坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK:async(HD/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー
配信仕様
No Image | 原題 | RYUICHI SAKAMOTO:async AT THE PARK AVENUE ARMORY |
レーベル | KAB AMERICA | |
制作年度 | 2017年 | |
上映時間 | 65分 | |
監督 | スティーヴン・ノムラ・シブル | |
出演 | 坂本龍一 | |
画面 | 1.78:1/SDR | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch | |
字幕 | なし |
あらすじ
坂本龍一が2017年に発表したアルバム「async」。そのアルバム「async」をニューヨークのパーク・アヴェニュー・アーモリーという限られたスペースで観客を限定してライブで披露した。その模様を記録し、公開されたものが、「坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK:async」である。
レビュー
坂本龍一が2017年に発表したアルバム「async」、このアルバムをニューヨークのパーク・アヴェニュー・アーモリーという場所で観客を限定してライブパフォーマンスを行なった模様を記録し、公開されたのが、この「坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK:async」です。坂本龍一が2023年3月28日にこの世を去って、Netflixで追悼の意味でこの作品がラインアップされていましたので、これを視聴いたしました。
この映画は音楽映画であり、坂本龍一のアルバム「async」の楽曲をライブパフォーミングした模様をそのまま記録した音楽ドキュメンタリー映画ではありますが、この映画を見ますと、かなり実験的な演奏を実践しています。坂本龍一がピアノやシンセサイザーの鍵盤を弾くだけでなく、モジュレーターのつまみを微妙にいじって音のトーンを変えたり、ピアノの鍵盤が叩く弦を直接弾いたり、ガラス板を擦る音を入れたり、ギターを奏でたりと、まさにアート・パフォーマンスとも言える演奏を行なっています。
また、パーク・アヴェニュー・アーモリーのホール内の天井にはスクリーンが張られ、坂本龍一の奏でる楽曲に同期したイメージ映像が流れ続けるところも、意欲的な表現になっているかと思います。その映像はビデオ化に際し、テレビ画面全面に表示されることもあり、まさに映像と楽曲の同期が図られています。
パーク・アヴェニュー・アーモリーのホールという空間を限定した場所でのライブということもあってか、観客も坂本龍一の楽曲を聴きに来るというよりは、坂本龍一が表現するアート・パフォーマンスを見に来ている感覚があり、観客がそのアート・パフォーマンスに身を委ねている様子がしみじみと伝わってきます。それはビデオで見ている視聴者も同じで、やはりアート・パフォーマンスに身を委ねる感覚が強いです。
アルバム「async」がメロディよりはアンビエントな雰囲気満載の楽曲で構成されていることもあり、ライブパフォーマンス自体もアンビエント感満載であり、観客もビデオ視聴者もそのアンビエント感満載のライブに浸っていられる様子が見ていて伝わってきます。坂本龍一が辿り着いた一つの境地であると言えるかと思います。
映像はHD画質で収録されています。割と良好な画質ではないかなと思います。解像度はHD画質のままですし、配信の制限のせいか時折ブロックノイズが見える時もありますが、SDRの色彩も含め、きちんと見られる画像になっているかと思います。
音響はDOLBY DIGITAL 5.1chのサラウンド音声になります。楽曲に収録されたボーカル以外は音声収録はないので、どこの言語で収録というのはありません。全編楽曲の音のみで進行しています。5.1chのミックスは素晴らしく、ありがちなフロントからの音とエコーをサラウンドに回すような音の構築ではなくて、最初から音がサラウンドチャンネルから独立して奏でられたり、視聴者の周囲に音が取り巻くように奏でられたりと、没入感が高まるようになっています。AVアンプのDOLBY SURROUNDモードで視聴すると、存在しないはずの高さ方向の音が出現し、没入感を高める効果を発揮しています。
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