PACIFIC RIM(Blu-ray 3D)
No Image | 邦題 | パシフィック・リム |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 2013年 | |
上演時間 | 131分 | |
監督 | ギレルモ・デル・トロ | |
出演 | チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊池凛子 | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 7.1ch 英語、dts-HD MA 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語、スペイン語 |
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字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
2013年、突如海底の海溝から「怪獣」と呼ばれるモンスターが現れ、サンフランシスコを破壊し尽くしていった。人類は当初軍隊による対応をしていたが、次々に現れる「怪獣」に対して無力だった。そこで太平洋を囲む国々が集結して、「イェーガー」と呼ばれる巨大ロボットを製造し、「怪獣」撃退に活用する。最初は「怪獣」に対し圧倒的だった「イェーガー」も、次第に劣勢に立たされる。2025年、ついに環太平洋地域は「イェーガー・プロジェクト」を諦め、防護壁による「怪獣」阻止に動き出すが、「イェーガー・プロジェクト」のリーダー、ペントコストは、残った「イェーガー」4機で「怪獣」撃退に挑む。その中には2020年にアラスカで兄を失ったまま「イェーガー」を一人で動かし、「怪獣」を撃退したローリー・ベケットも含まれていた。子供の頃に肉親を失い、ペントコストに育てられたモリ・マコとともにローリーは再度「怪獣」撃退の戦いに挑むことになる。
レビュー
まさかのハリウッドでまるで日本の特撮映画か、アニメ映画のような作品が作られるとは思っていませんでしたが、監督の趣向により実現してしまった映画がこの「パシフィック・リム」です。全米での興収こそ、製作会社と配給会社の利益を巡ってのトラブルにより、宣伝がほとんどされないままでの公開故にヒットしたとは言いがたいのですが、日本を始めとする諸外国では観賞した観客から圧倒的な支持を受けています。
前述しましたが、まさにこの「パシフィック・リム」は、日本の特撮映画かアニメ映画をそのまま実写化したような感触を受けます。巨大モンスターをそのまま「怪獣」と呼び、それを倒す巨大ロボットをハンターのドイツ語読みである「イェーガー」と名付けるところなど、魅力に溢れています。特に日本の観客からすると、結構おなじみの展開になっているので、とても観やすい映画であると言えます。
物語冒頭から「イェーガー」と「怪獣」の壮絶バトルにより、観客を物語の中に取り込むことに成功していると思います。CGであることを極力見せないようにする為か、戦闘シーンは多くが夜のシーンか雨の降っているシーン、または海底と、暗い画面が続きますが、それでも巨大ロボットとモンスターというあり得ない存在を、あり得る存在に見せることに成功していると思います。
その分人間ドラマはあまり深い描き方をしているとは言いがたい部分もあります。主人公のローリー・ベケットは、アラスカでの「怪獣」ナイフヘッドとの死闘で兄を失い、たった一人で「イェーガー」を操縦して「怪獣」を倒しますが、その後失意の中5年間、防護壁を作っているという設定になっています。しかし、ペントコストに再度スカウトされると意外に簡単に立ち直ってしまうところなどは、あまり登場人物の人間臭いところに力を注いではいないと言えるのかもしれません。
それはローリーの相棒となるモリ・マコも同様で、彼女はかつて「怪獣」の侵攻により親を失い、ペントコストが操縦する「イェーガー」によって助けられるという設定ではありますが、それで苦悩しているかというと、最初の「イェーガー」とのシンクロでローリーがそのことを知るというだけで、後はあまり触れられてはいません。そういう意味では人間関係は軽いと言えるかと思います。
この「パシフィック・リム」はコメディ的要素もあって、二人の科学者がその役目を負っています。この科学者は「怪獣」の脳とシンクロすることで、怪獣を送ってきている真の敵とその目的を探るという役割を負いますが、そのアクションは結構お笑い要素が大きく、物語に潤いを与えていると思います。「イェーガー」とシンクロするのと同じで「怪獣」にもシンクロ出来ますが、その情報量が膨大な為に、科学者達は結構ダメージを負っているように思いますが、その割には意外に早くに立ち直るので、重要何だかそうでないんだか、分からないところではあります。
どちらにしましても、物語の目的が巨大ロボットとモンスターのバトルをいかに見せるか、にかかっていますので、その点で言えばこの映画は成功していると思います。登場する「イェーガー」の活躍とあっという間に「怪獣」にやられるところとか、主人公が出てきて「怪獣」と大バトルを繰り広げるとか、ペントコストが戦線復帰するとか、とにかく観ていて魂が高揚するような場面が多々あるかと思います。
我々日本の観客としては、ヒロインが生粋の日本人である菊池凛子と、その少女時代を芦田愛菜が演じているのはポイント高いと思います。菊池凛子の日本語が少し不自然なところもありますが、日本の特撮映画に敬意を払っている部分があり、その点も好感が持てるかと思います。予算は別にして、このぐらい面白い怪獣映画を日本で今作れるかというと、ちょっと疑問がありますので、こういう映画がハリウッドで製作されたことは、貴重であると言えましょう。
映像は3Dで観賞しましたが、暗いシーンが多いのにもかかわらずきちんと精彩感ある映像を提供しています。3Dの効果は結構あり、映像に没頭出来るぐらいに自然な立体感を表現しているかと思います。音響は7.1chを5.1chにダウンコンバートして視聴しましたが、3D映像とシンクロする広大なサラウンドフィールドを展開しています。ただ、ロボットやモンスターの重量感を表す重低音があるかというと、じつはあまり仰々しく鳴らしてはいないので、ちょっと物足りない感じもします。ただ全般的には映画の音声として魅力的ではあります。
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