ONCE UPON A TIME IN MEXICO
邦題 | レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード | |
レーベル | COLUMBIA TRISTAR HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2003年 | |
上演時間 | 102分 | |
監督 | ロバート・ロドリゲス | |
出演 | アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、ジョニー・デップ | |
画面 | 1.78:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 / DOLBY DIGITAL 2.0ch フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語 |
あらすじ
メキシコでは街を清浄化しようとする大統領に対して麻薬王のバリオが暗躍し、情勢の不安定な状態になりつつあった。バリオは軍部であるマルケズ将軍を味方に引きずりこみ、クーデターを起こそうとたくらむ。それを察知した CIA エージェントのサンズは伝説のエル・マリアッチにクーデターの阻止を依頼する。マルケズ将軍はかつてエル・マリアッチの愛する妻と娘を殺した敵でもあった…。
レビュー
ロバート・ロドリゲス監督の「エル・マリアッチ」「デスペラード」に続くエル・マリアッチシリーズの第三弾がこの作品です。
主役のエル・マリアッチを演じるはアントニオ・バンデラス、エル・マリアッチの妻を演じるは、サルマ・ハエック、CIA エージェントのサンズ役はジョニー・デップ、その他にも悪役専門役者のウィレム・デフォー(「プラトーン」のときは善人役だったのに…)、ミッキー・ローク、ダニー・トレホと、豪華なんだか B 級スター大集合なんだか分からない役者陣がそろっていますので期待しながら観始めたわけですが観続けていると何か変な作品なのです。
上記のあらすじにもあるようにメキシコの麻薬密売を絡めたクーデターを軸にしたエル・マリアッチの復讐劇と思って観ていたのですが、肝心のエル・マリアッチが影が薄いんです。主人公とは思えない限り。当然アクションシーンもあるのですが思ったほど彼は活躍しないし、絶えず過去の悲しみに浸っているだけなんです。しかも全編を通してみると出番自体があまりないような気すらしてきます。そのせいか痛快な娯楽作かと思っていたら妙に重苦しい感じの作品という印象を受けてしまいます。
その悲しい過去とはあらすじにもあるように愛する妻と娘を殺されたという点なのですが、そのせいでクレジット上 2 番目のはずのサルマ・ハエックは、主人公の過去の思い出としてしか登場せず、変なねじれ現象を起こしてしまっています。
更にジョニー・デップ演じる CIA エージェント、サンズが思いっきり目立っていることでそのねじれ現象は拡大をしていきます。特に終盤の目立ちようは主人公をのっとっているかのようで、いったいこの作品の主人公って誰なの ??? と頭がこんがらがってきます。俳優としての個性の差が脚本や演出を無視して現れてしまったのか、とにかく観るほどに混乱を深めていきます。
また、今回爽快感がなかったなと感じたのはアクションシーンの演出にもあるかと思います。前作「デスペラード」ではかなりけれん身たっぷりの演出をしていて、例えば主人公が手榴弾を敵に投げた後爆発をするシーンなどでは燃え上がる炎ををバックに主人公がゆっくりと歩み去る、という溜めの演出をしていたような気がするのですが、今作ではそういうシーンもほとんどなく、あっさりしすぎな気がします。前作と同じくギターケースが武器になるというガジェットも今回はほとんど機能していませんし、すべてが何かずれてしまっているというのがこの作品の印象です。基本プロット自体は悪くないと思うので、制作途中で何か問題があったのかもしれません。
画質自体はクリアだとは思いますが、画面がメキシコの砂漠をイメージさせる黄色っぽい画面になったり、自然な色調になったりします。それがその場面ごとに意図した通りならばいいのですが、どうも意図した通りになっていないような感じがします。物語のねじれ現象が画面にも現れてしまっているようです。音響効果だけは画面ときちんとリンクしてなっておりますのでそこは救いかなという気がします。アクションシーンだけサラウンドするのではなく、普通のシーンでも何気ない音(車のクラクションとか)がサラウンドしますので、その点だけは物語に入り込みやすいかなと思います。後特筆すべき点はエンドクレジットで流れる音楽です。これがマルチチャンネルステレオとして鳴っていますので映画とは別にオーディオの視点としても楽しめます。次世代 CD として期待されながらも全く普及していない DVD オーディオや、SACD を見るにつけ、このエンドクレジットだけでも一聴の価値はあるかなと思います。でもあくまでメインは映画そのものですから誤解なきよう。とここまで書いていたらやはり音響効果自体もがねじれているような気がしてきました。映画本編よりもエンドクレジットの音楽が楽しいなんて変です。
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