SISU(4K UHD Blu-ray)|SISU/シス 不死身の男|輸入盤DVDで観た映画のレビュー
ディスク仕様
邦題 | SISU/シス 不死身の男 | |
レーベル | LIONSGATE HOME ENTERTAINMENT | |
制作年度 | 2023年 | |
上映時間 | 91分 | |
監督 | ヤルマリ・ヘランダー | |
出演 | ヨルマ・トンミラ、アクセル・ヘニー、ジャック・ドゥーラン | |
画面 | 2.39:1/Dolby Vision | |
音声 | Dolby TrueHD 5.1ch 英語/Dolby Digital 5.1ch スペイン語、フランス語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
1944年の第二次世界大戦の末期、フィンランドはナチスドイツとの連合を破棄することでソ連と和平を結ぶことになった。ナチスドイツはフィンランドから撤退することになったのだが、その時にフィンランドの街を破壊し、女性を拿捕し、平原の至るとこに地雷を設置していった。初老の男性アアタミは、戦いに背を向け、一人金塊掘りに精を出していた。アアタミは金塊を掘り当てて大量の金を手にするのだが、その金を移送する途中で撤退するナチスドイツと遭遇し、掘り当てた金塊を奪われてしまう。アアタミはナチスドイツから金塊を奪い返すべく、たった一人でナチスドイツに反撃を仕掛ける。武器が金塊を掘るためのツルハシ一本という状況の中、アアタミは着実にナチスドイツの兵士たちを抹殺していく。アアタミは実はフィンランドとソ連の戦争の英雄であり、兵士の殺害に長けた人物だったのである。武力で圧倒するナチスドイツによってアアタミは負傷の度合いを深めていくが、それでも金塊を取り戻すべき戦いを止めることはなかった。その戦いにおいてブルーノ率いるナチスドイツは次第に弱体化していった。
レビュー
映画の制作国としては珍しいフィンランド発のアクション映画が、この「SISU/シス 不死身の男」です。フィンランド映画ではありますが、登場人物はほとんどのシーンで英語を喋っているのでわかりやすい映画になっています。北米での興行収入はスマッシュヒットといったところですが、映画の評価は高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は94%、観客評価も88%と極めて高い評価を得ています。
映画のストーリーはどことなくシルヴェスター・スタローンの「ランボー」シリーズを彷彿とさせるものになっています。「ランボー」と違うのは主人公アアタミが初老の男性であるということと、舞台がフィンランドなので空気の冷たそうな広大な平原を舞台にアアタミとナチスドイツの金塊をめぐる激戦が繰り広げられるという点です。
フィンランド製のアクション映画のせいか、舞台が広大な平原であるためか、畳み掛けるようなアクション映画ではなく、結構じっくり冷静な視点でアクションが繰り広げられています。それでもアアタミがナチスドイツを抹殺していく場面では相当量の血糊が飛び散りますし、腕や足が引きちぎれたりして、生臭いシーンが満載なので、映画鑑賞の年齢制限は厳しくなっています。日本での劇場公開ではR15+の制限がかかっていますし、アメリカではR指定を受けています。
また、映画自体が物静かなアクション映画として成立しています。前述のじっくり冷静な視点というのもありますが、フィンランドの広大な平原が舞台であるということと、BGMが割と静かめの音楽である点から、盛り上がりに欠けている感すらあるアクション映画に仕上がっています。この辺がハリウッド映画のアクション物と大きく異なる点です。
主人公アアタミは初老の男性ですが、日本人からすると無名の俳優さんなので、彼が不死身の男として活躍するのに意外感があります。もちろん風貌や冒頭から見せる体の傷の痕から、アアタミがただの老人ではないことが明らかなのですが、アアタミがナチスドイツの攻撃を受けて負傷していっても表情ひとつ変えずに逆にナチスドイツを追い詰めていく様は、まるで「ターミネーター」的なキャラで、その存在感は圧倒的です。持っている武器が金塊を掘り起こすツルハシ一本というのも、アアタミの戦闘能力の高さを物語っています。
映画の特徴の一つとして、セリフのシーンが少ない、というのがあります。冒頭でフィンランド映画なのに登場人物が英語を喋っている、と書いていますが、そもそもセリフが少ないので英語の会話自体が少なく、淡々と物語が進んでいく要因になっています。ラストの方でフィンランド語も登場しますが、基本的にアアタミやナチスドイツの行動だけで物語を進行させている感が強く、これもハリウッド映画とは異なる点であります。セリフが少ない代わりではないですが、ストーリーは章立てで進行していき、全部で6章で完結するようになっています。
映像は4K/Dolby Visionで収録されています。Blu-ray.comの情報ではネイティヴ4Kとのことですが、実際に視聴してフィンランドの寒々とした平原を高精細な映像で描写し、その見通しの良さは特筆に値するものです。Dolby Visionによる色彩表現も素晴らしく、映像の現実感を見事に表現している色彩になっています。
音響はDolby TrueHD 5.1chで収録されています。5.1chサラウンドをマランツのCINEMA 70sでDolby Surroundモードで擬似的に三次元サラウンドとして再生をしたのですが、音の定位感という意味では多少スポイルされていて、明確な定位はしづらい感じを受けます。しかし、静かなBGMはサラウンドチャンネルに定位し、効果音は視聴者の前方で鳴り続けるなど、サラウンドとしてはそれなりに効果をあげています。
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