羊たちの沈黙(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

羊たちの沈黙(4K UHD/iTunes Movies)

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原題 the silence of the lambs
レーベル MGM HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1991年
上映時間 118分
監督 ジョナサン・デミ
出演 ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

世間では、バッファロー・ビルと呼ばれる犯人が犯している女性連続殺人事件の話題で持ちきりだった。FBIの行動科学班の班長であるクロフォードは、FBI訓練生で、クロフォードの元で学んでいたクラリス・スターリングを人喰い殺人事件で監獄に入っている有能な精神科医、ハンニバル・レクターのもとに送り出す。クロフォードに確証があったわけでもないが、クラリスとならば、レクターはバッファロー・ビルに対するプロファイルを行なってくれるのではないかという推測を立てていたのである。クラリスはレクターのいる監獄に行くが、レクターはそう簡単にはバッファロー・ビルに対するプロファイルは行ってくれなかった。しかし、クラリスが隣の監獄にいるミグスから嫌がらせを受けたこともあって、クラリスに興味を持つようになり、クラリスと対面するたびに次第にバッファロー・ビルに対するプロファイルを行い始める。しかし、そのためにはクラリスは自身の嫌な過去を振り返ることになる。バッファロー・ビルによる女性連続殺人事件は続き、新たな犠牲者としてキャサリンという女性がバッファロー・ビルに捕まってしまう。彼女の母が上院議員だったこともあって、キャサリンを救うため上院議員はレクターのプロファイルを入手しようとするのだが、レクターは嘘を言い、監視の目を突いてついに監獄から脱走してしまう。そして、クラリスはレクターとの会話から、バッファロー・ビルの正体を突き止めかけ、謎解きにかかっていく。

レビュー

トマス・ハリスの同名原作小説を映画化したもので、アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞の5部門を制覇したサイコスリラーの傑作が、この「羊たちの沈黙」です。映画情報サイトとして有名なIMDbでは10点満点の8.6点を獲得してトップ22位にランクされていますし、映画批評サイトとして有名なRotten Tomatoesでは批評家評価、観客評価とも95%と異常なまでに高評価を得ています。

この映画は、クラリス・スターリングを演じたジョディ・フォスターや、ハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスにとってはまさにハマり役になっていて、その後の続編ではアンソニー・ホプキンスはレクター博士を演じ続けるという状況を生み出しています。クラリスを演じたジョディ・フォスターは、続編の展開を嫌がって降板してしまいましたが、この「羊たちの沈黙」におけるクラリスを見事に演じています。

物語は、バッファロー・ビルと呼ばれる犯人が女性連続殺人事件を起こしていて、バツファロー・ビルをFBIが追い詰めていく中、FBIの行動科学班班長のクロフォードがFBI訓練生のクラリスを召喚し、バッファロー・ビルのプロファイルを作り出すべく、人喰い殺人事件で監獄に投獄中のハンニバル・レクターとクラリスを面会させようとして、その二人の異常な交流が継続していくというサイコスリラーになっています。

物語は、バッファロー・ビルを追い詰めるFBIのクラリスの姿をメインに描いているのかと思ったら、実はそちらの描写は傍に置いてあって、クラリスと人喰い殺人事件を犯して投獄中の精神科医ハンニバル・レクターとの息詰まる交流がメインの展開になっています。それも、バッファロー・ビルの犯罪目的の捜査のはずが、どちらかというとクラリスの過去の境遇を探ってそれを分析することで満足するハンニバル・レクターと、過去の境遇を暴かれることで少しずつバッファロー・ビルのプロファイルを手に入れていくクラリスとの精神的対決が、メインの話になっています。なので、バッファロー・ビルの犯罪の目的よりもハンニバル・レクターの行動動機の方が観客の関心がいくようにストーリーが練られているといった具合になっています。

そして、この映画は女性を性的好奇心で見る、男性に対する異議申し立ても訴えかけられているのではないかと思います。クラリスの過去の境遇自体がどうも実父の死後、母方の兄弟夫婦に預けられた時に性的虐待を受けていたのではないかという疑惑がついて回りますし、大人になったクラリスを性的好奇心で見る男性警察官やFBI捜査官たちが多数登場します。クラリスが信頼できる男性が父親の雰囲気を漂わせるクロフォードとハンニバル・レクターだけというのもクラリスの男性に対する不信感を匂わせていますし、バッファロー・ビルの犯罪目的がすでに性転換を望むところから来ているという設定も、その辺を強化していると思います。

ハンニバル・レクターが、バッファロー・ビルの犠牲になって誘拐されたキャサリンの母である上院議員の指示に従って、バッファロー・ビルのプロファイルを行いますが、実はこれが嘘で、そのプロファイル後に警護の警官を殺害して牢屋から脱獄していくシーンは、かなり緊迫した展開になっています。アンチヒーローとも言えるハンニバル・レクターでありますが、この映画に限って言えば、まさにヒーロー的立ち位置にいて、主役の座を保ち続けるキャラクターになっています。人喰いレクターの名にふさわしい脱獄方法で、見るものを圧倒させていて、アンソニー・ホプキンスの名演が光ります。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。映像マスターは35mmフィルムですが、アメリカ版の4K UHD Blu-rayを制作する際に4Kのデジタルマスターを制作しているので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。元が35mmフィルムなので、高精細かというと少し映像が甘いシーンもありますし、フィルムグレインが絶えず乗っているので、4Kならではの魅力に限界を感じるところもあります。ただ、フィルムの解像度の限界は描写されているとは思います。DOLBY VISIONによる輝度や色彩管理は素晴らしいものがあり、特に暗いシーンの多いこの映画では、黒の描写に優れていると感じます。色も綺麗な発色をしていて、生々しいところがあります。

音響はDOLBY DIGITAL 5.1chのサウンドトラックになっています。マスターがDOLBY STEREO SRなので、5.1chにリミックスしたサラウンドは観客の周囲に広がり、映像に没入させる効果を発揮しています。音響にリアリティ感があり、映像を保管するものとしてその魅力を最大限に発揮しています。

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