THE LAST WALTZ(4K UHD Blu-ray/CRITERION)
No Image | 邦題 | ラスト・ワルツ |
レーベル | CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1978年 | |
上映時間 | 117分 | |
監督 | マーティン・スコセッシ | |
出演 | THE BAND、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン | |
画面 | 1.85:1/DOLBY VISION | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語/dts-HD MA 2.0ch 英語/PCM 2.0ch 英語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
1960年台から1970年台にかけて、アメリカを中心に活動してきたTHE BAND。自身のオリジナル楽曲の制作のみならず、ボブ・ディラン等のサポート・ミュージシャンとして活躍の場を得てきた。そのTHE BANDが1976年の感謝祭の日にサンフランシスコのウインターランド・ボールルームで解散コンサートを開催した。この解散コンサートでは、THE BANDのメンバーの他にも、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル等様々なロック・ミュージシャンがゲスト出演し、最後のライブに花を添えた。「THE LAST WALTZ」と名付けられた解散ライブは、マーティン・スコセッシの監督の元フィルム撮影され、映画化された。それがこの映画「THE LAST WALTZ」である。
レビュー
アメリカのロックバンドとして様々なアーテイストのサポート及び、自身の活動を行ってきたTHE BAND。その1976年の感謝祭の日に解散コンサートを開催した模様を収録したのが、この「ラスト・ワルツ」です。監督は「タクシー・ドライバー」で一躍有名になったマーティン・スコセッシであり、ライブの模様のコントロールと、オフ・ステージのインタビュアーを担当しています。映画批評では高水準の評価を得ており、Rotten Tomatoesの批評家評価は98%、観客評価は94%を稼いでいます。
映画は、マーティン・スコセッシがインタビュアーになって、THE BANDのメンバーの一人であるロビー・ロバートソンにインタビューを行うところから始まります。インタビューの模様は映画全編を通してそんなに長いものではなく、いずれも短いインタビューになっています。それは、THE BANDの演奏を堪能させたいという意思があるものと思います。
映画のメインはTHE BANDの演奏シーンにありますが、THE BANDのメンバーの多くがボーカルを担当していて、曲によってボーカルがコロコロ変わるのは、ユニークなスタイルであるといえます。通常、バンド編成の時はギター担当の人がボーカルを担当しているのが普通ですから、いかにTHE BANDが音楽に長けたメンバー構成であったかが分かるようになっています。
今回は、ホームシアターで鑑賞しましたが、この映画が制作された時には、まだホームビデオが登場するかしないかぐらいの年代であり、家庭で音楽ビデオを見るなんていうのは先の未来の話でしたので、映画館で見ることを前提に制作されています。それを受けると、映画としてきちんと成立しているのがよく分かるライブ映画であるといってもいいでしょう。
THE BANDの解散コンサートではありますが、湿っぽい感じはしない映画になっていると思います。それは、THE BANDが湿っぽい曲を演奏しなかったというのもありますし、THE BANDと関わりを持ったミュージシャンたちがこれでもか、というぐらいにゲスト出演をして、THE BANDと共演していることが挙げられると思います。ボブ・ディランをはじめとして、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェルなどの有名ミュージシャンが続々と登場し、自身の曲を1-2曲歌っていく様は、豪華なアニバーサリーライブの様相を呈しています。
THE BANDのメンバーの一人であるガース・ハドソンは、他のメンバーにとって音楽の先生である、というロビー・ロバートソンの意見には、うなづくところがあります。佐野元春ファンにとっては、佐野元春 & THE HOBO KING BANDのアルバム「THE BARN」でガース・ハドソンとの共演を耳にしているかと思いますが、この解散ライブの時から彼の存在感にはただならぬものがあります。
佐野元春絡みでいえば、この「THE LAST WALTZ」は佐野元春のライブビデオの制作に大きな影響を及ぼし、「Film No Damage」では、この映画を参考にしている要素があります。ライブシーンとインタビューシーンの混在には、共通するところがあります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。初期の多くのライブビデオが16mmフィルムで撮影されていたのと比較して、この映画は35mmフィルムで撮影されており、それを4Kスキャンでビデオ化しています。なので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。4Kではありますが、そんなにグレインが多い映画ではなく、当時の雰囲気がよく現れた解像度や色調をしています。DOLBY VISION収録ではありますが、ライブ映画の照明の制限により、極端な明暗さはありませんし、カラフルな色調になっているわけでもありません。ただ、暗部の階調性はよく描き分けているとは思います。ステージ上のメンバーのクローズアップシーンが多いため、会場の雰囲気が掴みづらいところはありますが、熱狂した観客の熱さは伝わってきます。音響はロビー・ロバートソン監修のdts-HD MA 5.1chサラウンドで収録されています。音楽は空間に充満する瞬間がありますし、インタビューシーンではインタビューの台詞が左右に振ったりして、色々仕掛けを施しているのが楽しい映画になっているかと思います。
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