タクシードライバー(4K UHD/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー

タクシードライバー(4K UHD/Netflix)

タクシードライバー4K UHDをAmazonで見る 原題 TAXI DRIVER
レーベル SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1976年
上映時間 114分
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスター、シビル・シェパード
画面 1.85:1/SDR
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

 26歳の若者である元海兵隊のトラヴィスは、不眠症に悩み、タクシードライバーとして夜の仕事に就くことになる。深夜の勤務を続けていても不眠症は治らず、時々ポルノ映画を見に行く程度の生活しかしていなかった。トラヴィスはニューヨークの夜の街中をタクシーで走り、どんな客でも乗車させていった。そして、街に生息する麻薬のディーラーや情婦等が雨で一掃されればいいのに、という歪んだ正義感を持っていた。そんなある日、トラヴィスは美人の女性を目撃し、彼女に恋をする。その女性、ベツィは、次期大統領候補のパランタインの選挙事務所で働いていた。べツィにアプローチしたトラヴィスは、彼女をデートに誘うことに成功するが、彼女をポルノ映画館に連れて行ったことでデートは破局し、べツィはトラヴィスから遠ざかる。トラヴィスはその逆恨みでパランタイン暗殺を企み、銃を手に入れ、身体を鍛え直す。そして、パランタインの演説の会場でパランタイン暗殺を目論むが、パランタインのシークレットサービスがトラヴィスの不審な動きを察知し、トラヴィスを追いかけたため、トラヴィスは暗殺を諦めざるを得なかった。そのトラヴィスは、タクシードライバーをしている時、12歳の情婦であるアイリスと出会う。彼女のことが気になったトラヴィスは、彼女の元締めであるスポーツと交渉し、アイリスと会話を交わす機会を作る。そして、アイリスに情婦を止めるよう説得する。パランタイン暗殺に失敗したトラヴィスは、アイリスを解放しようと、スポーツやその他元締めを拳銃で殺害し、一躍ヒーローになってしまう。

レビュー

 監督であるマーティン・スコセッシの代表作であり、主人公トラヴィスを演じたロバート・デ・ニーロにとっても代表作になった映画が、この「タクシードライバー」です。カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を受賞したほどの傑作であります。映画自体も大ヒットを記録していますし、評価もIMDbのトップ250では108位、Rotten Tomatoesの批評家評価で96%、観客評価で93%と高評価を得ている作品であります。

 この作品の特徴はというと、ベトナム戦争帰りの26歳の若者、トラヴィスが不眠症に悩み、夜の街で働くタクシードライバーになって、様々な出来事を経験し、最終的には街のヒーローにはなるが、自身がずっと抱えていた孤独感からは解放されない、というところにあるかと思います。トラヴィス自身は学歴がないためにその孤独感から逃れることができず、どんな客でも乗せるタクシードライバーとして、夜のニューヨークを徘徊している様が描かれています。

 その孤独感ゆえか、ニューヨークで繰り広げられる悪人たちの犯罪に対して憎しみを持っていて、「雨で浄化されればいいのに」という想いを持っています。その悪に対する憎しみは、物語のクライマックスで爆発することになります。

 不眠症のために夜眠れないトラヴィスは、夜のニューヨークで働くタクシードライバーとして活動していきますが、タクシードライバーの仕事は孤独な仕事であり、トラヴィスの求める孤独感の解消にはつながりません。タクシードライバー仲間とも会話は交わしますが、それでも孤独感が解消されることはないのです。

 そんなトラヴィスも次期大統領候補であるパランタインの選挙事務所で働くべツィという女性に恋をし、彼女とデートをする約束まで取り付けますが、学歴がないためにポルノ映画館にベツィを連れていくという失態を犯し、べツィから拒絶の態度を取られてしまいます。それがトラヴィスの孤独感をより一層募らせ、逆恨みでパランタインの暗殺を企み、銃を入手し、身体を鍛え直すという行動に出てしまいます。そのパランタイン暗殺計画も失敗に終わるのですが、この辺はトラヴィスの孤独ゆえの狂気が漂ってくる印象を受けます。

 その一方で、トラヴィスはタクシードライバーをしている時に、売春をさせているスポーツから逃げてきたアイリスという12歳の少女と出会います。アイリスのことが気になったトラヴィスは、スポーツと話をつけ、アイリスと交流を持つことになります。そこで歪んだ正義感からアイリスに売春の仕事から足を洗うようアドバイスをして、アイリスから笑われます。しかし、それでもトラヴィスは諦めず、パランタイン暗殺失敗後のやり場のない苛立ちを売春をさせているスポーツたちにぶつけ、彼らを抹殺することでアイリスを売春の仕事から解放します。それで、トラヴィスは街のヒーローとして持て囃されます。

 ラストは、タクシードライバーに戻ったトラヴィスのタクシーにべツィが乗車し、会話を交わしていきますが、トラヴィスの狂気はまだ目に宿ったままで、また、何かするという予感を感じさせるものになっています。

 映像は4K/SDRでの収録になっています。マスターは35mmフィルムで、そこから4Kスキャンをしたものになっていますが、元のフィルムの調子からしてそうなのか、かなりフイルムの粒子が盛大に乗っている映像表現をしています。NetflixでのインジケーターにはHDRの表記がないので、SDRでの収録であると思われますが、色彩は荒い映像にマッチした色調をしていて、バイオレンス色の強いこの映画の印象を強くしています。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chサラウンドで収録されていますが、あまり空間的サラウンドの効果は出ていないように感じます。どちらかというと2chステレオにアンビエント感が漂う感じがします。元々はステレオ音声だったこともあると思うのですが、5.1chのリミックスは極端なサラウンド空間を生み出していないと言えます。

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