ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(4K UHD/IMAX ENHANCED/Disney+)
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原題 | DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERSE OF MADNESS |
レーベル | MARVEL STUDIOS | |
制作年度 | 2022年 | |
上映時間 | 126分 | |
監督 | サム・ライミ | |
出演 | ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、キウェテル・イジョフォー | |
画面 | 1.78:1(IMAXシーケンス)/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
ドクター・ストレンジは悪夢を見ていた。それは、少女と自分が別の世界で怪物と戦っている展開だった。その夢から覚めたストレンジは、かつての恋人クリスティーンの結婚式に参列する。しかし、その結婚式の途中、怪物がニューヨークに現れ、少女が怪物に襲われている状況に遭遇する。少女、アメリカ・チャベスを救うべくストレンジはウォンと共に怪物に挑み、怪物を退治することに成功するが、チャベスはマルチバースを移動できる力を持っていることが判明する。スパイダーマンの一件でマルチバースのことを知ったストレンジは、アベンジャーズでマルチバースに詳しいワンダの助けを求めるが、ワンダは自身が生み出した家族のことのために心境が心変わりしていて、闇落ちをして、チャベスの力を使ってマルチバースを移動し、家族に再会しようとしていた。ワンダの目論みを阻止すべく、チャベスをカマー・タージに匿ったストレンジとウォンはワンダの攻撃に備えるが、魔女の力を持っているワンダによって防御は失敗し、ストレンジとチャベスはマルチバースの世界に落ち込んでしまう。別世界のニューヨークを彷徨うストレンジとチャベスは、その世界の守護神であるイルミナティと遭遇するが、イルミナティもワンダの力の前に屈する。ストレンジはワンダに対抗すべくヴィシャンティの書を入手しようとするが、ワンダによって阻止される。そして、ワンダはチャベスを自分の手にして、ダークホールドの力を持って自分の家族を取り戻そうとする。ストレンジはマルチバースの世界のもう一人の自分と出会い、ワンダを阻止すべくダークホールドの力を使おうとする。
レビュー
2016年に公開された「ドクター・ストレンジ」の直接の続編にあたり、マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4の5作目にあたる作品が、この「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」です。世界観としては「アベンジャーズ エンドゲーム」の後の話になり、また、マーベル・シネマティック・ユニバースのDisney+独占配信のドラマ「ワンダヴィジョン」から続く作品でもあります。興行収入としては製作費が200百万ドルかかっているのに対し、北米だけで410百万ドル、全世界で951百万ドルを稼ぎ出しており、大成功を収めています。ただ、評価自体はそれほど高くなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は74%、観客評価は85%と水準並みの評価を得ています。
映画はこの「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の前の作品にあたる「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」のその後を描いた話になり、「スパイダーマン」でも語られたマルチバースという概念が直接的に描かれた作品になっています。今回、アベンジャーズの一員であるワンダがストレンジの直接の敵になり、ワンダの野望を打ち砕くべく、ストレンジがマルチバースを行き来しながら戦う、という展開になっています。
この作品では、マルチバースを行き来できる能力を持った少女、アメリカ・チャベスというキャラが登場し、その能力を狙ってマルチバースの怪物やワンダが襲いかかる中、ストレンジがチャベスを庇って対抗するというストーリーになっています。チャベスはマルチバースを行き来できるものの、自分の意思で移動できるわけでもなく、恐怖に襲われた時に突然移動するという制限があるため、彼女のパワーが無制限に発揮できるわけでもないところが、物語の制約をはめていて、ストリーが破綻しないようになっています。
今回、アベンジャーズの一員であるワンダがストレンジの敵となって対立しますが、ワンダがそうなる理由は、家族を自分の手元に引き寄せたいという願いがあるからです。しかし、その家族って映画では唐突に現れてくるので、映画しか見ていない人には理解できないものになっています。このワンダの家族の話については、Disney+で独占配信中のテレビドラマ「ワンダヴィジョン」で詳しく語られていて、そこでのワンダの悲しみがこの「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」に引き続いているという展開になっていますので、Disney+で「ワンダヴィジョン」を見ていない人には、ストーリーが理解できないものになっています。この辺は観客への間口がより狭くなっているものになっていると言えるでしょう。個人的にワンダは好きなキャラだったので、今回の闇落ちワンダには残念な気がします。
ストレンジが移動したマルチバースの別の世界では、イルミナティという守護神が存在していて、世界の平和を守っていますが、ここで登場するメンバーも結構ディープです。キャプテン・アメリカの代わりにキャプテン・カーターがいたり、キャプテン・マーベルがキャプテン・マーベルの親友であるマリア・ランボーであったり、映画「X-MEN」のリーダーであるプロフェッサーXがいたりと、結構ファンサービスをしています。プロフェッサーXは映画「X-MEN」でプロフェッサーXを演じたパトリック・スチュワートが再度登場していますし、キャプテン・カーターは同じくDisney+で配信されている「ホワット・イフ…?」というアニメで登場した設定を流用しているしで、この辺も知っている人と知らない人では理解度が異なっています。
監督がサム・ライミであることから、映画とどことなくホラー映画っぽい展開になっているかと思います。特にストレンジとチャベスを追いかけるワンダの不死身ぶりとか、ストレンジがダークホールドを使って死者であった別次元の自分を操るシーンなどに、ホラー的要素を感じてしまうところがあります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは4Kで保存されているため、ネイティヴ4Kでの収録になっています。デジタル配信や発売予定の4K UHD Blu-rayは2.39:1のシネマスコープサイズでの収録になっていますが、このDisney+での配信はIMAX ENHANCEDでの提供をしているため、IMAXのアスペクト比で表示されています。そのため、シネマスコープサイズに比べ、26%の領域拡大を誇っていて、映像の迫力が段違いです。また、DOLBY VISIONによる色彩表現は、異常なほど魅力的に再現されていて、カラフルな映像が目の前に繰り広げられています。残念なのは劇場のIMAXシアターでは3Dで上映されていたので、没入感が素晴らしかったのですが、4K UHD版は2Kしか規格がないので3Dほどの没入感は得られないところです。それでも4K UHDの解像度はかなり魅力はあります。
音響はIMAXシアターでは6.1chもしくは12.1chでのサラウンド再生でしたが、Disney+での配信はDOLBY ATMOSでミックスされた音源を使用しています。DOLBY ATMOSによる三次元サラウンドの効果は素晴らしいの一言に尽きます。音が縦横無尽に移動し、頭上から重低音が鳴り響き、空間サラウンドが自分を取り囲む効果を発揮しています。
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