48時間(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

48時間(4K UHD/iTunes Movies)

No Image 原題 48HRS.
レーベル PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1982年
上映時間 96分
監督 ウォルター・ヒル
出演 ニック・ノルティ、エディ・マーフィ、アネット・オトゥール
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語/AAC 日本語
字幕 日本語

あらすじ

刑務所の屋外作業を行っていた囚人のギャンズは、囚人たちの一味に近づいてきた先住民のビリーの助けを得て、まんまと脱獄してしまう。ギャンズとビリーは自動車を泥棒し、偽名を使ってホテルに宿泊していた。彼らの狙いは、賭博場の賭け金を強奪した仲間であるレジーが隠し持っていた50万ドルの金を自分たちのものにすることだった。自動車泥棒を捜査していたサンフランシスコ警察の刑事たちは、偽名を使っていたギャンズとビリーに近づくが、彼らの襲撃にあい、殉職してしまう。その場に一緒にいた同じく刑事のジャックは、ギャンズとビリーの襲撃を止めることができず、彼らを逃してしまう。署長は激怒していたが、ジャックはたった一人でギャンズとビリーの行方を追うことにする。その為にはギャンズとビリーの仲間であり、現在刑務所に収監されているレジーの助けが必要だった。ジャックは公文書を偽造してレジーを48時間の期限付きで釈放させ、レジーの助けを借りてギャンズとビリーの行方を追う。最初はレジーとジャックは馬が合わず、いがみあっていたが、次第に互いを認めるようになり、コンビとして行動することになる。

レビュー

1970年代から1980年代にかけて、男臭いアクション映画を撮り続けてきたウォルター・ヒル監督が放った傑作アクション映画が、この「48時間」です。この映画で囚人であるレジー役にエディ・マーフィが起用され、一躍人気を集め、スターへの道を駆け上ったのは有名な話です。興行収入は成功を収め、製作費の6倍近い興行収入を上げています。作品評価もまずまずで、Rotten Tomatoesの批評家評価はなんと94%という高い評価を得ています。ただ、観客評価は69%と並の水準に落ち着いていますが。

映画はハードボイルドな作品に仕上がっていて、バディ物としてもよくできた作品になっていると思います。主人公のジャックをニック・ノルティが演じていて、一匹狼の刑事役がよく似合う演技をしています。彼の存在が映画のトーンを決めていて、ハードなアクション映画としての仕上がりに寄与していると思います。

バディ物としてもよくできていて、刑事と囚人という対照的な二人が、最初は反目しながら、次第に一致協力して悪人退治に対して共に動き回るという展開は、ありふれたものではありますが、ジャックという一匹狼の刑事とレジーという口達者な囚人という相反する二人がどう一致協力していくのかが見ものになっています。

この映画がきっかけでブレイクしたエディ・マーフィですが、この映画でも後の映画で特徴的な口達者な黒人男性というキャラを嬉々として演じています。ただ、後の映画で顕著になるコメディ的要素は少なく、主役であるジャックと比較すると、品行方正なキャラとして演じているところがあり、一匹狼のジャックに対しての比較でそこはかとない面白みが醸し出されていると言えます。

物語前半の主役はジャックただ一人なのですが、物語が進むにつれてレジーのキャラの存在が大きくなり、最後には二人の立場が対等になっているのは、バディ物として優れている証左ではないかなと思います。そうなる過程には、度重なる捜査での失敗とそれを乗り越えていく二人の努力があると言えます。

ウォルター・ヒルが監督したというのもありますし、時代背景もあるのでしょうが、あくまで物語は男臭い映画に仕上がっており、女性も登場はしますが男性の添え物的扱いでしかなく、ハードボイルド感は満載になっています。また、物語中盤からクライマックスに向けて、ジャックとレジーは何回かギャンズとビリーを追い詰めるものの逃すという展開が繰り返されますが、その追い詰めた時のアクションシーンは結構ハードなシーンであり、興奮を覚えるシーンに仕上がっています。

映画のタイトルである「48時間」というのは、囚人であるレジーを釈放していられる時間が48時間に限られているところから来ており、48時間以内にギャンズとビリーを捕まえなければ、レジーの助けなく捜査をしなければならないというタイムリミット物としても成立しています。上映時間が96分と短いこともあってか、テンポよく物語は進み、飽きさせるシーンがありませんし、その良いテンポの中でキャラクターの造形を成立させているところは、見事だと思います。

ジャックの上司であるサンフランシスコ警察の所長が黒人というのは、刑事物としてはお馴染みの設定であり、調和を大切にする黒人所長に対して一匹狼であるジャックが反発しながら、一人で事件の解決に挑むというのは、よくある展開だと思います。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。オリジナルは35mmフィルムですが、2022年に4Kデジタルマスターを作っていますので、ネイティヴ4Kでの提供になります。ネイティヴ4Kなのですが、映像描写的には解像度が甘いです。解像度が甘いというより、撮影された35mmの解像度の限界以上に4K解像度が存在し、結果的にフィルムの粒子がほぼ全編に渡って見えてしまうぐらいの解像度を誇っています。その為、風景描写等ではどうしても甘い感じになります。DOLBY VISIONによる色彩管理も派手な感じではなく、やはり1980年代のフィルムというトーンで描写されています。ただ、暗部表現は黒潰れもなく、エディ・マーフィの黒い肌も綺麗に描写されています。

音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで収録されています。劇場公開時のサウンドはDOLBY STEREOですので3-1サラウンドから3-2.1サラウンドにミックスし直したことになります。実際視聴すると、サンフランシスコの環境音や銃撃シーン等で上下方向の移動こそないものの、水平方向の移動感は結構感じられ、迫力あるアクションシーンが楽しめます。

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