VAN HELSING
邦題 | ヴァン・ヘルシング | |
レーベル | UNIVERSAL STUDIOS HOME VIDEO | |
制作年度 | 2004年 | |
上演時間 | 132分 | |
監督 | スティーヴン・ソマーズ | |
出演 | ヒュー・ジャックマン,ケイト・ベッキンセール | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 DOLBY DIGITAL 2.0 フランス語、スペイン語 |
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字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
ヴァチカン市国の命を受け、モンスター退治を行うヴァン・ヘルシング。ジキルとハイドを抹殺した彼のに次のミッションが待ち受けていた。ヴァチカンの東にあるトランシルヴァニアにいるドラキュラ伯爵の抹殺を命じられたのである。400 年前にドラキュラ伯爵の抹殺に失敗した一族は今でも神との契約を破ってしまったとになっているために未だに天国にいけず、ドラキュラ伯爵の抹殺を図っていた。彼らと協力してドラキュラ伯爵の抹殺を命じられたヴァン・ヘルシングは自分の失われた過去の記憶を取り戻すためにトランシルヴァニアに足を進めた。そしてドラキュラ伯爵配下のモンスターたちとの壮絶な死闘が始まった。
レビュー
タイトルの「ヴァン・ヘルシング」とはブラム・ストーカー原作の「ドラキュラ」に出てくるドラキュラ退治の人物で原作では脇役なのですが、今回は堂々の主役になっています。ヴァン・ヘルシングとドラキュラ伯爵を軸にして、50 年代ユニヴァーサルホラー映画に登場した数々のモンスター、フランケンシュタイン、ヴァンパイア、狼男、ジキルとハイドなどが一堂に集結してノンストップアクションを繰り広げるのが今作、「ヴァン・ヘルシング」です。
作品冒頭は間違いなく 50 年代ユニヴァーサルホラー映画にオマージュをささげているものと思います。モノクロ画面に怪物フランケンシュタインの登場シーンや火に包まれた風車を入れてくるところはそのまんまと言う気がします。ここでドラキュラ伯爵が何か企んでいるからおや、という期待になってきます。
その後主人公、ヴァン・ヘルシングがジキルとハイドを退治する掴みのシーンでまずは観客を作品中に取り込みます。タフなアメコミヒーロー、またはジェームズ・ボンドのような活躍に惚れ惚れするわけです。
その後は一応物語を進めるための軽い設定をおいておきますが、アクションシーンのてんこ盛りで観客をジェットコースターに乗せているかのような展開をしていく作品ですから、さほど重いものではないでしょう。でもヴァチカン市国が実はモンスター退治の最後の砦、という設定はどう考えてもジェームズ・ボンドの所属する MI6 のパロディとしか思えないです。彼に手渡される数々のガジェットもそれっぽいです。
トランシルヴァニアに到着したヴァン・ヘルシングはアンナという 400 年前にドラキュラ伯爵抹殺に失敗して生き延びている女性に出会います。彼の兄は狼男を退治しようとして失敗し、自分が狼男になってしまうわけですが、これが実は後のキーポイントの一つになってきます。
その後はほとんどドラキュラ配下のモンスターたちとヴァンヘルシングたちの戦いに終始していきますが、前半が連射式ボウガンなどガジェットを使って気分爽快なのに比べると、後半は少し雰囲気が変ってきます。ヴァン・ヘルシングがドラキュラ伯爵と対面するシーンから両者の間に因縁めいたものを感じ始めます。ドラキュラ伯爵がヴァン・ヘルシングのことをずっと「ガブリエル」と呼んでいますので、ガブリエルって天使の名前じゃなかったかな、ヴァチカンから来た正義のヒーローとしての慇懃無礼な言い方をしているのかな、とも思いましたが、クライマックスでドラキュラ伯爵の指が一本なく、ヴァン・ヘルシングに「指を返せ」と会話するところで、その意味合いが分かってきます。ヴァン・ヘルシングとドラキュラ伯爵はコインの裏表の存在なのだと思います。うがった見方ですが、一人の人格が正義のヒーローと悪のヒーローに分裂したのではないかということです。
そしてその問題を解決するキーとなるのがアンナの兄が狼男になってヴァン・ヘルシングと死闘を繰り広げてしまい、ヴァン・ヘルシングを狼男になる傷を負わせて死んでしまうところにあると思います。モンスターになってしまった分裂した正義のヒーローが悪のモンスターを退治する、別の見方をすれば一体化するという構図がなかなか面白い展開になっていると思います。ちなみに原作のドラキュラ伯爵は銀の串を胸に刺すと死ぬのですが、今回は死なないところがミソです。だからドラキュラ伯爵を殺すのが狼男のパワーになってしまうわけです。
ヒロインのアンナもタフネスさを発揮してモンスターたちと戦い、最後にヴァン・ヘルシングを狼男が元のヒーローに戻して天国に去っていきますので、400 年の宿命がようやく終わりを迎えたといえるでしょう。
予備知識がなくても十分に楽しめますが、007 シリーズや、フランシス・フォード・コッポラが制作や監督をした「ドラキュラ」、「フランケンシュタイン」辺りを観ていると原作の設定をどう活かしてどう改変しているかが分かって、またそのアイデアにニヤリとすると思います。
映像は 19 世紀のモンスターの徘徊する世界ということと、夜や闇のシーンが多いせいだと思いますが、少しソフトフォーカス気味の映像です。そして夜や闇のシーンは若干紫ががった青が支配的で、不思議な幻想感に襲われます。音響効果はこの手のアクション作品に外れはありませんからがんがんサウンドフィールドが広がり、音が縦横無尽に動き回ります。
しかし、監督のスティーヴン・ソマーズという人は「ハムナプトラ(原題:THE MUMMY)ではミイラ男の話を大幅改変してアクション物にしてしまった人で、今回はその他モンスター勢揃いと、実は子供の頃この手の作品が大好きな人だったのかな、と思ってしまうところです。
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