FIST OF FURY(4K UHD Blu-ray UK)|ドラゴン怒りの鉄拳|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

FIST OF FURY(4K UHD Blu-ray UK)|ドラゴン怒りの鉄拳|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

ディスク仕様

FIST OF FURY 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 ドラゴン怒りの鉄拳
レーベル Arrow Video UK
制作年度 1971年
上映時間 106分
監督 ロー・ウェイ
出演 ブルース・リー、ノラ・ミャオ、ロバート・ベイカー
画面 2.35:1/DOLBY VISION
音声 dts-HD MA 1.0ch 標準中国語、英語、広東語
字幕 英語

あらすじ

1910年の上海、武術道場の師範フオは突然の死を迎えた。フオの葬儀の中、彼の一番弟子だったチェンが帰省する。チェンはフオの死が信じられず、何者かに殺されたのではないかと考える。チェンの恋人であり、道場の門下生でもあるユアンはチェンのことを心配する。そんな中、日本人道場の門下生が通訳を連れて武術道場に来て、彼らを嘲る額縁を手渡す。ファンはチェンに自制するよう求めるのだが、チェンの怒りは爆発し、日本人道場に殴り込みをかけ、日本人格闘家を叩きのめしてしまう。しかし、その行為は逆に日本人道場の主、鈴木の怒りを買い、武術道場は日本人格闘家の襲撃を受けてしまう。更なる怒りを覚えるチェンだったが、武術道場の使用人と料理人が実は日本人の手下であり、フオに毒を持った諜報人であることを知り、彼らを抹殺、更にチェンは鈴木に復讐を誓って一人武術道場から離れる。チェンの身を案じる武術道場の門下生たちはチェンを上海から脱出させようとするのだったが、鈴木はチェンを逮捕するよう中国警察に指示、チェンは追い詰められる中、一人鈴木への復讐を果たしていく。

レビュー

香港で「ドラゴン危機一発」の大ヒットにより一躍人気スターになったブルース・リーが主演した映画第二弾が、この「ドラゴン怒りの鉄拳」です。「ドラゴン危機一発」が持っていた興行収入を軽く打ち破り、大ヒットを記録しています。香港を除く全世界ではブルース・リーの死後に公開されましたが、ブルース・リー・ブームの中、人気の作品になっています。

物語は実在の格闘家の死を巡って中国人格闘家で死んだ格闘家の弟子であったチェンが、師匠を殺した日本人格闘家に対して復讐を果たすと言う展開になっています。実在の格闘家とその死自体は実際にあった話ではあるのですが、なぜ死んだかについては諸説あり、そのうちの「日本人格闘家が暗殺した」と言う噂話をそのまま映画のストーリーに取り入れ、師匠の暗殺をした日本人格闘家に対して復讐を果たすチェンという青年の悲劇を描いたエモーショナルな話になっています。

この映画のベースには、中国人が根強く持っている戦前の日本人に対する怒りというものを中国人であり、スーパースターであるブルース・リーがチェンという役柄で復讐を果たすという中国人にとっては喝采を飛ばすような展開になっているのがあると思います。改めてこの映画を日本人の僕が見ても、映画に登場する鈴木をはじめとする日本人格闘家たちの卑劣な行為は結構怒りを覚えるところでもあり、同じ民族でありながら悪役である日本人を叩きのめすチェンに対して喝采を飛ばしてしまうというジレンマを感じさせるものになっています。

その一方で主人公チェンの行なった行為自体も許されるものではなく、復讐のためとは言え人を殺めた罪を最後には償ってしまうところには、単なる勧善懲悪的内容では済まされないものになっています。特にラストシーンは自身の罪をこれほどにないエモーショナルな展開で償っていて、涙なくして語れません。

武術道場の存在意義は武術を戦いのためではなく、心と体の鍛錬のために習得することにある、とリーダーのファンが言っていましたが、それを守れなかったのがチェンであり、彼の武術道場の教えを破ること自体が彼を悲劇の主人公に導いていく要素であることは否めません。ただ、それでも鈴木をはじめとする日本人格闘家たちは武術道場を潰そうとは企んでいたわけでもありますから、戦い無くして道場の死守はできなかったと思います。

ブルース・リーの主演映画としては唯一と言えるユアンとのラブシーンがありますが、同じ道場で成長し、愛し合ったチェンとユアンの二人がチェンの師匠の復讐の念から愛が壊れる過程を見るのは、寂しいものがあります。幸せな過程を築こうとしていた二人の愛よりもチェンが師匠の復讐を優先してしまうのは、チェンの不幸を指し示していると言えます。

ドラマ部分は重いですが、その分格闘シーンは素晴らしいものがあります。ブルース・リーの映画でお馴染みの怪鳥音はこの映画から聞こえるようになり、ヌンチャクバトルの披露、ロシア人格闘家ペトロフとの死闘、鈴木との死闘など見どころは数多くあります。鈴木がチェンに蹴り飛ばされるシーンではジャッキー・チェンがスタントで代役を演じているというのも有名な話です。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。オリジナルネガフィルムから4Kスキャンしているので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。オリジナルネガフィルムのビデオ化も初めてではないかと思います。過去のビデオでお馴染みのゴールデン・ハーヴェストのロゴではなく、初めて見るロゴで始まり、1971年の映画にしては精細感のある映像を提供しています。ただ、オリジナルネガの状態にもよったのでしょうが、一部シーンで映像がボケるところがあり、その部分のクオリティは大きく下がります。DOLBY VISIONによる色彩管理は良好な状態で、鮮やかなフィルムのトーンを再現しています。

音響はdts-HD MA 1.0chのモノラル標準中国語音声で再生しました。サウンドトラックもリストアしているためか、モノラルではありますが音が意外とワイドレンジで聞きやすくなっていて、アクションシーンの打撃音が迫力を感じさせます。

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