NOPE(4K UHD Blu-ray)|NOPE/ノープ|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
ディスク仕様
No Image | 邦題 | NOPE/ノープ |
レーベル | UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2022年 | |
上映時間 | 131分 | |
監督 | ジョーダン・ピール | |
出演 | ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーヴン・ユァン | |
画面 | 2.20:1&1.78:1(IMAXシーケンス)/HDR10 | |
音声 | DOLBY ATMOS 英語/DOLBY DIGITAL PLUS 7.1ch スペイン語/DOLBY DIGITAL 5.1ch フランス語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
カリフォルニアでハリウッド映画に出演させる馬などの牧場を経営していたOJと妹のエメラルドは、飛行機から落ちてきた部品に当たった父を失ってしまい、ハリウッドでの仕事を失いかけていた。そんなある日、OJとエメラルドは牧場にUFOが出現し、牧場の平和が乱されようとするのを目の当たりにする。UFOを目撃したOJとエメラルドは、証拠を残してハリウッドのドキュメンタリー作家であるアントレスに売り込もうと、量販店に行き、監視カメラを買い込んでUFOの記録に努めることになる。量販店の店員であるエンジェルもその企みに巻き込まれるが、いざ、UFOが出現すると電気が流れなくり、監視カメラでの撮影は不可能になっていた。OJとエメラルドの近くでカーニバルを開いていたジュープは、1996年ごろにテレビでヒットしたシチュエーション・コメディ「ゴーディ・ホーム」に出演していた子役だったが、「ゴーディ・ホーム」収録中に出演していたチンパンジーによって共演者と観客が惨殺され、心にトラウマを持っていた。そのジュープは出し物としてUFOとエイリアンが登場するショーを演じていたが、実際のUFOがショーの最中に登場し、ジュープや観客たちを飲み込んでしまった。その一件が報道され、アントレスも関心を持ち、OJとエメラルド、エンジェルと共にUFOをフィルムに記録すべく、色々策略を講じる。そして、彼らの前にUFOが現れた。
レビュー
「GET OUT」、「Us」で一躍ヒットメイカーになったホラー映画作家のジョーダン・ピールが、サマーシーズン・ムービーとしてSFホラーの体裁で作り上げた映画が、この「NOPE/ノープ」です。映画のチケット売り上げ自体も製作費を軽く上回る成績を収めていますが、映画評としては微妙で、Rotten Tomatoesの批評家評価こそ83%と高いものの、当の観客には69%の評価しか得られていないという、評価の別れる映画になっています。
個人的には、次の展開がどう転ぶのだろう、と期待しながら見ていた口であり、そのストーリーテリングも面白かった、と言える内容になっていますが、この映画自体がSFホラーなので、主人公OJとエメラルドが遭遇するUFOの正体がなんなのか、UFOの目的はなんなのか、といった事柄は一切明かされず、あくまでOJやエメラルドといった人間側からの視点でのみ描かれるところに、この映画の特徴があると思います。もちろん、途中でUFOが人間を飲み込んだ後、飲み込まれた人間がどうなったかを描くシーンもあり、そこはかなりホラー要素強いですが、基本はOJ、エメラルド、エンジェル、アントレスといったUFOを映像に記録して売り込もうとする人間側からの困難に直面した時の対処と恐怖を描いたものになっていると言えます。
UFOに飲み込まれる人間側として登場するのが、OJたちと知り合うジュープと言う男とその家族、彼が経営するカーニバルの観客たちであります。ジュープも暗い過去をもっており、子供の頃にハリウッドでシチュエーション・コメディ「ゴーディ・ホーム」に出演していたのですが、ある時番組に出ていたチンパンジーによって共演者と観客が惨殺され、その時のトラウマを持っている、と言う設定になっています。この惨殺事件そのものもUFOによる人間狩りに近いものがありますが、その事件の再現を現代のカーニバル会場で実際に起こると、恐怖感が倍増するように思います。
OJとエメラルドの父が死んだ原因である飛行機の部品の落下事件というのは物語冒頭で描かれますが、本当は飛行機の部品落下ではなく、実はUFOの仕業ではないのか、と正しい事実の描写場面が物語中盤にあります。そうなると、OJやエメラルドが遭遇する遥か前からUFOはOJたちの牧場周辺に存在していたことになり、ホラーはすでに物語冒頭から発生していたことになります。
UFOはOJたちの前にはしばしば姿を表しますが、その時には電子機器が全て死んでしまうため、大抵はカメラ等でのUFO撮影の試みは失敗してしまうところも、物語のテンションを上げる展開になっています。クライマックスではアントレスを初めとしてUFOの姿を撮影しようとするものは電子カメラではなく、手回しでフィルムによってUFOをカメラに収めようと試みるところが面白く、その作戦が成功するのか、ハラハラドキドキさせられるところはあります。
ホラーではありますので、登場人物の誰が死んで、誰が生き残るのかといった部分での興味はストーリー上存在します。主人公であるOJやエメラルドを始めとして、量販店の店員であるエンジェル、ジュープ、アントレスといった主要キャラの誰が死ぬのか、誰が生き残るのか、といったサバイバル展開が物語を面白くさせています。
映像は4K/HDR10で収録されています。映画自体がIMAXフィルムと65mmフィルムで撮影されているため、ネイティヴ4Kでの収録になっており、またこの4K UHD Blu-rayでのIMAXフイルムのシーンは1.78:1のアスペクト比に拡大して収録されているため、その高精細感は素晴らしい、の一言に尽きます。IMAXフィルム自体の解像度が16K前後の解像度を持っているので、それを4Kに落としても元素材の画質の良さがよく現れていて、映像のリアリティ感がよく現れています。また、HDR10による色彩効果も素晴らしく、その場にいるかのような色彩を放っています。
音響はDOLBY ATMOSで収録されています。これもまた素晴らしい出来栄えで、馬小屋のスプリンクラーが水を放出するシーンでは、サラウンドチャンネルを効果的に使用したり、UFOがOJたちの頭上に位置する時には頭上にUFOの音が発生し圧迫感を感じますし、馬たちが走り抜けるシーンでは馬の走る音のオブジェクトが視聴者の周囲を駆け抜けるような演出がなされてりしていて、総じて三次元サラウンドとしての効果は絶大であると言えます。低音の響きも素晴らしく、UFOの存在感が十分に発揮されています。
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