グレイマン(DOLBY VISION/Netflix)
No Image | 原題 | THE GRAY MAN |
レーベル | Netflix | |
制作年度 | 2022年 | |
上映時間 | 129分 | |
監督 | アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ | |
出演 | ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
2003年のフロリダの刑務所にコートという男が殺人事件の罪で服役していた。そこにフィッツというCIAのエージェントが訪れ、コートにCIAのために人を殺害する仕事を請け負うことを条件に刑務所での服役を免除するという持ちかけをする。コートはそれに同意し、CIAのために人殺しを行うシエラ・シックスというコード名で仕事を行うことになる。それから18年後、シエラ・シックスはバンコクにいた。CIAは国家機密情報を持ち出した人物を特定しており、シエラ・シックスとダニにその国家機密情報が敵に渡る前にその人物を抹殺するよう指示をする。しかし、シエラ・シックスはその人物の側に子供がいたことから銃での殺害を諦め、格闘技でその人物を抹殺しようとする。その人物と戦っている最中、その人物はシエラ・シックスと同じくCIAの仕事を請け負っていたシエラ・フォーであることが明らかになる。シエラ・フォーは国家機密情報ではなく、シエラ・シックスに仕事を指示したカーマイケルの悪事を記録したICチップを暴こうとしていたのである。格闘の末、シエラ・フォーを抹殺したシエラ・シックスはICチップを入手するが、その事実を知ったカーマイケルは自分の身の安全を図るべく、ロイドという危険な男を雇い、シエラ・シックスの抹殺とICチップの奪還を指示する。ロイドはシエラ・シックスを誘き寄せるべく、シエラ・シックスをCIAの仕事に持ちかけたフィッツとその姪であるクレアを誘拐する。シエラ・シックスはロイドの攻撃を交わしながら、ICチップの内容を解読し、ダニと共に戦いに身を投じる。
レビュー
「アベンジャーズ/エンドゲーム」の監督で知られるアンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソが、ライアン・ゴスリングやクリス・エヴァンスらを起用して、Netflixのために制作したアクション大作が、この「グレイマン」です。マーク・グリーニーの原作小説「暗殺者グレイマン」を映画化したものです。Netflix制作の映画ですので、基本Netflixでの独占配信になっており、日本では一部劇場で限定公開された模様です。批評は批評家と観客で分かれており、Rotten Tomatoesの批評家評価は50%とかなり悪い数字ですが、観客評価は90%と高い評価を得ており、観客は楽しんでこの映画を見ていることになります。
話は、CIAの人殺しの仕事を請け負ったシエラ・シックスという男が、CIAで指示を出しているカーマイケルという男の悪事を掴んだところ、カーマイケルがその事実を抹消するために最悪の暗殺者であるロイドという男を雇い、シエラ・シックスとロイドの死闘が繰り広げられる、というアクション映画の王道をいくストーリーになっています。
そのアクションシーンの素晴らしさは、さすがに「アベンジャーズ」シリーズで観客を唸らさせたルッソ兄弟ならではの描き方であり、シエラ・フォーとシエラ・シックスのバンコクでの花火の打ち上げ最中での格闘戦から始まり、航空機内での格闘戦、プラハでの路面電車と車のカーチェイスシーンなど、これでもか、というぐらいに観客の度肝を抜くアクションシーンが連続して繰り広げられていきます。これは、見ている方としてもアドレナリンが湧き出してくるぐらいの興奮を生み出しています。
その一方でシエラ・シックスの過去や、彼をCIAの殺し屋として雇ったフィッツとの関係、フィッツとその姪で心臓の病気を患っているクレアとの交流など、ストーリーが進むにつれ、徐々に明らかになる展開もあり、キャラクター造形にうまさが見られると思います。それはシエラ・シックスだけでなく、彼をサポートするダニという女性キャラや、彼を追い詰めるロイドという殺し屋のキャラ造形にも生かされています。
アクション映画では女性キャラは添え物的扱いをされることも多いですが、この映画ではダニが男性に負けず劣らずアクションをこなし、シエラ・シックスの良きパートナーとして活躍していることも、この映画の特徴ではないかと思います。男女同権が叫ばれて久しいですが、この映画でもその権利を尊重して女性も活躍するストーリーになっていて、ハリウッド・ポリティカルが現れているかと思います。
シエラ・シックスを追い詰めるのはロイドという殺し屋ですが、彼を演じているのはマーベル・シネマティック・ユニバースで「キャプテン・アメリカ」を演じていたクリス・エヴァンスであり、ルッソ兄弟とは何回目かのタッグを組んでの映画出演を果たしています。「キャプテン・アメリカ」で正義のヒーローのイメージが強いクリス・エヴァンスですが、この「グレイマン」では暗殺者を嬉々として演じていて、彼の演技力の高さに唸らされるものがあります。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。IMDbでの情報がないので詳細は不明ですが、映像の質からネイティヴ4Kであろうと思われます。4Kによる高精細感は映画全編のロケーションの魅力に満ち溢れていて、映像の中に入り込んだかのような没入感を受けます。また、DOLBY VISIONにわるHDR効果も素晴らしく、物語前半のバンコクの花火のシーンから始まり、中盤のプラハでのアクションシーンの色乗りの鮮やかさ、クライマックスの日の出の輝きなど最大限の効果を発揮しています。音響はDOLBY ATMOSでミックスされていて、アクションシーンでのオブジェクトの移動感や、包囲感などで三次元サラウンドが没入感を与えうる効果を出しています。
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