LETTERS FROM IWO JIMA/硫黄島からの手紙/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

LETTERS FROM IWO JIMA

LETTERS FROM IWO JIMA DVDジャケット 邦題 硫黄島からの手紙
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 2006年
上演時間 140分
監督 クリント・イーストウッド
出演 渡辺謙、二宮和也、伊原剛志
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 日本語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 アメリカ軍の侵攻に備え、硫黄島に栗林中将が派遣されてくる。元からいた士官たちは、栗林中将のアメリカ軍に対する防衛策に異議を申し立てるが、栗林中将は、自分の意思を貫き通す。一方、一兵士である西郷は、愚痴をこぼしてばかりであるが、体罰を受けるところを栗林中将に助けられる。アメリカ軍が侵攻してきて、日本軍は撤退を余儀なくされ、西郷は、何とか生き延びていくのだが。

レビュー

 クリント・イーストウッドが「硫黄島」 2 部作として制作された映画の日本側の視点から描いた作品がこの「硫黄島からの手紙」です。アカデミー賞に 4 部門ノミネートされた作品でもあります。

 「父親たちの星条旗」とは異なり、日本側の視点から描いた戦争映画として、ちゃんと戦闘シーンの多い映画になっています。ハリウッドが日本を描くと誤解の多い映画になってしまうところが多いのですが、この作品は、観ている限り誤解の少ない映画になっているのではないかと思います。

 物語は、タイトル通り、栗林中将と、一兵士に過ぎない西郷の二人の家族にあてた手紙をそれぞれがモノローグで語るという展開でストーリーが進んでいきます。冒頭のシーンから、硫黄島での過酷な生活が、描かれていて、西郷の友人であった兵士が病死してしまうなど、リアリティのある描き方をしています。

 西郷は、戦う前から、愚痴をこぼしていて、彼の絶望感をよく表しているかと思いますが、栗林中将に助けられたことによって、多少の希望を持つようになります。しかし、彼は戦場に巻き込まれていき、仲間が自決するにつれ、また希望を失っていくように見えます。

 一方、栗林中将は、最後まであきらめずに指揮をしていきますが、命令に従わない士官達に苦しめられます。任務に失敗したことで、自決してしまう士官達のせいで、彼は戦術を変えていかざるを得なくなります。

 西郷は、元憲兵隊の清水と一緒にアメリカ軍に投降しようとしますが、無事降伏したと思われた清水は、アメリカ軍に殺されてしまい、残虐といわれた日本軍とは違うと思われていたアメリカ軍も実は同じなのだということが描かれています。戦場では、日本軍もアメリカ軍も違いはないのだというメッセージではないでしょうか。

 最後に残った兵士達とともに栗林中将は、特攻をかけていきますが、彼は届かない手紙や機密情報などを偶然のことですが、西郷に焼却処分するよう命じます。栗林中将は、都合 3 回西郷を助けることになりますが、兵士のことをよく分かっている士官ではないかと思われます。西郷は、その手紙を燃やすことなく、地中に埋めて残してしまいます。焼却するのにはしのびなかったのではないかと思われます。

 結果として、西郷は助かり、アメリカ軍の手当てを受けることになりますが、彼が無事に妻の待つ埼玉にたどり着いたのかは明らかにされません。見ている側からすると、無事にたどり着いてほしいな、と思わせる展開ではあります。

 その他にも、西郷が召集令状を受けるシーンや、憲兵隊の清水が憲兵隊を首になるきっかけとなった事件など、日本の当時の生活を描いたシーンが多いですが、歴史考証がしっかりしているらしく、違和感がありませんでした。

 また、栗林中将や、西中佐といった、アメリカを熟知している士官達の描き方も秀逸だと思います。彼らは、精神論で戦おうとはしておらず、圧倒的不利の中、祖国のために戦おうとしている様が心を打たれるところであります。

 画質は、モノクロ調の映像を出しています。洞窟内のシーンが多いため、暗くて、若干ノイズが乗っている様にも見えますが、少し黄みがかった、独特の映像演出をしています。音響は、DOLBY DIGITAL 5.1ch を 2ch ステレオで観ましたが、戦闘シーンを中心に迫力のあるサウンドフィールドを形成しています。低音の迫力がすごくて、自分が戦場に叩き込まれたかのような演出をしていると思います。ただし、全編日本語なのですが、ちょっと聞き取りづらいところがあり、それは難点かな、と思わせるところであります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました