SHADOW(4K UHD Blu-ray)
No Image | 邦題 | SHADOW/影武者 |
レーベル | WELL GO USA ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2018年 | |
上映時間 | 116分 | |
監督 | チャン・イーモウ | |
出演 | ダン・チャオ、スン・リー、チェン・カイ | |
画面 | 2.39:1/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 北京語/DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語、中国語 |
あらすじ
中国の小国ペイは、強国に支配されていた。ある日、ペイの司令官は、強国の将軍ヤンの誕生日にヤンに会いに出かけて行った。司令官はペイの国王の許可も得ずにヤンとの一対一の対決を申し込んだと、国王に告げた。ペイの国王は、強国との同盟関係が壊れると司令官に対して怒り狂うが、司令官の心は頑なだった。実は司令官はジンという影武者であり、本物の司令官は人知れず生活していたのである。ジンはヤンとの対決に向けて人知れず本物の司令官とトレーニングするが、ジンが勝つ見込みは少なかった。司令官の妻は、ジンを本物の夫のように扱い、ジンの妻のふりをしていた。そして、ジンとヤンの対決の時は迫り、ジンとヤンの対決に乗じて、ペイ国の女性陣たちは強国が支配するジン・シティ奪還を狙っていた。その頃、強国との和平を維持しようとする国王は、妹をヤンの息子の嫁に出すという計画を立てる。
レビュー
「HERO」、「LOVERS」のチャン・イーモウが監督を務めた武侠アクション映画が、この「SHADOW/影武者」です。中国映画ということもあってか、世界的にはあまり興行収入を稼げずにいますが、批評は高い評価を得ていて、Rotten Tomatoesの批評家評価は94%、観客評価は80%と高評価を得ています。
物語は、戦国時代の中国で強国に支配されている小国ペイの司令官が、国王の許可も得ずに強国のヤン将軍の誕生日に祝いに行って、その場で決闘を挑むことから始まる、小国ペイの立ち位置と、司令官とその影武者、ペイ国王の行動を克明に描いたものになっています。
まず、この映画で驚くのはカラー映画でありながら、登場人物の衣装から小道具、大道具、風景に至るまで全てが白黒の濃淡だけで表現され、まるで昔の中国の水墨画を彷彿とさせる映像表現になっていることです。擬似モノクロ映画と言ってもいいその映像表現に、映画の緊迫感を強調させる仕掛けが施されています。また、雨が降り続くという設定のため、そのモノクロっぽい映像に強化を施したものになっており、印象を強くさせています。
また、タイトルの「SHADOW/影武者」とあるように、物語の主人公はペイ国の司令官が実は影武者であったという設定で、本物の司令官が怪我のためにひっそりと生きているところも、物語に深みを与えています。物語は影武者であるジンがペイ国の司令官として振る舞い、強国のヤン将軍と一対一の対決に挑むという展開に、興奮を感じさせるところがあります。
ジンのヤン将軍への一対一の対決に乗じて、ペイ国の女性陣たちが、ジン・シティ奪還に向けて動き出すというのも、物語上アクションの興奮があり、派手な対決が見どころになっています。ジンや女性陣たちが使うのが、傘の形をした刃であり、刃が滑空して敵を薙ぎ倒していくのが、映像表現として見応えあるといえます。
一方、ジンの勝手な行動から予想される展開に向けて、ペイ国の王は自身の妹を強国のヤン将軍の息子の嫁に出す、という計画を立て、妹からは反発を買ってしまいます。その妹はジンの対決に乗じて他の女性陣と共にジン・シティ奪還に向けて戦い出すのですが、その結末は悲劇的であるといえます。
ラストは意外な展開になるのですが、ヤン将軍との対決を生き延びたジンが、最後、ペイ国王との生死を賭けた対決に、本物の司令官との関係も清算した結末に、ラストまで見逃すことのできない展開が繰り広げられます。
映像は、4K/HDR10で収録されています。マスターデータは4Kですので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。前述の通り、衣装から風景画まで全て白黒の色使いで構成されているため、HDR10の効果はコントラストの濃淡を強化するところに留まっています。解像度は4Kですので高精細で、映像美に魅了されます。音響は北京語のDOLBY ATMOSです。制作会社のトレイラーからDOLBY ATMOSの空間オーディオぶりが露わになり、本編が始まると、登場人物のセリフにエコーがかかるところとか、雨のシーン、傘の刃の唸る音などが縦横無尽に移動し、音響のサラウンド感が見事に構築されています。
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