STAR TREK:SHORT TREKS(Blu-ray)|スター・トレック:ショート・トレック|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

STAR TREK:SHORT TREKS(Blu-ray)|スター・トレック:ショート・トレック|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

STAR TREK:SHORT TREKS Blu-rayジャケット 邦題 スター・トレック:ショート・トレック
レーベル CBS HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2020年
上映時間 118分
監督 マヤ・ヴルヴィロ他
出演 メアリー・ワイズマン、ダグ・ジョーンズ、ミシェル・ヨー
画面 2.39:1/SDR
音声 dts-HD MA 5.1ch 英語
字幕 英語

あらすじ

RUNAWAY

ディスカバリーのシフトが切り替わった時、カーゴ・ベイの中に一人の潜入者がいた。その潜入者はザヒア人のポーと言い、姿を消すことができる能力を持っていた。ディスカバリーの士官であるティリーは上級士官を目指すべく訓練を受けていたが、食堂でポーと出くわす。ポーはダイリチウムを合成できる技術を持っており、その戦略的価値は連邦にとって大きかった。そして、ポーは翌日に女王になる運命にあった。ポーの心情を知ったティリーは、彼女をザヒアに送り返す手助けをする。

CALYPSO

宇宙を漂流中の宇宙船をディスカバリーは救助する。漂流していた宇宙船に乗船していたのはクラフトという男性で、彼は故郷での戦いを経て、脱出してきたのだった。ディスカバリーはクルーがいなくなって1000年が経過しており、船はコンピューターのゾーラが全てをコントロールしていた。ゾーラのコントロールのもと、クラフトは回復し、次第にゾーラと親密になっていく。しかし、クラフトには故郷に妻子がいて、二人を忘れることができなかった。

THE BRIGHTEST STAR

ケルピアンのサルーは、彼らの儀式であるヴァルハラに疑問を持っていた。なんのためにケルピアンがその儀式で存在を消すことになるのか、父に聞いても回答はなかった。サルーは秘密裏に手に入れたコミュニケーターで、誰もいない宇宙に向かってメッセージを流し出し、何者かが回答するのを待ち続けた。そして、ついに回答が来て、連邦のジョージャウがサルーと接触することになった。

THE ESCAPE ARTIST

賞金稼ぎは、連邦のお尋ね者であるハリー・マッドを捕らえた。マッドは賞金稼ぎの家族に手を出し、家宝すら持ち去っていた。そのため、賞金稼ぎの恨みを買っており、マッドが命乞いをしても容赦しなかった。そのマッドの行動にフラッシュバックが入り、他の賞金稼ぎとのやり取りが繰り返されることになる。賞金稼ぎは連邦の船と接触することになるのだが、実はハリー・マッドは本人によって作られたアンドロイドであり、アンドロイドのコピーで隔離室はいっぱいだった。本人のハリー・マッドは、アンドロイドのコピーに囲まれて、優雅な生活をしていた。

Q&A

エンタープライズに配属されたスポック少尉は転送され、副長の出迎えを受けてブリッジに出頭しようとするが、ターボリフトに搭乗した二人は、ターボリフトの故障により閉じ込められてしまう。エンジニアリングの助けを求めるがなかなか故障は解消せず、副長はスポックからの質問に応える状況に陥り、二人の距離感は縮まっていく。そして、二人は自分たちの手でターボリフトの故障箇所を修理しようとして失敗する。

THE TROUBLE WITH EDWARD

エンタープライズの科学士官の一人が昇進し、別の科学船に艦長として就任した。彼女は士官たちを集め、調査任務に就くのだったが、士官の一人であるエドワードは何か不審な動きをしていた。実はエドワードはトリブルに自身のDNAを注ぎ込み、トリブルの繁殖性を強大なものに改変してしまったのである。そのため科学船はトリブルで溢れかえることになり、クルーたちは船を捨てて脱出せざるを得なくなる。だが、エドワードだけは自身の行為を正当化して船にとどまった。後の軍法会議で艦長はエドワードの行為について意見を求められる。

