Mr.ノーバディ(4K UHD/iTunes Movies)
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原題 | NOBODY |
レーベル | UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2021年 | |
上映時間 | 92分 | |
監督 | イリヤ・ナイシュラー | |
出演 | ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、RZA | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ハッチ・マンセルという男は平凡な人生を送っていた。家庭では毎回ゴミ出しにしくじり妻であるベッカに嫌味を言われるし、勤めている工場では毎日会計の仕事をしていた。ハッチには弟と、老人ホームにいる父がいた。平凡なルーティンの中、密かにハッチは体を鍛えていた。そして、工場主に「工場を買いたい」と告げるのだが、工場主からは相手にされなかった。ある晩、ハッチの家に泥棒が入ったが、ハッチは抵抗することもなく、自分の腕時計を奪われ、泥棒に対抗しようとした息子をも制止したために、息子からも呆れられる始末だった。しかし、ハッチは泥棒の腕に彫られた刺青を見逃さなかった。刺青屋を探索したハッチは、泥棒の家に辿り着き、奪われた腕時計を取り戻す。ある晩、バスに乗っていたハッチは、バスに乗り込んできたチンピラ相手についに本性を表す。チンピラ相手に大乱闘を繰り広げ、相手を死傷させてしまったのである。そのチンピラの中にはロシアン・マフィアのボスであるユリアンという男の弟もいた。ユリアンはロシアン・マフィアの基金であるオブシャクを管理・運営していたが、弟の死を知り、ハッチに対して自分の部下を送り込み、抹殺しようとする。しかし、かつては特殊組織で会計士の仕事をしていたハッチは、ユリアンの送り込んだ部下たちを返り討ちにしたばかりか、ユリアンを壊滅させるべく、戦いを開始する。
レビュー
新型コロナウイルス感染拡大下の2021年に劇場公開され、低予算アクション映画ながらスマッシュヒットを記録した映画が、この「Mr.ノーバディ」です。映画批評も好評で、Rotten Tomatoesによる批評家評価は84%、観客評価に至っては94%と高評価を得ています。
この映画はいわゆるスターが登場しないアクション映画として、それなりの出来を示していると言えます。主人公ハッチ・マンセルを演じるボブ・オデンカークはテレビドラマの「ベター・ソウル・コール」には出演していますが、映画ではそんなに大きな役では出演しておらず、テレビ主体の活躍をしている俳優さんですし、監督のイリヤ・ナイシュラーは「ハードコア」のヒットで知られる人ですし、脚本のデレク・コルスタッドは「ジョン・ウィック」の脚本も担当しているところから、一定程度の面白さは確保できているのではないかと思います。
また、設定が面白いと思います。主人公ハッチは平凡な人生を送っていますが、実は特殊組織で活躍していた過去を持っており、それが爆発してしまうところが物語の一番面白いところであり、ギャップであると言えます。平凡な家庭人であったハッチは、妻からは愛想を尽かされ、泥棒が家に入っても無抵抗で息子からも軽蔑されるという状況に追い込まれていきます。しかし、その裏で泥棒の腕に彫ってあった刺青を元に泥棒の住処を探りあて、奪われた腕時計を取り戻すシーンは、「この男、どんな過去を持っているのだ?」という謎解きの面白さを持っていると言えます。
それが最大限に発揮される最初のケースが、夜のバスに乗車してきたチンピラと一戦を交え、チンピラを瀕死の状態に追い込んでしまうところではないかと思います。うだつの上がらない中年親父であったはずのハッチが、チンピラを完全に追い込んでしまうところは、結構興奮するところであります。
それからのハッチはだんだんボルテージがアップしていきます。ハッチが殺したチンピラの中にはロシアン・マフィアのボスであるユリアンの弟もいて、ユリアンがハッチを抹殺すべく、部下をハッチの家に送り込むからです。その為にハッチはユリアンを殲滅すべく、かつての技能を駆使して部下たちを次々に抹殺し、ユリアンを逆に追い詰めていきます。それどころか、老人ホームにいる年老いた父や弟までハッチと共にユリアン殲滅に参戦し、死闘を繰り広げるところは、痛快であると言えます。
逆にユリアンにとってみれば、ハッチに関わった為に、自身の立場や地位を全て失い、最終的には命すら奪われてしまうのですから、堪ったものではないと思います。これは、ユリアンの不運でしかなく、ハッチに関わらなければそんな運命にはならなかったのに、と思わずにはいられません。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータが2Kですので、アップスケール4Kになり、解像度的には2Kより若干いい感じの解像度になっています。配信のデータ転送の上下があるのか、解像度が甘いシーンもありましたし、カメラがデジタルカメラであるためか、意図的に映像にノイズを乗せてフィルムライクにしているようで、そこが荒れる要因にもなっています。DOLBY VISIONの色彩は明確で、効果は結構あります。音響はDOLBY ATMOSですが、意外と三次元に音響が広がらない印象を受けます。アクションシーンでポップミュージックを流す演出が取られ、銃撃シーンの音響が抑えられていることも無関係ではないと思います。
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