ウェアウルフ・バイ・ナイト(4K UHD/Disney+)
No Image | 原題 | WEREWOLF BY NIGHT |
レーベル | MARVEL STUDIOS | |
制作年度 | 2022年 | |
上映時間 | 54分 | |
監督 | マイケル・ジアッキノ | |
出演 | ガエル・ガルシア・ベルナル、ローラ・ドネリー、ハリエット・サンソム・ハリス | |
画面 | 2.39:1/DOLBY VISION | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語 | |
字幕 | 日本語 |
あらすじ
闇の世界では、狩人が怪物を人知れず倒してきた。狩人の一人であるユリシーズ・ブラッドストーンが逝去し、ユリシーズが怪物を退治するために使っていたブラッドストーンという石の所有権は空いていた。ユリシーズの妻であるヴェルッサは、ブラッドストーンを所有できる後継者を見つけるために、狩人たちを集め、ブラッドストーンを所有する為の戦いに参加させる。その狩人の中には、ユリシーズの娘であり、20年も家を離れていたエルサも含まれていた。ブラッドストーンは怪物の身につけられ、狩人たちは自分がブラッドストーンを所有しようと、怪物を探し、他の狩人が目の前に立ちはだかれば、容赦なく倒していった。狩人の一人であるジャックは、他の狩人と行動が変わっていて、ブラッドストーンを身につけられた怪物テッドと実は仲間だった。ジャックはエルサに声をかけ、エルサがブラッドストーンを所有できるよう共同戦線を張る。しかし、その目論みは崩れ、エルサとジャックは囚われの身になってしまう。ジャックには秘密があり、ヴェルッサはその正体を暴こうとブラッドストーンをジャックに近づけ、ジャックは石の力によって正体を表す。
レビュー
マーベル・スタジオが、ハロウィーンのために特別にDisney+の独占配信で中編映画を作ったのが、この「ウェアウルフ・バイ・ナイト」です。監督は、映画音楽の作曲家として有名なマイケル・ジアッキノであり、監督デビュー作であります。マーベル・シネマティック・ユニバースの一作品ではありますが、他のシリーズとの関連性はありません。映画批評は高評価を得ていて、Rotten Tomatoesの批評家評価は90%、観客評価は93%とかなり高い評価を得ています。
映画は、往年のユニバーサル・ピクチャーズのホラー映画を踏襲した作りになっており、ホラーの雰囲気満点ですが、それでいてマーベル・シネマティック・ユニバースの流れを組んでアクションシーンもてんこ盛りですので、中編映画としてはかなり面白い作品に仕上がっています。タイトルが示す通り、狼男の話なのですが、当の狼男が登場するのは話がクライマックスになってからで、そこに至るまでは、ブラッドストーンと呼ばれる怪物を倒す石を巡っての狩人の争奪戦になっており、そちらに重点が置かれています。
物語の主人公はジャックという狩人と、エルサという怪物を倒してきたユリシーズの娘であり、この二人を軸にして物語は展開していきます。ジャックは秘密を抱えており、それが物語後半で明かされるので、そこに至る二人のやりとりや行動に一挙酒一投足を注ぎ込むことになります。また、エルサもユリシーズの娘ではありますが、ユリシーズの妻であり、エルサにとっては継母になるヴェルッサとの関係から家を20年も離れていたという設定になっていて、親子の絆が完全になくなっているところに物語の展開のキモがあると思います。
ジャックは物語前半で、ブラッドストーンを身につけられ、能力が弱っていた怪物テッドと実は交流があり、彼が単に狩人ではないことが明かされますが、その真の正体が何かというのは、物語のクライマックスまで引っ張っていきます。その謎解きが物語のキーになっていて、エルサとの関係やヴェルッサによる秘密の暴露が、興味深い展開になっているかと思います。
ホラー映画の雰囲気はあるものの、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品でありますので、アクションシーンはふんだんに盛り込まれ、飽きさせることがありません。残虐なシーン、例えば登場人物の腕が切られるとか、首が刎ねられるといったシーンもふんだんに盛り込まれているので、大人向けの作品になっています。残虐描写が多いので、視聴者への年齢制限もかけられており、子供が見るような作品にはなっていません。
映画は往年のホラー映画の雰囲気を出すためか、ブラッドストーンとラストを除いてモノクロの画面で上映され、また、フィルムの雰囲気を出すためにノイズをあえて載せていますので、その凝りようはは明らかです。映画の途中で意図的にフィルムチェンジのマークが画面右上に現れるというのも、その良い例かと思います。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。撮影自体はデジタルカメラで撮影され、マスターデータも4Kですので、ネイティヴ4Kでの収録になります。前述の通り、モノクロの画面であえてノイズも載せているため、高精細かと言われると少々違うかなとは思いますが、それでも4Kならではの描写シーンは魅力的です。物語の大半はモノクロですので、DOLBY VISIONによる効果も輝度に限定されていますが、臨場感あふれる輝度になっていて、ホラー映画の雰囲気がよく出ています。
音響は往年のホラー映画とは違い、DOLBY ATMOSで収録されています。三次元サラウンドの効果は抜群で、登場人物のセリフのエコー感や、アクションシーンにおける音の移動感、オブジェクトの配置等で物語に没入する環境が作られており、音響だけでも楽しい作りになっています。
なお、この映画は日本語字幕はついていますが、日本語吹き替えは制作されていません。映画終了後の各国の吹き替え制作クレジットに日本語は出てきませんでしたので、字幕のみの配信になっています。
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