アントマン&ワスプ:クアントマニア(4K UHD/IMAX ENHANCED/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビュー

アントマン&ワスプ:クアントマニア(4K UHD/IMAX ENHANCED/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビュー

配信仕様

No Image 原題 ANT-MAN AND THE WASP:QUANTUMANIA
レーベル MARVEL STUDIOS
制作年度 2023年
上映時間 125分
監督 ペイトン・リード
出演 ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、ジョナサン・メジャース
画面 2.39:1&1.90:1(IMAXシーケンス)/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

スコット・ラングはアベンジャーズの一員として世界を救ったことで、一躍人気者になる。しかし、彼の娘キャシーは、正義を貫き通そうとしたためにしばしば警察の厄介になる生活を送っていた。スコットはそれに心を痛めていた。キャシーは、ハンク・ピム博士の指導のもと、量子世界の情報を得られるデバイスを作り上げていた。そのデバイス動作原理を知ったジャネットは、デバイスの動作を止めるよう強い口調でキャシーに指示するが、デバイスの動作が暴走し、スコット、キャシー、ピム博士、ジャネット、ホープの5人は量子世界に飛ばされてしまう。スコットとキャシー、ピム博士とジャネット、ホープの2グルーブに分かれてしまったため、お互いがお互いを探そうとする。その過程で、ジャネットはかつて量子世界に閉じ込められていた時の量子世界の生命体であるクライラーとの交流を通じて、スコットたちを探そうとする。その一方でスコットたちは革命戦士たちと出会っていた。革命戦士たちは、征服者カーンによって世界を制圧されていて、それに反旗を翻していたのである。その征服者カーンはスコットたちの前に現れ、かつて彼がいたマルチバースの世界に戻るためのコアを元に戻すようキャシーを人質に取り、スコットに命令する。征服者カーンはかつてジャネットが量子世界に閉じめられていた時にジャネットと知り合いになり、マルチバースに戻るためのコアの修復をジャネットが行っていたものの、カーンの目的を知ってしまったために、コアを巨大化させて使い物にならないようにしていたのである。スコットはキャシーを救うために、コアのサイズを元に戻そうとするが、そのために量子世界が危機に陥る。

レビュー

マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ5の第1作目に当たる映画が、この「アントマン&ワスプ:クアントマニア」です。次の「アベンジャーズ」でアベンジャーズの前に立ちはだかる強敵、征服者カーンの紹介作品になっており、「アベンジャーズ」の前振り作品ではありますが、チケットの売り上げ自体は製作費を回収できるほどには売れたものの、映画の評価としては芳しくなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は47%と低迷しています。観客評価はマーベル映画ファンの投票が多いのか、83%とまずまずの評価を得ていますが、「アベンジャーズ」の前振り映画としては期待に添えなかった作品になっています。

「アントマン」シリーズは、ヒーロー物ではありますが、前2作が割と小物のヴィランが相手で、身近なヒーロー物といった展開になっています。それに対して、この「アントマン&ワスプ:クアントマニア」はいきなり次の「アベンジャーズ」での強敵になるはずの征服者カーンがヴィランになってしまっているために、作品的にはシリーズの統一感が狂った感じはしないでもありません。

とはいっても、「アントマン」シリーズで描かれる家族の絆はこの作品でも健在で、アントマンにしろ、ワスプにしろ、征服者カーンと戦うのは家族を守るため、と言う共通の目的が貫かれているのは、シリーズを通じているポイントであるかと思います。物語が量子世界での壮大な戦いになってしまったために、前2作と印象の異なる作品になっていますが、基本はアントマンことスコット・ラングの娘であるキャシーへの想いがスコットの活躍の根源になっているのだと思います。

その一方で、かつて量子世界にずっと閉じめこられていたホープの母であるジャネットが、量子世界にいた間に何をしていたのかがこの作品で明らかにされ、ジャネットがマルチバースから追放された征服者カーンが復活するのを手助けしてしまっていた、と言う展開が、この映画での征服者カーンに対抗するピム博士やホープたちの戦いの理由になっています。ジャネットを含め、自身の過去の過ちを正すための戦いをすることで、マルチバースを征服しようと企むカーンの野望を打ち砕くところは、家族の協力なしには成し遂げられないところであります。

その征服者カーンなのですが、量子世界で自身の帝国を作り出してしまうぐらいに強大な力を持ったヴィランではありますが、それでもアントマンとワスプに負けてしまうところは、「本当にこのヴィラン、次の「アベンジャーズ」の最大の敵になるヴィランなのかな?」と疑問を感じざるを得ないぐらいにちょっと弱い印象を受けてしまうところはあります。「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」、「アベンジャーズ:エンドゲーム」でアベンジャーズを叩きのめしたサノスに比べると、その敵としての強大感がどうも感じられないところもあります。「アントマン&ワスプ:クアントマニア」で一旦は話を完結させなければならないためには、カーンを倒す展開にせざるを得ないとは思いますが、なんとなく矛盾は感じてしまいます。

征服者カーンによって改造された「アントマン」のヴィランであるダレンが、モードックとして再登場し、スコットたちを追い詰めるヴィランとして活躍しますが、この辺りはギャグかなと思わせるところはあります。顔だけ巨大なモードックの姿は怖いと言うより笑える要素になっていて、スコットやキャシーの敵としても強大な感じもせず、笑いをとっているかなと思います。

スコットたちが紛れ込んだ量子世界の世界観はCGでバリバリに作られていて、その描写は見事なものだと思います。どこかで見たことのあるような映像ではありますが、その世界観は現実の世界とは全く違うところにあり、魅力を感じるところであります。

映像は4K/DOLBY VISION/IMAX ENHANCEDで配信されています。マスターデータは4Kですので、ネイティヴ4Kでの提供になります。4Kならではの高精細な映像はなかなか魅力的ですし、DOLBY VISIONによるHDR効果は、画面の明暗がはっきりしていて、また量子世界の異世界感の再現に一役も二役も勝っている鮮やかな色彩が乱舞する映像になっています。Disney+でのみ配信されているIMAX ENHANCEDは、IMAXシーンでは1.90:1の画角になり、画面領域が上下に拡大するので、臨場感満点で没入感を与えるものになっています。

音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。量子世界での音の三次元感は素晴らしいものがあり、オブジェクトが視聴者の四方八方に配置されて臨場感を煽り、頭上を含めた空間の広がり感は、まさにイマーシヴなサラウンドとして効果を発揮しています。

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