ムーンフォール(4K UHD/Amazon Prime Video)/Apple TVで観た映画のレビュー

ムーンフォール(4K UHD/Amazon Prime Video)

Amazon Prime Videoで見る 原題 MOONFALL
レーベル UK MOONFALL LLP
制作年度 2022年
上映時間 130分
監督 ローランド・エメリッヒ
出演 ハル・ベリー、パトリック・ウィルソン、ジョン・ブラッドリー
画面 2.39:1/HDR10
音声 DOLBY DIGITAL PLUS 7.1ch 英語、日本語
字幕 日本語

あらすじ

 1969年、人類が初の月面着陸をした際に、2分間通信が途絶えた。2011年、NASAは宇宙ステーションの保守メンテに関わっていた。その保守・メンテの途中、謎の粒子が宇宙ステーションとスペースシャトルを襲い、宇宙ステーションは破壊され、スペースシャトルのクルーの一人は死亡する。しかし、NASAはその任務に当たっていたハーパーの操作ミスによるものだと決めつけ、同乗していたファウラーもその意見に同意してしまったために、ハーパーはNASAを去らざるを得なかった。時は流れて現代、天文オタクで自称博士のハウスマンは、月が公転軌道を外れていることを発見し、NASAに連絡を取ろうとするのだが、NASAは耳を貸さなかった。しかし、NASAも月の公転軌道がずれ始めていて、次第に地球に壊滅的破壊をもたらすことを確認していた。NASAがその事実を公表する前にハウスマンはSNSでその事実を拡散してしまい、世間はパニックになる。そして、月の軌道がずれ始めたための影響で地球上で異変が起こり始める。ハーパーはハウスマンのホームページを見てハウスマンと接触を取り、月の異変を認識し、NASAに乗り込む。ファウラーは月に調査船を送り込むが、謎の粒子が調査船を破壊してしまい、手の打ちようがなくなる。しかし、NASAの調査の結果、電磁パルス兵器を開発していたことを知り、謎の粒子にその兵器が効果あるのではないかと確認する。アメリカ軍は核兵器を謎の粒子に打ち込もうとしていたのである。ファウラーは、ハーパーとハウスマンと共に博物館に置いてあったスペースシャトルで宇宙に飛び出し、電磁パルス兵器で謎の粒子を破壊しようとするが、そこには意外な事実が隠されていた。

レビュー

 「デイ・アフター・トゥモロー」や「2012」など、ディザスター・ムービーを作り続けているローランド・エメリッヒ監督の最新作が、この「ムーンフォール」です。スケールの大きいディザスター・ムービーで、製作費は150百万ドルもかかっていますが、興行収入は全世界で44百万ドルしか稼げず、日本に至っては劇場公開できずにAmazon Prime Videoの2022年7月の目玉作品として配信されています。映画の評価も芳しくなく、Rotten Tomatoesの批評家評価はわずか36%と低い値になっています。観客評価は70%とそこそこの評価は得ていますが、映画の出来は悪いと思います。

 話は、地球の衛星である月が公転軌道を外れ、地球に近づいてくるために地球の自然が異常な状態になり、人類滅亡の危機が迫る中、NASAの責任者であるファウラーや、かつては優れたパイロットであったものの事故の責任を取らされたハーパー、天文オタクで自称博士であるハウスマンが、その異常に対して行動し、人類の危機を救うというものです。

 ただ、その展開はローランド・エメリッヒの「デイ・アフター・トゥモロー」や「2012」と同じような展開になっており、既視感を覚えるところに映画としての致命的欠陥があると思います。映画の中では彼の映画の特徴である家族愛が描かれますが、主人公たちとその家族がバラバラの行動をしながら生き延びていくという展開も同じ話の焼き直しで、新鮮味がないところが残念に思います。

 新鮮味を感じたのは、月が地球の衛星ではなく、実はダイソンの天球と呼ばれる内部に恒星を有している人工物であるという設定と、ハーパーやファウラーたちを襲う謎の粒子の正体、そしてダイソンの天球内部にいるエイリアンの正体がSFチックで、そこだけは面白く感じるところがあります。どことなく他のSF映画的展開が物語後半で繰り広げられ、人類の起源に至るまでの話が語られるのは、少し捻っているかなと思います。

 主人公はハーパーとファウラー、ハウスマンの三人ですが、彼らが活躍をして、最終的には誰かが犠牲になるのではないかと思いながら鑑賞しましたが、確かにその通りの展開ではあるものの、犠牲になるキャラが予想と違っていたので、そこは裏切られたかなと思います。その犠牲も無駄死にではなく、最後に救いがある展開になっていますので、オチとしてはこれもありかなと思います。

 映像は4K/HDR10で収録されています。マスターデータそのものが4Kで保管されているためネイティヴ4Kでの提供になっています。映像は高精細で細部の描写までよく描かれていると思います。HDR10による映像色彩描写ですが、輝度が明るくHDR効果は出ているとは思いますが、シーンの多くが黒に締まりがなく、白が飛んでいるかのような描写になっているので、少々違和感を感じるところはあります。色彩そのものはヴィヴィッドではあるものの、白が優勢な色彩をしているので、変な感じはします。

 音響はDOLBY DIGITAL PLUS 7.1chで収録されています。北米版4K UHD Blu-rayではDOLBY ATMOSで収録されていたようなので、日本での配信版はその効果は制限されていると感じます。とはいうものの、7.1chでのサラウンド効果も擬似イマーシヴ効果は出ていて、物体の移動感や方位感はかなり強く、サラウンドだけで映画を堪能できるところはあるかと思います。

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