するかのような描き方をしていますので、小説版「IT」を読んでいなくても作品は楽しめますが、できれば映画続編の「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」を見るか、原作小説を読んでみることをお勧めします。特に原作小説はキング節炸裂の傑作で、とにかくストーリーが長いので、ハマると病みつきになる面白さがあります。

映像は素晴らしい解像度と、色合いをしています。舞台の中心が1989年の夏休みという設定ですので、夏のメイン州デリーの夏ならではのきらめきを再現できるような色合いをしています。クライマックスは下水道の中という暗いシーンが続きますが、それでも映像は破綻せず、最後までリアリティを持った映像を提供しています。音響はDOLBY ATMOSサウンドトラックで、空間に音が散りばめられている感覚を覚えます。ホラー映画ですので、サラウンドがどうかなと心配しましたが、DOLBY ATMOSならではの空間描写力は素晴らしく、イマーシヴなサウンドトラックを構築しています。それは恐怖感を追求するかのような感じを受けます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました