007 スペクター(4K UHD/iTunes Movies)
No Image | 原題 | SPECTRE |
レーベル | MGM HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2015年 | |
上映時間 | 148分 | |
監督 | サム・メンデス | |
出演 | ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ジェームズ・ボンドは、メキシコの「死者の日」にマルコという男を追い詰めていた。それは、殉職してしまったMの遺言によるものである。激しい死闘の末、マルコを抹殺することに成功するボンドだったが、彼には謎のマークの入った指輪があった。その頃、ロンドンではCと呼ばれる男が先進9か国で機密情報を共有する契約を結ぼうとしていた。それが可決すれば、00セクションは廃止になってしまう。殉職したMの代わりの新しいMはそれを阻止しようとするが、機密情報の共有の契約は可決の方向に向かっていた。ボンドは単身ローマに渡り、謎のマークの意味を探っていたが、正体がバレて謎の組織と対決することになる。そして、その謎の組織の解明に向けて、Mr.ホワイトの元を訪れる。Mr.ホワイトに娘がいることを知ったボンドは、Mr.ホワイトに娘の身を守ると約束するが、Mr.ホワイトは自殺してしまう。そして娘であるマドレーヌは、ボンドに対して組織の名前が「スペクター」であることを教える。「スペクター」の秘密基地が北アフリカにあると知ったボンドとマドレーヌは、基地に潜入しようとして捕まり、「スペクター」のリーダー、ブロフェルドと対面する。ブロフェルドは、Cの企んでいた機密情報の共有を自分たちにも共有しようとしていた。Cも「スペクター」の一員だったのである。全容を知ったボンドは「スペクター」壊滅に向けて動き出す。
レビュー
ダニエル・クレイグが007/ジェームズ・ボンドを演じるシリーズ24作目にして、ダニエル・クレイグの007第4作目に当たる作品が、この「007 スペクター」です。製作費が245百万ドルもかかっていながら、北米での興行収入は200百万ドルしか稼げず、全世界での興行収入881百万ドルでようやく黒字になっている作品であります。評価も並で、Rotten Tomatoesの批評家評価は63%、観客評価は61%と思ったほど評価されていません。
この「スペクター」は前作「007/スカイフォール」の続編にあたり、監督もサム・メンデスが再起用されている作品であります。そのため、過去の作品からの設定を色々引き継いでいるところがあり、「007/カジノ・ロワイヤル」からシリーズを見ていないと、ちょっとわかりづらい展開になっています。そこも評価が今ひとつな点ではないかと思います。
今作は、「007/カジノ・ロワイヤル」から描かれてきた謎の組織「スペクター」の全容がようやく判明するという話と、「スペクター」のリーダー、ブロフェルドとボンドとの関係に焦点があわされている展開になっています。特に「スペクター」という組織が過去の作品でも組織名は謎のまま描かれていたことに対して、今作でその正体を表すところは、ようやく腑に落ちた気がします。しかも、ブロフェルドとボンドが義理の兄弟であるという設定は、驚愕の展開になっています。
今作でも世界各地を股にかけたボンドの戦いぶりは健在で、物語冒頭のメキシコの「死者の日」の祭りでのマルコとの戦いや、「スペクター」の会合で正体がバレてカーチェイスを繰り広げるシーン、「スペクター」の本部での対決など、見応えあるアクションシーンは満載されています。
ただ、話は「スペクター」の正体明かしとそのリーダー、ブロフェルドの正体にたどり着くまでが長く、しかも話が色々混ざっていて混乱しかかってしまいます。ボンドが「スペクター」の正体を調べるだけなら話は簡単なのですが、それに加えてCが先進9か国に機密情報を共有しようとする法案可決に向けての話が複雑に絡み合ってしまったために、理解し難い展開が後半まで続きます。ブロフェルドの正体がはっきりすると、その辺の話も整理されてくるのですが、そこにたどり着くまでが厄介な展開になっています。
今作では脇役であるMやQ、マニーペニーたちも活躍の場を与えられ、特にQの活躍は目を見張るものがあります。彼の作る秘密道具は、ボンドの窮地を助けるものになっていて、アクションシーンで存分に生かされています。また、Qは機密情報共有法案の妨げになるようなコンピューター操作にも長けていて、危機一髪の状態を切り抜けています。この辺は脇役活躍の場として面白いところであります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは4Kで保管されていますので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。解像度は十分高精細で、世界を転々とするボンドのその世界観がよく描写されていると思います。DOLBY VISIONによるHDR効果も抜群で、明暗の描き分けが絶妙です。また、ロケ地であるメキシコ、ローマ、北アフリカ、ロンドンなどその都市にあった色彩を見事に描き分けています。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chサラウンドですが、冒頭のメキシコの「死者の日」の音楽演奏で重低音が響き渡り、その後のヘリコプター内での格闘シーンは、ヘリコプターの操縦系統に異常があることを示すローターの回転音がフロントチャンネルとサラウンドチャンネルをぐるぐると回り、素晴らしい効果を発揮しています。
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