ASK NOT

連邦の宇宙基地が攻撃を受けていた。そのため、囚人の保護をシードゥー士官候補生に委ねられる。その囚人とはエンタープライズの艦長パイクだった。連邦士官によれば反逆罪に問われているという。しかし、シードゥーと二人になったパイクは、連邦の船がソリアンの攻撃を受けているのを救助するためにエンタープライズで救助に駆けつけたのが真相だ、と語り、事態打開のために手錠の解除をシードゥーに迫る。シードゥーは連邦の法とパイクの真相の間で葛藤するが、連邦の法を優先する。その結果は意外な方向に向かう。

EPHRAIM & DOT

宇宙を彷徨うクマムシは、体内に卵を宿していてその卵の産卵地を探していた。クマムシはたまたまエンタープライズと遭遇し、エンタープライズの艦内に入り込んでしまう。エンタープライズのドットはクマムシを排除しようとするのだがうまくいかずにクマムシはワープコアに卵を産卵してしまう。その後、ドットはクマムシを船外に排除したのだが、クマムシは孵化していない卵のことを心配し、エンタープライズをずっと追いかける。

THE GIRL WHO MADE THE STARS

少女であるマイケルは悪夢で目が覚めた。彼女は怖がって父に話をせがむが、父は1000年昔のおとぎ話をマイケルに伝える。そのおとぎ話では1000年前の地球では夜に星空は存在しておらず、怪物が人を襲うため、一族は日中にしか活動できなかった。一族は日中に農作業をしていたが、やがて土地も痩せ果てる。そんな中、一人の少女が別の土地を探しに夜間の旅に出るが、夜の怪物に襲われる。しかし、そこに異星人が不時着し、少女に宇宙を授ける。宇宙を受け取った少女は一族の元に戻り、星空を輝かせることに成功し、夜も活動できるようなった。

レビュー

RUNAWAY

短編ドラマなので、大きな出来事にはならないが、ティリーがザヒア人のポーと出会い、彼女の境遇に同情して、彼女がザヒアに帰る手助けをするというささやかなドラマである。ポーはダイリチウムを合成する技術を生み出した天才であり、ザヒアの女王になる運命にあることから、ティリーとの出会いはポーにとって心の癒しになっている。「ディスカバリー」の登場キャラではティリーしか出てこないが、物語的には快適なストーリーになっている。

CALYPSO

ディスバリーのクルーが全く登場せず、ディスカバリーのコンピューターであるゾーラと、故郷での戦いで傷つき、脱出したクラフトとのヒューマノイドとコンピューターの奇妙な恋愛感情を描き出した印象に残る短編ドラマである。普通に考えて、ヒューマノイドとコンピューターの間には恋愛感情など発生しようもないはずだが、それが起きてしまうところに「スター・トレック」らしい展開だと思う。そして、ラストのクラフトの行動は、納得できるものになっている。

THE BRIGHTEST STAR

「スター・トレック:ディスカバリー」の主役キャラの一人であるサルーの生まれ故郷とそこに住むケルピアンの末路、そしてサルーが連邦に加入した経緯について描かれた番外編的短編ドラマ。サルーの故郷で行われる儀式についてサルーは疑問を持ち続け、ついに疑問こそ解けないものの、ケルピアン以外にも異星人はいて、サルーを故郷から連れ出すことになるというある種将来についての希望を謳ったドラマになっている。サルートファースト・コンタクトを取るのがミッシェル・ヨー扮するジョージャウというのもなかなかにくい演出である。

THE ESCAPE ARTIST

「宇宙大作戦」や「ディスカバリー」に登場した詐欺師、ハリー・マッドをメインに描いた短編だが、賞金稼ぎに捕まって一巻の終わりかと思われたハリー・マッドが実はアンドロイドのコピーを大量に作っていて、自身は安全なところにいたというギャグのような展開に笑える一編である。物語はある賞金稼ぎに捕まったハリーが命乞いをする展開で進むが、途中なぜかフラッシュバック的手法で別の賞金稼ぎに命乞いをするマッドの姿を描くので、なんでかなと思ったらオチが笑える展開で、ユーモアのあるストーリーだと思う。

