THE HOURS
邦題 | めぐりあう時間たち | |
レーベル | PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2002年 | |
上演時間 | 114分 | |
監督 | スティーヴン・ダルドリー | |
出演 | メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.0ch 英語 DOLBY DIGITAL 2.0ch 英語、フランス語 |
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字幕 | 英語 |
あらすじ
1923 年のイギリスに生きるヴァージニア・ウルフ、1951 年のロサンジェルスに生きるローラ、2001 年のニューヨークに生きるクラリッサ。物語はそれぞれの時代に生きる女性たちの人生の悩みや憂鬱、心の葛藤を描いていく。それぞれの時代が互いに交錯しつつ物語は進んでいく。
レビュー
確かアカデミー賞でニコール・キッドマンが主演女優賞を取ったと思いますが、この作品、あらすじを書くのが難しいといえば難しい作品だなと思います。1923 年のイギリスでは、ニコール・キッドマン扮する女流作家ヴァージニア・ウルフ(実在の人物だそうです)の苦悩を描き、1951 年のロサンジェルスでは、ジュリアン・ムーア扮する主婦ローラのなんともいえない日常の憂鬱感を描き、そして 2001 年のニューヨークではメリル・ストリープ扮するクラリッサの日常が描かれていきます。これがそれぞれ短編作品のように独立して描かれていれば非常に分かりやすい作品になっていたと思うのですが、意外なところですべてが絡み合っているのですから、よく観ていないと頭の中がこんがらがってきてしまいます。
全編を通してみた第一印象としては、女性の情念のような物を感じました。この作品には当然男優陣も出てきているのですが、あまり印象に残りません。唯一印象に残った男優といえば脇役やらせたら天下一品のエド・ハリスかなと思うのですが、これは物語上かなり重要な役柄なのでそうならざるを得なかったのかな、と思います。
女流作家・ヴァージニア・ウルフの名は以前から聞いていましたが、この作品を見る限り、どうも病気を患っていたようです。英語字幕で観ていたので確かなことはいえませんが、何となく精神的な病に苛まれていたのではないでしょうか。そのような雰囲気が画面全体から漂っていて、ニコール・キッドマンの演技力には脱帽いたします。
続いてジュリアン・ムーアですが、一見普通の幸せな家庭を営んでいるようで彼女の心の中は幸せではなかった、という主婦を演じています。特に息子と分かれて自殺未遂を起こそうとするシーンは、彼女の心のうちを表現していたように思います。
2001 年のメリル・ストリープでは、リチャードという男の看護をしていますが、この男(エド・ハリス)が人生に疲れてしまっている役柄でしたので、結果彼女も人生に疲れてしまっているというように思います。
このようにどの女性たちも人生に疲れ、幸せを感じさせないという点でこの作品は一貫性を保っているように思います。
しかし、この作品、3 つの世代をどう絡ませていくのか、最初はまったく分からなかったのですが、観ているうちにヴァージニア・ウルフの書いた「ダロウェイ夫人」をキーとして 1951 年と結びつき、また 1951 年と 2001 年はとある人物を通じて結びついているという優れた構成をとっておりますので観終わって納得、という思いを抱きます。
映像は、室内のシーンが多いせいもあるのでしょうが終始暗い画面です。たまに明るいシーンもありますが、作品のトーンに合わせたかのような色調だなと思います。サウンドは珍しく、重低音専門チャンネルを使わない DOLBY DIGITAL サウンドでしたが、作品の内容から行って重低音を使わないといけない作品でもないのでこれはこれでいいのかなと思います。もちろん、環境音や、サウンドトラックはきちんと空間的広がりを見せますので、申し分はないと思います。
蛇足ですが、主役 3 人が同一画面で全く絡まない作品というのも珍しいのではないかと思います。普通はどこかで絡むものなんですが。
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