steve jobs(Blu-ray)
邦題 | スティーブ・ジョブズ | |
レーベル | UNIVERSAL STUDIOS HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2015年 | |
上演時間 | 123分 | |
監督 | ダニー・ボイル | |
出演 | マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット セス・ローゲン |
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画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 / dts 5.1ch スペイン語、フランス語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
1984年、ジョブズはアップル・コンピーターの新型コンピューター、マッキントッシュのお披露目をしようとしていた。しかし、リハーサルで「ハロー」とマッキントッシュが言わないバグに見舞われ、イラついて部下になんとかするよう圧力をかける。そんな中、ジョブズが娘とは認めなかったリサとその母が控え室にやってくる。この二人に冷たく当たるジョブズだったが、リサは、マッキントッシュに絵を描き、ジョブズにそれを見せる。お披露目会の後、ジョブズはアップルの経営不振の責任を取らされクビになり、新たにコンピューター会社を立ち上げる。そして、1988年、教育機関向けのNeXTというコンピューターを発表する。そのリハーサルで、ジョブズは自分をクビにしたスカリーと対立をする。ジョブズ亡き後のアップルの業績は低迷し、またジョブズの生み出したNeXTも売上不振になった。ジョブズはアップルに復帰し、1998年、iMacをリリースする。その発表会の中、アップルIIの開発をめぐって共同経営者でアルウォズニアックと意見が対立する。そして、娘のリサとも意見の違いから、溝が深まっていた。
レビュー
革新的な新製品を次々と発表し、アップルの名を一躍有名にしたスティーブ・ジョブズの伝記映画がこの「スティーブ・ジョブズ」です。しかし、この世を去ってまだそんなに時間の経っていない人物の伝記映画ということもあってか、興行収入的に失敗をしている作品ではあります。
この「スティーブ・ジョブズ」が独創的だと思うのは、伝記映画ではありますが、時系列で物語を描くのではなく、3つの新製品発表会を中心にそなえ、そこのバックステージで起こるドラマを描くことで、スティーブ・ジョブズという一人の人間を浮かび上がらせるというところにあると思います。
そして、面白いのはその新製品発表会自体は全くといっていいほど描いておらず、バックステージでのトラブルや確執、親子愛などを描くことで、緊迫感を作り出していることにあります。もちろん、新製品発表会のバックステージを描いていますので、今となっては伝説となっているアップルの初代マッキントッシュや、NeXT、iMacといった革新的コンピューターの実物が見られる、というポイントもありますが、基本はドラマになっている、というところであります。
特に中心的に描いているのは、自分の娘と認知しないリサとジョブズの親子関係であります。これは、リサの母であるクリスアンと、ジョブズの関係が良くないこともありますが、父親に認めてもらえないリサが、どうやって父親の愛を得るのかが、物語のキーポイントの一つであると思います。成長するにつれ、ジョブズとの関係が変わってくるリサですが、最終的にジョブズが折れる形で、和解していきます。
また、ジョブズの性格をうまくコントロールしているのが、ジョブズの妻となるジョアンナの存在で、彼女のジョブズのコントロールなしでは、発表会自体が失敗に終わる予感すらします。ジョブズが自分の思い通りにならないと、イライラするのをなんとか操って、冷静にさせる役割を彼女が持っていて、ジョブズの精神的支えになっているかと思います。
その他にも、アップルを共同設立したウォズニアックとの意見の相違による対立や、ジョブズをアップルから解雇したスカリーとの関係など、ジョブズの伝記としては重要なポイントをもれなく描いているのは、ストーリー上、重要だと思います。特にウォズニアックがアップルの最初の製品、アップルIIを開発したことに対して、ジョブズは何もしていないことを詰る様は、彼らの立ち位置をよく表していると思います。
物語がほとんどどこかのホールと、その控室での展開に限っているのも、この映画の特色と言えるでしょう。妙な緊迫感というか圧迫感を感じさせるものがあり、映画のテンションを上げる要因になっているかと思います。時々挟まる外のシーンや、マスメディアの報道シーンが、その緊迫感を若干緩めるタイミングになっています。
映像は面白い表現をしていると思います。1984年の発表会の時には、かなりざらついたフィルムの特色がよく出た映像なのに対し、1988年と1998年の発表会に移っていくにつれ、クリアで鮮明な映像に切り替わってくるのが、時間の経過をよく表しているかと思います。音響はドラマということもあり、派手なサラウンドはしていないのですが、必要な場面では重低音が響き、サラウンドにも音が回る演出がされています。特に人の声が重要視され、この音質がなかなか印象深いところがあります。
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