Q&A

このエピソードはディスカバリーの話ではなく、後に正式に配信されることになる「STAR TREK:STRANGE NEW WORLDS」につながるショート・エピソードになるのだが、エンタープライズに初めて配属された新人士官であるスポックと、副長との初対面での印象からターボリフトの故障により閉じ込められたことから二人の距離感が縮まるという結構面白いエピソードである。タイトルの「Q&A」通りにターボリフトに閉じ込められたスポックが副長にいろいろ質問を投げかけ、副長がこれに答えていくところに焦点が当てられていて、スピンオフエピソードとしては興味深い。

THE TROUBLE WITH EDWARD

この話もエンタープライズの世界観の延長線上にある話ではあるが、メインになっているのが「宇宙大作戦」以降人気エイリアンになっているトリブル騒動を描いたエピソードになっているため、とても楽しく見ることができる。トリブルは繁殖性が異常に強いエイリアンとして描かれていたが、その原因を作ったのが艦隊士官であるエドワードであったという事の発端を描いたエピソードなため、トリブルのエピソード1的内容として、笑える展開になっている。

ASK NOT

このエピソードはパイクにおける事件の真相と犯罪者の管理についての法についての士官候補生の葛藤を描いたスリリングな展開の一編になっている。物語冒頭から宇宙基地が攻撃を受ける中で、パイクが語る真相と、それを盾に自分の解放を要求する囚人であるパイクの説得に対して、連邦の法を遵守し続けるシードゥーという士官候補生が、どこまで法を遵守できるかが、物語の肝である。そして、その行き着く先は想定外の結果になり、シードゥーには将来が約束された終わり方になっていて、短編としての出来はいいと思う。

EPHRAIM & DOT

宇宙生命体であるクマムシが自身の卵の産卵地を探しにエンタープライズの艦内で彷徨う様と、クマムシを排除しようとするドットの対決をなんとアニメーションで描いた異色作。歴史的にはカーク船長時代のエンタープライズを描いていて、宿敵カーンとの遭遇から「宇宙大作戦」や映画第3作目までの中のエピソードの1シーンを使いながら、孵化する前の卵の心配をしてエンタープライズを追いかけるクマムシと、エンタープライズの防御を行うドットとの戦いがユーモラスなコメディとして描かれている。ラストはクマムシの心配が解消される展開になっているので、話的には楽しく見ることができる。冒頭でモノクロ、4:3の画角で始まるので意外に思うかもしれない。

THE GIRL WHO MADE THE STARS

このディスク最後のエピソードは、CGアニメでおとぎ話を語る変化球な話である。スター・トレックの世界ではなく、遥か昔、宇宙に星空が輝いておらず、怪物が夜を支配していた時代に星空を夜に輝かせるに至った一人の少女の冒険物語をファンタジー形式で描いた穏やかなストーリーである。少女が星空を受け取る過程で、異星人が登場するが、それはスター・トレックの従来の異星人とは全く無縁の新登場の異星人なので、独立した感じのするエピソードである。

補足

「STAR TREK:SHORT TREKS」は「スター・トレック:ディスカバリー」の第1-2シーズン配信近辺に製作された全10話からなるシリーズで、このディスクにはそのうち9話が収録されている。残り1話は「スター・トレック:ピカード」の第1シーズンのBlu-rayの特典映像に収録されていて、このディスクのうち最初の4話は以前はNetflixでも配信されていたので、日本未配信なのは計5話になる。その5話の話は「スター・トレック:ディスカバリー」第2シーズンで好評だったゲストのクリストファー・パイク船長と副長、スポックが絡むカーク船長以前のエンタープライズを舞台にしていることも多く、それが「STAR TREK:STRANGE NEW WORLDS」に繋がる広がりを見せている。日本ではこのディスクは発売されていないので、日本未配信の5話が見られるのは輸入盤Blu-rayだけになり、結構貴重である。

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