MOONLIGHT(Blu-ray)
邦題 | ムーンライト | |
レーベル | LIONS GATE HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2016年 | |
上演時間 | 111分 | |
監督 | バリー・ジェンキンス | |
出演 | トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ | |
画面 | 2.39:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
黒人のシャロンは、幼い頃から、同世代の子供たちにいじめられていた。シャロンは、そのいじめから逃げている途中、フアンというドラッグ・ディーラーに助けられ、彼の保護を受けることになる。シャロンの家庭環境自体も芳しくなく、母はドラッグに溺れていた。成長し、青年になったシャロンだが、やはり同世代の青年たちにいじめられており、唯一幼少時代から彼に親しかったケヴィンにも裏切られ、暴行を受ける。シャロンはついに反撃に出るが、警察に捕まってしまう。そして大人になったシャロンは、ケヴィンからの電話を受け、彼と再会することにする。ケヴィンはレストランを経営しており、シャロンとの再会を喜ぶ。シャロンは、自身がゲイであることを自覚しており、青年時代にあったケヴィンとの性行為を大切にしていた。そして、その感情を再びケヴィンにぶつける。
レビュー
2016年のアカデミー賞で、最有力候補だった「ラ・ラ・ランド」を退け、作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門を受賞した話題作が、この「ムーンライト」です。白人至上主義のアカデミー賞の中で、トランプ政権に対する反抗の意味があったのか、黒人が出演していて、白人の登場しない映画としては珍しく、アカデミー賞を受賞するという快挙を成し遂げています。
物語は3章に分かれていて、主人公シャロンの幼少期(Little)、青年期(Chiron)、大人期(Black)というストーリーになっています。それぞれが、シャロンの孤独と性嗜好、周囲の人との関係について、じっくりと描かれているのが特徴です。
物語を覆っているのが、シャロンの孤独感であると思います。幼少期の頃から、同世代の子供にいじめられ、前向きではなく、絶えずうつむいていて、その人生の寂しさを描いているのが、物語の根幹を成していると思います。それは青年期でも大人期でも同じで、シャロンの置かれた環境を物語っていると思います。
そんな中で、唯一シャロンに親しげにしてくるのがケヴィンで、ケヴィンとシャロンの性的関係も、物語の中心点であると言えます。孤独なシャロンが唯一心を通わせる存在がケヴィンで、それが故に物語途中で同世代の青年たちからけしかけられ、ケヴィンがシャロンを痛めつける場面は、その痛みが伝わってくると言えます。
また、幼少期のシャロンの面倒を見るのがドラッグ・ディーラーのフアンで、彼がシャロンに対して、人生に対するスタンスを示しているのが、シャロンの人生を決定づけていると思います。フアンは、シャロンの母に対しても、シャロンの面倒を見ない母をしかりつける関係ですが、フアンの存在が、シャロンに対しての救いであると言えます。
シャロンの母は、シャロンを愛してはいるものの、夫のいない人生であるせいか、シャロンの面倒をきちんと見ない人物として描いています。なので、シャロンの身に何かあっても、それを救済する役割を放棄していると言えます。それでも、母とシャロンの関係は切れることがなく、シャロンの人生に多大な影響を与えていると言えます。
物語でインパクトがあるのが、海であると言えます。物語の途中途中で海が登場したり、波の音が差し込まれるというのは、海が人を生み出しているという意識を植え付ける役割を持っているのかな、と思います。特にフアンがシャロンに対して人生の行き方を示唆するシーンは、海が重要な意味合いを持っていると思います。
フアンがシャロンに話をする、「黒人は月明かりの下では青に見える」という話自体も、物語を語るテーマの上では、重要かと思います。黒人がアメリカで生きるのには、差別や治安の関係上、厳しいという意味合いを示しているのではないかと思います。そのテーマが映画のタイトルである「ムーンライト」につながっていると思います。
画質は解像度も十分で、色乗りも良好であると言えます。ただ、シーンによってはボケが発生している部分もあり、シーン毎の差が多少目立つところでもあります。カメラワークが魅力的で、映像に引き込まれる感覚を覚えます。音響はdts-HD MA 5.1chです。ドラマという関係上、音響効果に期待はしていなかったのですが、意外と環境音やサウンドトラックがサラウンドに振られていますので、映像に影響を与える雰囲気を醸し出しています。そして、意外と重低音が鳴っているのが印象的です。
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