MILLION DOLLAR BABY
邦題 | ミリオンダラー・ベイビー | |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 2004年 | |
上演時間 | 132分 | |
監督 | クリント・イーストウッド | |
出演 | クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
ボクシングジムを経営しているフランキーの元にある日、マギーという女性が「ボクシングをやりたい」と訪れる。最初は相手にしなかったフランキーだが、ジムにいるスクラップの提言を受けて、彼女をボクシングをやらせてみることにする。トレーニングを積み、試合で順当に勝ってチャンピオン戦に臨む彼女だったが、思わぬ悲劇が彼女に襲い掛かる。
レビュー
作品賞を含むアカデミー4部門を受賞した作品が、クリント・イーストウッド監督のこの作品「ミリオンダラー・ベイビー」です。
物語は始めウィリーという黒人選手のボクシングの試合にマギーが顔を出すところから始まります。ウエイトレスの仕事で生計を立てているマギーは、ボクシングをやってみたくてウィリーのトレイナーでもあるフランキーに自分を売り込みに行きますが、フランキーは女性だからという理由で連れない相手をしてしまいます。
フランキーは実のところ過去にスクラップの試合で彼に大怪我を負わせてしまった為、チャンピオン戦に消極的で、ウィリーもそれに愛想を尽かし別のプロモーターのところに行ってしまうのですが、そんな事情を知ってか知らすか、マギーは押しかけでジムの練習を始めてしまいます。
そうして最初にスクラップの指導を受けたマギーは根負けしたフランキーと共にボクシングのトレーニングを積んでいくことになるのですが、ここでこの二人の間に師匠と弟子の関係以外の感情が生まれてきます。それは擬似家族関係とでも言うべきものです。
マギーは父を亡くし、残った家族とも疎遠な関係を送っています。ボクシングのファイトマネーで買った家を巡って母親と口論をしていることからも、それは明らかです。
また、フランキーのほうは娘とやはり疎遠な関係を送っています。こちらは娘に宛てた手紙がそのまま何通も戻ってきてしまうことからも読み取れます。
このように家族に対して不毛な関係を持っている二人がボクシングという競技を挟んで次第に家族とでもいうべき心の交流を重ねていくところがこの作品の筋となっています。ダイナーでのレモンパイを食べているシーンでの会話にそれを読み取ることが出来ます。
しかし、物語後半から悲劇が始まります。チャンピオン戦でのアクシデントの結果、マギーは半身不随になってしまい、将来に絶望したマギーは自殺を図ってしまいます。また、それを見ているフランキーも辛い想いに捕らわれます。
最終的にはフランキーはマギーの命を終わらせるために殺人まで犯すという行為に出るわけですが、娘に対する贖罪のような気がしてなりません。彼はそのままジムに戻らず、途中でマギーと食べたレモンパイの出すダイナーにいるという展開で物語を終わらせますが、それはフランキーがマギーの父親になったんだよ、と言っているように感じられてなりません。
物語途中でボクシングのシーンが結構あり、マギーが連戦連勝をしている為、よくあるサクセスストーリーと考えがちですが、最後まで観ていると、そうではないことが分かってきます。何度も書いてますが、フランキーの過去への贖罪と、マギーとの擬似親子関係を描いた作品だと見たほうがいいのではないかと思います。
映像は銀残しを使っているのか、かなり独特な色調をしています。また暗闇のシーンとその中に浮かび上がる光のシーンを多用している為、印象的な映像美を映し出しています。サウンドは2チャンネルステレオで見ましたが、ボクシングのシーンなどで迫力あるサウンドを聞かせてくれます。
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