ROCKETMAN(4K UHD Blu-ray)|ロケットマン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ROCKETMAN(4K UHD Blu-ray)|ロケットマン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

ROCKETMAN 4K UHD Blu-rayジャケット

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邦題 ロケットマン
レーベル Paramount Pictures Home Entertainment
制作年度 2019年
上映時間 121分
監督 デクスター・フレッチャー
出演 タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、リチャード・マッデン
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

ロックスターのエルトン・ジョンは突然依存症の会合に飛び入り参加し、自身がアルコール依存症であり、コカイン中毒であり、買い物依存症でもあり、様々な依存症に陥っていることを告白する。そのエルトン・ジョンは会合に参加していたメンバーから問われ、自身の子供時代からの半生を振り返ることになる。エルトン・ジョンは本名はレジーと言い、イギリスで生まれ育ったが、両親の愛情を受けずに育った。レジーの父はレジーの母と関係が悪く、レジーに対してもそっけない態度でしか接しなかった。また、母もレジーを疎ましく思っていた。ただ、レジーには音楽の才能があったので、祖母の助けもあり、音楽の勉強をしていた。レジーの音楽の指導をしていた教師も「レジーならば王立音楽院に入学できる」と太鼓判を押すほどだった。レジーは王立音楽院に入学し、さらに音楽の勉強を続けたが、あるきっかけで音楽業界に関わることになり、ソウルバンドのサポートミュージシャンとして活動を始めた。そして、音楽事務所を通してバーニーという若者と出会う。レジーは音楽の才能はあったが、作詞能力に乏しかった。バーニーは作詞能力に長けていたので、レジーはバーニーと組んで楽曲制作に取り組むことになる。そして、エルトン・ジョンという芸名を名乗ることになったレジーは、ライブハウスデビューを果たし、熱狂の渦の元、人気を上げていく。その人気度合いを認めたジョンという男がエルトン・ジョンのマネージメントを務めることになり、彼は世界的なスーパースターにのし上がっていく。しかし、その一方でレジーは孤独であり、愛情に飢えていた。レジーはゲイでもあったので、ジョンと関係を持ってしまうが、それが後々レジーの運命を狂わせていくことになる。

レビュー

世界的に人気のロックスター、エルトン・ジョンの半生をミュージカル調に描き出したのが、この「ロケットマン」です。制作総指揮にエルトン・ジョン自身が関わっていますので、内容的にも本人のお墨付きを得たものと考えても良い作品になっています。興行収入は制作費の倍は稼いでいて成功とみなされていますし、映画の評価もかなり高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は89%、観客評価は88%と高評価を得ています。

映画はアルコールや薬物などの依存症に陥っていたエルトン・ジョンことレジーが依存症の会合に飛び入り参加して自身の依存症の告白を行うところから始まり、そこから子供時代からの自分の生き様を振り返ることで依存症からの脱却を図るという展開になっています。同じ音楽映画としてヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」と同じような展開が繰り広げられますが、エルトン・ジョン自身の半生ですので、音楽業界に関わるスターたちの軌跡は似たようなものかなという気がします。

「ボヘミアン・ラプソディ」と大きく違うのはこの「ロケットマン」が実話をベースにしながら、随所にミュージカル要素の演出を施し、どことなくファンタジーっぽい感触のする映画として成立してしまったところにあると思います。主人公レジーの半生をじっくり考えると、かなり悲惨な人生であったと言えなくもないのですが、それをミュージカルで表現したことで悲惨さが和らいでいるように思えます。

レジーが悲惨だと思ったのは、両親の愛情を受けることなく成長していってしまったところにあると思います。レジーの父は母を愛しておらず、レジーに対しても冷酷な調子で突き放していますし、母も母でレジーの存在を疎ましく思っています。その中で唯一祖母だけがレジーの音楽に対する才能を認め、レジーが音楽に突き進むきっかけを与えることになるのですが、この両親の愛情を受けられなかったという子供時代の悲劇が、大人になったレジーの孤独感を浮かび上がらせているように思えます。

さらにスターになったレジーに対して子供時代には冷たかった両親がレジーに対して接近し、金をむしり取ろうとするようになっていくことで、レジーの家族に対する思いはさらに複雑なものになっていきます。母親のレジーに対する態度はそれはひどいもので、レジーの心がズタズタに引き裂かれる原因かと思います。

レジー自身の性的嗜好がゲイであるというのも両親の愛情を受けられなかった弊害の一つであると思いますが、ゲイであるが故の孤独感がより一層レジーを追い詰めていっていると思います。レジーはエルトン・ジョンをマネージメントするジョンという男と関係を持ってしまいますが、ジョンはレジーを心の底から愛していたわけでもなく、単に金のなる木としてでしか見ていないので、レジーの他人に対する愛情は飢えたままになってしまいます。唯一レジーが才能を認めた作詞家のバーニーとの友情がレジーの救いでもあったのですが、この友情も途中でヒビが入るため、レジーが依存症に走る要因の一つになっています。

ただ、ラストでは依存症の会合で告白することで心の安定を得たレジーが自立し直し、その後のクレジットでエルトン・ジョンのその後を簡潔に述べることで、一応のハッピーエンド的終わり方をしているのは救いだと思います。ミュージカル調の演出と言い、依存症の会合に飛び入り参加した冒頭から過去を振り返るという構成と言い、重たい内容を意外と重くないような演出に変えたところは、良い出来であるとは思います。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。デジタルカメラで撮影されていて、DIが2Kですのでアップスケール4Kでの収録なのですが、解像度に不満のない割と精彩感のある映像に仕上がっています。デジタルカメラでの撮影なのでフィルムにありがちなグレインノイズは存在せず、クリアな映像を堪能できます。DOLBY VISIONによる色彩表現は素晴らしく、エルトン・ジョンが依存症の会合で告白するシーンやライブシーンではカラフルな色調、レジーの子供時代の映像は色を抜いたどことなくモノトーン的な色調と、映像による演出も効果的です。

音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。ミュージカルシーンやライブシーンなどの音楽が流れるシーンでは、視聴者の周囲に楽器のオブジェクトが配置され、音の渦に取り囲まれるかのような環境に包まれます。特にドラムの音などの低域音が頭上からどんどんと鳴り響く様は迫力を感じますし、臨場感を最大限発揮していると思います。

なお、この輸入盤4K UHD Blu-rayは全世界共通ディスクですので、日本語字幕、吹き替え音声が初めから収録されています。ディスクを再生すると言語メニューが現れ、日本語を選択すれば、その後は日本語メニューから日本語字幕、吹き替え音声を選択できます。

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