TOY STORY 2
邦題 | トイ・ストーリー2 | |
レーベル | WALT DISNEY HOME VIDEO | |
制作年度 | 1999年 | |
上演時間 | 92分 | |
監督 | ジョン・ラセッター | |
声の出演 | トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック | |
画面 | 1.77:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch-EX 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語 | |
THX仕様 |
あらすじ
アンディの大切なおもちゃである人形のウッディがアルという人物に持ち逃げされてしまった。アルは、おもちゃ屋のオーナーであると同時にレアアイテムのコレクターでもあり、そのレアアイテムのコレクションをもう一つのビジネスとして商っている人物だった。かつてウッディに助けられたことのある、同じくおもちゃ人形のバズ・ライトイヤーは、仲間のおもちゃたちとともにウッディの救出作戦を敢行する。一方アルのコレクションの中にはウッディの元ネタである TV ショーの他のメンバー、ジェシーや探鉱者であるスティンキーがいた。自分の出生の秘密を知るにつれ、また、ジェシーの生い立ちを知るにつれ、ウッディの心は揺れ始める…。
レビュー
大ヒットした前作「トイ・ストーリー」の正式な続編が「トイ・ストーリー 2 」です。ディズニーのアニメ制作には一定の方針があるそうで、パート 2 物は制作しない、あるいは制作してもセルビデオオンリーという会社の方針があるそうですので、この作品は異例とも言えます。もっともディズニーの作品とは言っても正式の制作会社はピクサー社が担当していますので、その辺も何か関係あるのかもしれません。
ストーリーは前作の裏返しといったところで前作では最初仲たがいしていたウッディとバスが、とある事件にバズが巻き込まれたことをきっかけにウッディがバズを救出するというストーリーで最後は二人の友情が確立されたものとなっています。今回は逆に事件に巻き込まれたウッディを救出すべくバズが行動を起こすとストーリーなので、基本的には「トイ・ストーリー」を観ておいた方が理解しやすいでしょう。
今回の特徴は、物語に大人が絡んでくるという点だと思います。ポイントは二点あると思うのですが、一点目はあらすじでも書いたアルというおもちゃ屋のオーナーの存在です。本来おもちゃというものは子供のものであり、子供の成長を促し情緒や物を大切にするという意識付けを図るものであると思うのですが、アルは、それを完全にビジネスとしての視点からおもちゃを扱っています。しかもいかにもオタク風(アメリカでもオタクは存在する)風なのは制作者側からの皮肉が込められているように思えます。(その割にはこのアルという人物、ウッディがレア・アイテムだというのにうっかり右腕をもいでしまったり、スナック菓子でべとべとに汚れた手で人形に触ったりと、あまりオタクの風上にも置けないような行動をよく起こしていますが。)
もう一つのポイントは、ジェシーの視点です。ジェシーはかつて所有者である女の子に大切にされていたのに女の子が大人になるにつれて忘れ去られ、ついにはゴミとして捨てられてしまいます。このシーンを観ていて、僕も子供の頃買ってもらったおもちゃたちをどうしたかな、おもちゃたちにとって幸せな生涯を送れたのかな、という気がしてきたぐらいです。おもちゃたちの悲哀がよく現れていると同時に子供から大人になるということについての制作者側からのメッセージが込められているように思えてなりません。
子供のおもちゃとして所有されることすらなかったスティンキーにいたっては更に悲哀度が高くなっているはずなのですが、人物描写としてすっかり心を閉ざしてしまい頑なな人物(というかおもちゃですけど)として描かれているので感情移入度は低いと言わざるを得ません。どちらかというとウッディが自分のアイデンティティを再発見するための狂言回しの役割をになっているように思います。
こうした中、自分の所有者であるアンディの下から離れ、自分を理解したウッディが一度はジェシーたちとおもちゃコレクターの手の中で一生を過ごそうとしていく過程を経て、再度自分の所有者や友人のおもちゃたちの元に帰って行こうとする態度、そしてその意志を心を閉ざしていたジェシーにまで影響を与えていくという展開は王道を行く展開とはいえ、しっかりと観客に前向きな意志を持ち続けているようにというにというメッセージを伝えているように思えてなりません。
画質はフルCGですから当然きれいの一言で終わってしまいます。CGの質について云々するのは野暮というものでしょう。音響ももCGアニメということもあってかなり大胆なサウンドデザインをしていて、キャラクターの声をあえて後ろから出したりしていますので、なかなか楽しめるかと思います。
ところでこの作品、制作者側もある意味オタクなのかしゃれっ気があるのかいろいろなところで面白い趣向を凝らしています。映画の冒頭シーンではおもちゃが TV ゲーム(これも考えたらおもちゃ)で遊んでいるというダブルミーニングをかけたりしていますし、その TV ゲームの中で「ツァラトゥストラはかく語りき」(「 2001 年宇宙の旅」のオープニング曲としてあまりに有名)が流れていたり、バズの呼吸音が「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーの呼吸音にそっくりだったり、途中「ジェラシック・パーク」のワンシーンのパロディを行なったり、後半、バズの宿敵ゾーグがバズに向かって「私はお前の父だ」と「スターウォーズ:帝国の逆襲」のパロディを行なったりと、いろいろな映画を観ているとより笑えるようにも作っているようです。
なお、この作品のジャケットは「トイ・ストーリー」、「トイ・ストーリー 2 」、「特典映像ディスク」の 3 枚組みボックスセットのものですので単品版とはジャケットが異なっています。また、本来でしたら「トイ・ストーリー」のレビューが先なのでしょうが、既に数年前に鑑賞済みということもあって、多分レビューすることはないかと思います。「トイ・ストーリー 2 」は購入時に再生チェックを行なったときは問題なかったのですが、観るタイミングを失って 1 年後ぐらいに観ようとしたときにはディスクの製造工程の不具合による経年変化で、これまでの DVD プレイヤーでは再生できないという状況に陥ってしまったという事実があります。今回 YAMAHA の DVD-S540 というプレイヤーに買い換えたこともあって再生できるか試してみたところ、クライマックスの再生に難があり、画面フリーズや音飛び、シーンが数秒飛んでしまう、といったアクシデントに襲われたものの、一応映画鑑賞としては楽しめましたのでレビューとして追加しております。
コメント