QUANTUM OF SOLACE
邦題 | 007/慰めの報酬 | |
レーベル | 20th CENTURY FOX HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2008年 | |
上演時間 | 106分 | |
監督 | マーク・フォースター | |
出演 | ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | dts 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、スペイン語、フランス語 |
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字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
組織によって愛するヴェスパーを殺されたボンドは復讐心に燃えて、組織の行方を追いかける。そんな中カミーユという女性と知り合ったボンドは組織のもとで働くグリーンという男がボリビアの水の利権を狙っていることを知る。ボリビアは水が貴重で、それを手に入れることは莫大な利益を得ることになる。それを阻止しようとするボンドだったが、グリーンと組織はボンドの命を狙って度々攻撃を仕掛けてくる。
レビュー
ジェームズ・ボンドシリーズの中では唯一といってもいいくらいの前作「カジノ・ロワイヤル」の正当な続編として制作されたのが本作です。当然世界中で大ヒットしましたが、制作会社のMGMの経営難のために、現時点でその続編が作られていないのが現実です。
物語は冒頭から激しいカーチェイスシーンから始まります。前作で愛するヴェスパーを殺されたボンドは復讐心に燃えて、組織の行方を追います。この辺はシリーズとしても異色で、通常アバンタイトルでは映画本編とはあまり関係のないアクションシーケンスが描かれるのが常ですが、今回はすでに関係が大有りの展開となっています。
その作風の違いはオープニングクレジットにも表れていて、ボンドが狙撃者を打つおなじみのシーンはオープニングにはなく、何とエンドクレジットにつけられているという具合になっています。
今作でも組織の全容ははっきりとはしないのですが、世界中のスパイがすでに潜入をしていて、色々なところでボンドを助けたり邪魔したりしています。また、MI6にも組織のスパイが潜入していたという事実も今作の特徴でありましょう。
前のピアーズ・ブロスナンの時にはボンドを邪魔者扱いしていたMが今回は意外とボンドのことを認めているのが面白い展開だなと思います。ボンドの行動の本能が復讐だと言い切るMに対し、任務だと言うボンドのやり取りは緊迫感を感じます。
残念なのが秘密兵器が登場しないということで、QやRといった研究者が登場しないところも作風の違いを感じます。ボンドといえば特殊機器という感じが強いので、それがないのはちょっと違うかなという思いをしています。その分ボンドの人間臭さみたいなものが表れていると思います。ただし今回のボンドは非情で、仲間が死んでもゴミ箱に捨ててしまうなど、結構ハードな面も見せます。
今回の敵はグリーンという表向きエコ企業の代表になっていますが、彼がボリビアで企んでいる悪事が今回の標的となっています。ただ観ていて演じるマチュー・アマルリックがあまり悪党面していないのがあまり感情移入をさせづらいところはあると思います。
恒例のボンドガールは、カミーユという女性ですが、彼女のボリビアの軍事政権の犠牲者で、ボンドと心が合い通じるものがあるのではないかと思います。彼女の復讐心とボンドの復讐心が重なって、二人の行動が決まってくるのではないかと思います。
物語は今作でも完結していないような印象を受けます。まだ組織の全容は明らかになっていませんし、その一部をボンドが倒したにすぎないという展開になっています。ただ、ボンドがヴェスパーのネックレスを雪の上に落とすシーンでは、一応完結しているかなとも思えるように見えます。
画質に関しては、色乗りが十分で、多少のフィルムグレインが散見されるシーンもありますが、フィルムの雰囲気を十二分に出していると思います。世界中でロケーションしていますが、それぞれの土地の空気感みたいなものがよく出ていると思います。音響はdts 5.1chで鑑賞しましたが、かなり効果的にサラウンドを使っています。アクションシーンでは絶えずスコアが鳴っているような印象を持ちますが、これらもサラウンドに音を振り分け、音に包まれている感覚を強く感じます。
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