Naked Lunch(Blu-ray/CRITERION)|裸のランチ|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

Naked Lunch(Blu-ray/CRITERION)|裸のランチ|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

Naked Lunch Blu-rayジャケット 邦題 裸のランチ
レーベル CRITERION COLLECTION
制作年度 1991年
上映時間 115分
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
出演 ピーター・ウェラー、ジュディ・デイヴィス、イアン・ホルム
画面 1.78:1/SDR
音声 dts-HD MA 2.0ch 英語
字幕 英語

あらすじ

1953年のニューヨークで、ウイリアム・リーは害虫駆除員の仕事をしていた。しかし、あるアパートの害虫駆除の最中、殺虫剤が切れ、害虫駆除の仕事を中断せざるを得なかった。ウイリアムには妻のジョアンがいたが、ジョアンは殺虫剤を麻薬代わりにしてラリっていた。ウイリアムもそれに倣うことになる。そんなある日、市の職員がウイリアムに接触してきて、ウイリアムにインターゾーンという世界と接続できる昆虫を引き合わせる。混乱したウイリアムは昆虫を殺してしまうのであるが、家に帰ったところで妻のジョアンと一緒にウイリアム・テルごっこをしていて間違ってジョアンを射殺してしまったため、インターゾーンに逃げ込む。インターゾーンは奇怪な世界で、昆虫型タイプライターを使ってウイリアムは文章を叩き続けていく。

レビュー

1950年代にアメリカで一世を風靡したビート・ジェネレーションの一人であるウイリアム・バロウズの同名小説を、カナダ出身で「スキャナーズ」や「ザ・フライ」等で有名なデヴィッド・クローネンバーグが脚本と監督をしたのたが、この「裸のランチ」です。興行収入的には制作費を大きく下回り、失敗作になっていますが、映画の評価自体はそんなに悪くもなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は71%、観客評価は77%とそれなりに高い評価を受けています。

「裸のランチ」の原作小説は、作者のウイリアム・バロウズが麻薬を決めてラリっている時に見た幻覚をそのまま文章にしたためたものを、さらに出版する段階になって編集者が勝手に文章や章立てを並び替えてしまったものであるためにストーリーというものがほぼ存在しておらず、これまで映画化不可能とされていたのですが、今回デヴィッド・クローネンバーグが脚本と監督を担当するにあたり、ドラマの辻褄の合う部分はバロウズが実際に起こした逸話を挿入することにし、原作小説の映像化は主人公ウイリアム・リーが逃げ込むインターゾーンという世界での話に転換するという離れ技を用いて映像化にこぎつけています。

ドラマ部分であまりに有名なのは、ウイリアム・リーが妻のジョアンをウイリアム・テルごっこをして銃で射殺してしまうパートで、これはバロウズの実話に基づいているという事実は小説より奇なりな展開を元にしています。また、ウイリアムもジョアンも麻薬中毒に陥っているのは、当然バロウズがジャンキーだったということに由来していますので、ビート・ジェネレーションの世界観がこの映画から垣間見えるかとは思います。

原作小説やバロウズの生き様がそうだったからという点はあるかとは思いますが、麻薬に対して結構肯定的な描写が多いように思います。ウイリアムもジョアンもジャンキーですし、麻薬を決めていない時でもウイリアムはタバコを終始吸っている印象が強いです。1991年の映画ですらこの描写が正当化されるのかという疑問もありますが、2023年の今だったら、かなり観客の年齢制限等が厳しくなるとは思われます。

もう一つ印象的なのは、直接的な描写は1箇所だけですが、ホモセクシャルに対しても寛容的な部分が多い、というところにあります。ホモセクシャル自体がアブノーマルな性愛であるため、映像にするのには不適格な部分も多いのかと思いますが、これも原作小説の文章でたびたび描かれているため、その辺割と原作に忠実かなと思います。

ただ、原作小説がそもそも理解できない内容であるため、映画化できたものの、分かりづらい映画であることには変わりなく、現実の世界とインターゾーンの世界の境界が曖昧な部分もあり、どこまで行ってもジャンキーの見る世界を映像化してみました、以上のものは見られないところはあるかと思います。インターゾーンに出てくる昆虫型タイプライターとか、異質な生命体が登場するのは面白いとは思うのですが。

映像は2K/SDRで収録されています。CRITERION COLLECTION Blu-rayは監督のデヴィッド・クローネンバーグ監修のもと、HDデジタルトランスファーを施していると書かれていますので、2K解像度であってもフィルムグレインが多少見え、解像感は満足いくものになっています。色彩はいくらかモノトーン気味で、かつ赤みを帯びている色調ですが、映画の雰囲気を表すのには適しているかと思います。

音響はdts-HD MA 2.0chで収録されています。劇場オリジナル音声はDOLBY STEREOですので2.0chの中に3-1方式のサラウンドが記録されていて、dts Neural:Xモードで映画を視聴すると、4.1.2chの擬似イマーシヴ・サラウンドとして空間に広がるサラウンドが堪能できます。オブジェクト・オーディオではないのですが、タイプライターを打つ音が視聴者の頭の位置で聞こえるなど、臨場感は結構あります。

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