インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(4K UHD/Disney+)|Apple TVで観た映画のレビュー

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(4K UHD/Disney+)|Apple TVで観た映画のレビュー

配信仕様

No Image 原題 INDIANA JONES and the DIAL OF DESTINY
レーベル Walt Disney Home Entertainment
制作年度 2023年
上映時間 154分
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、アントニオ・バンデラス
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

第二次世界大戦の末期、インディ・ジョーンズはナチスの手に落ちていたロンギヌスの槍を取り戻そうとナチスの懐に飛び込んでいた。しかし、ナチスが手にしていたロンギヌスの槍は偽物だった。その代わりにインディは、アンティキティラなるダイヤルを見つけ、ナチスの手から奪い返す。アンティキティラは大昔にアルキメデスが作り上げたもので、これで戦いに勝利したとされているものだった。

時は流れて人類が月に到着する時代。インディは年老いていて大学の授業にも苦労していた。息子を失い、妻とも離婚協議中で失意の中にいたインディにヘレナが近づいてくる。ヘレナは、かつての相棒の娘であり、名付け親でもあった。ヘレナはインディが保管していたアンティキティラを売り飛ばして儲けようと企んでいたのである。

アンティキティラを狙っていたのはヘレナだけではなかった。ナチスの残党であるフォラーもアンティキティラを狙っていた。フォラーは時空を超える力を持つアンティキティラを手にしてナチスの歴史を変えようと目論んでいた。

かくして、アンティキティラをめぐってインディ&ヘレナとナチスの残党フォラーとの間で壮絶な争奪戦が繰り広げられる。

レビュー

ジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグがタッグを組んで生み出したアドベンチャーシリーズ「インディ・ジョーンズ」の第5作目に当たるのが、この「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」です。1980年代に3作制作され、2008年にまさかの4作目が制作されたのちに、2023年に完結編である5作目の制作となりました。配給元のパラマウントと契約した時には「5作制作する」と取り決めていましたので、その約束通りになっています。

今回の作品はこれまで監督を担当していたスピルバーグは制作総指揮に回り、ジェームズ・マンゴールドが監督として采配を奮っています。しかしながら、劇場公開前から批評家の間では評判が良くなく、劇場公開されても思ったほどヒットしませんでした。全世界での興行収入は384百万ドルを稼いでいて、製作費の295百万ドルを上回ってはいますが、広告宣伝費等を加味すると赤字になっています。Rotten Tomatoesによる評価では批評家評価は69%、観客評価は88%と差が出ています。

「インディ・ジョーンズ」シリーズの最新作にして最終作ですが、主役のインディ・ジョーンズを演じたハリソン・フォード自身が高齢のため、インディ・ジョーンズが主役とは思えない演出になっていて、インディ・ジョーンズのヒーロー映画として見ることが出来ない作風になっています。高齢者も主役を張れる、というメッセージを読み取ることはできますが、インディ・ジョーンズに目立った活躍の場がないところに作品の弱点があります。

インディ・ジョーンズと行動を共にするヘレナの方が活躍の場は多く、彼女が主役っぽい印象を受けます。前作「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」もインディ・ジョーンズの息子役であったシャイア・ラブーフの方が主役のように見えましたが、本作もパターンとしては同じです。特に後半に行くにつれ、ヘレナと彼女と行動を共にするテディが主役に見えてきて、活躍の場も増えていく展開にインディ・ジョーンズの立場がない印象を受けました。

ドラマの展開もドラマ部分とアクション部分の緩急の付け方があまり良くなく、散漫な印象で物語が進んでいくので、視聴者としては溜飲を下げる場面がないままです。これでドラマの緩急がついていればもう少し面白くなったと思うのですが、ついていないために単調になっている面は否めません。

インディ・ジョーンズとナチスとの財宝をめぐる戦いは過去のシリーズからお馴染みの展開ですが、今回のアンティキティラの魔力は視聴者の想像を遥かに超えたものになっていて、クライマックスの展開には唖然とさせられるものがあります。展開が明後日の方向に向かってしまい、空いた口が塞がりませんでした。

総じて、1980年代に制作された初期3部作のシリーズのイメージでこの作品を見ると悪い意味で裏切られる、というのが視聴した感想です。2008年の「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」も期待を裏切られた作品ですが、本作も同様の轍を踏んでいます。ただ、ドラマの設定そのものは「クリスタル・スカルの王国」から引き継いでいるので、シリーズとしては続いているのは明確になっています。

映像は4K/DOLBY VISIONで配信されています。DIが4Kですので、ネイティヴ4Kでの配信になります。解像度は高精細であり、臨場感はありますが、DOLBY VISIONによる色彩管理も意図的にノスタルジックな黄色を主軸にしたトーンで彩られていますので、HDR効果が出ているとはあまり感じられないところです。

音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。映像が基本右前方から何かが現れて左後方に消えていく、という表現になっていることもあって、オブジェクトが左サラウンドに集中する傾向があります。オーバーヘッドは割と効果があり、音に包まれる感覚はあるのですが、前述の左サラウンドに音が集中する傾向があることから、音の偏りを感じます。

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